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オーストリア・スキー日記:8日目

パッチャーコーフェル、インスブルック観光

  インスブルックの手稲
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インスブルック
ホテルの前にスキーバスの停留所がある
 まいった。朝、モロにガスった曇天で、昨夜は雪が降ったようだ。明日は少しは良くなりそうだというので、絶対晴天で行きたいサンクトアントンは明日にして、今日は近場のパッチャーコーフェルにする。これだけ長期間いれば1日くらい雨天は覚悟で、その時は半日スキーにして、半日は観光にする(あるいはグリンデルワルトのときのベルン観光みたいに、丸1日つぶして観光にする)というつもりだった。せっかくインスブルックに来たのだから、見るものは見なくちゃ。そういうわけで半日だから、近場で行くべきとなると、パッチャーコーフェル(Patscherkofel)となる。ここはインスブルック冬季五輪で使用もされた会場なのと、本当はインスブルック市を見ながら滑ることができて、ナイター時は夜景もきれいだという。ううむ、景色はこの際、仕方ない。いろいろ五輪にまつわる設備、施設もあるというから、往復時間も短いし、でかくもないので半日スキーにぴったりだ。
 
オーストリア 地図
 
◆パッチャー・コーフェル◆ (公式サイトの地図を加工
インスブルック
デザインはムッタラー・アルムだが、
下にあるように、インスブルックのスキーパスだ
インスブルック
パッチャーコーフェルで降りた人は半分弱
インスブルック
これがロープウェイ駅
 せっかくだから、インスブルック冬季五輪についてちょっと話そう。インスブルックは1964年に冬季五輪を開催したことがある。その次1968年はフランスのグルノーブル、1972年は札幌。1976年には米国のデンバーが決定していたが、1972年になって住民が環境破壊だと反対して住民投票で返上となるという段取りのまずさを見せて、翌年になってインスブルックで開催されることが決定した。前回の札幌では日本はジャンプで表彰台独占などがあったのだが、76年大会はメダルも入賞者もゼロの惨敗だった(この時の出場選手で有名人はフィギュアの佐野稔、渡部絵美など)。
 もともとオーストリアは近代アルペンスキーの首都であり、観光的要素が強いスイスやフランスに比べて、本当にうまくなろうとするスキー場という印象がありそれがリフトの架け方やスキー場の斜面の質、あるいはゲレ食のシステムや物の値段に表れている気がする。長期間滞在して滑りまわっているわけではないが、スイスやフランスは大規模で夏は観光に使える、というタイプが多いが、オーストリアはゴンドラ1本級のスキー場も実にたくさんある。学校の授業でも必修科目になっているし、2月後半には「スキー休暇」という公式の休暇があるくらいだ。

 さて、バスに乗ってインスブルックのはずれに来たかな、と思ったら到着だ。
バスはここからさらにグルンゲッツァー(Glungezer)へと向かうのだが、パッチャーコーフェルで降りる人は半分もいなかった。ここへは市内バスもあるし、地元の人が自分の車で子供を連れていく山なのだろう。それでもゲレンデマップを見ると、ロープウェイ+リフトで山頂に向かう、本格的な規模のスキー場なのだが、ステューバイやアクサマー・リーツムの後に見てしまうと、家庭的に感じてしまう。
パッチャー・コーフェル◆ 
インスブルック公式サイトの地図を加工
パッッチャーコーフェル
インスブルック
小さいけど、五輪開催を誇りにしている
パッチャーコーフェル
最上部はシングルリフトだ
パッチャーコーフェル
トンネルコースは楽しい
 小さなロープウェイに乗る。これ、テイネハイランドのロープウェイ(最近、廃止になったと聞くが)にそっくりだ。大きさもちんまりとしている。外側は赤と青の派手なデザインで、ここでオリンピックが開催されたことを思いっきり誇りにしているようだ。
 ガスった中、ゆっくり登っていくと、眼下にクネクネしたコースが見える。ボブスレーのコースだ。今でも現役で使われていることだろう。そして最高地点のSchutzhausへ。そこからリフトで山頂に登る。ところが、このリフトが動いていないのだ。係員に何時から動くのか聞いたら、今日はやらないという。ありゃりゃ、残念。本当はインスブルックの町を眼下に見下ろせるはずなのだが、残念だ。せっかくだから登ってみたかったが、このガスの状況ではとても見えないだろう。全日程に渡って快晴なんてのはムシがよすぎる、と思って、滑ることにした。
 コースは滑りやすくなだらかだ。ただし圧雪の上に中途半端に雪が降っているので、板が回しにくいということもある。上部を数本滑ったが、景色やコースそのものは似た感じで、景色が見えないと日本と変わらなくて飽きやすいかもしれない。途中、トンネルの中を本格的に滑るコースがあって感動したが、それ以外は個性が強いというものではない。
 また、途中、Tバーを使うコースにはナイター施設があり、小さな子供たちも大勢いた。このコースは夜はインスブルックの夜景を見ながらナイターができるという。これはぜひやってみたいが、今日は終日ガスで夜景は期待できない。明日、サンアントンやガルミッシュが終わってからくるという強行軍も考えたが、特定曜日しかやらず、それが今日だというのだ。ううん、こんな小雪が舞ってちゃなあ。結局、断念することにした。
 帰りは12:50発のJバスに乗ってインスブルックへ。さて、観光でもするかい。
◆インスブルック地図
(Yahoo!の地図を加工)
 インスブルック 地図 観光案内
◆インスブルック地図(上記、赤枠の旧市街地を拡大
(Yahoo!の地図を加工)
 インスブルック 地図
インスブルック
まずは凱旋門
インスブルック 黄金の小屋根
黄金の小屋根だ
インスブルック
 市の塔。後ろに寄り切れず、
縦写真になりました!
 
 インスブルック  
 塔の上から。五輪のジャンプ台が見える  
 インスブルック  
 宮廷教会の騎士像だ  
 インスブルック  
土産物屋が集中する
 ホテルで着替えて、14:10に出発。歩いてすぐに凱旋門だ。マリアテレジア通りを10分も歩かないうちに、アンナ記念柱に到着。ここは道路幅が広いので、写真を撮るにもいい場所だ。山はすっぽり雲に覆われているが、これまでは白い雪をかぶった山容、ノルトケッテのスキー場が見えて、シャモニのような雰囲気を楽しむことができた。
 さらに歩いて行くと、最初の日にスキーパスを買った観光局がある、交差点に到着。ここから旧市街となる。いきなりヘルツォーク・フリードリヒ通りという狭い道路になる。つきあたりがインスブルックのシンボル、「黄金の小屋根」で、モロに見えるが、周辺の通りの様子はスイスのベルンに似ていて雰囲気がいいから、楽しみながら行こう。14:40に黄金の小屋根に到着。ここは3階にマクシミリアン博物館があり、見学することができたが、事前に勉強しておかないと面白くないだろう。15:00に近くの「市の塔」に登ってみる。階段をグルグル登って、塔のてっぺんへ。市が一望できるが、あたりの屋根にはかなり雪が残っていて、昨夜の雪が結構強かったことが分かる。
 あまりのんびりしていられないが、見どころが市街地に集中しているのはありがたい。15:20に大聖堂(聖ヤコブ教会)へ。ここは主祭壇上にあるクラーナハの「救いの聖母」が有名だが、丸天井の絵もすばらしいのでよく見ておこう。
 次に王宮へ。宮廷教会は18時まで、王宮は入場は17時まで(入場は16時まで)だから急ごう。ここはなぜかアルプスの博物館みたいで、スイスのアルペン博物館みたいに山岳関係の展示が多いな、と思ったら、いきなり王宮らしい豪華な大広間があり、なかなかよかった。
 次に16:30に宮廷教会へ。ここは皇帝マクシミリアン1世が入るはずだった巨大な棺が安置されていて、周囲に等身大以上の28体の黒いブロンズ像が棺を守るように並んでいる。非常に独特の雰囲気があって、こういう展示方法は他で見たことが無い。
 そして16:50に実は楽しみにしていたチロル民族博物館へ。ここは昨年、大規模な改修が行われたというが、もともとその土地の暮らしについて知るにはいいだろう。これまでもいろいろな国で博物館に行ったことがあるが、外国人にとって興味を持って見やすいのはこういう素朴なことなのかもしれない。17:30まで見て、暗くなりはじめた町に出た。
 黄金の小屋根付近の路地には土産物屋が集中している。これから残り3日間はゆっくり買い物に来れるか分からないから、できるだけこのタイミングで買っておこう。
 しかし、中国人の観光客が多いなあ。昔は、ヨーロッパで東洋人を見たらほぼ100%が日本人であり、なぜならお金を持っている東洋人は日本人くらいだと思っていたからだ。15年くらい前、論文の入選でイタリアのミラノに行ったことがあった。そのとき、「東洋人が来たので、バスガイドが日本語であいさつしたら、みんな怒り出した。実は韓国人だった」と聞いたことがある。その時は、そうか、韓国の人も豊かになってヨーロッパ旅行とかするようになったなと思ったが、今は中国人の多いこと!。逆に日本人が少なくなったのは、やはり不況のせいか。日本人の少なさが情けなくなってきた。そこへ、入ったみやげ物屋でいきなり店員から「ニーハオ」と声をかけられた時は、もう主導権が中国に行っちゃったんだろうな、と思ったりもした。ううむ・・・。だが、そのおかげで中国人旅行客が日本に来てくれているので、なんとか命をつないでいるリゾートも多いのだから、よいことだと思わないといけないんだろうな。
 帰りがけ、気になっていたケパブの店に寄る。でっかいケパブとポテト、サラダで6EUR(750円)、かなり安いが、とても食べ切れたもんじゃない。ホテルに持ち帰り、チマチマ食べた。
 明日は晴れそうだ。スーパースキーパス最後の日となる。インスブルック地区(ステューバイ氷河含む)3か所と、サンアントンへの特別チャーター便往復、それに全日程のリフト券付きのスキーパスの仕上げだ。朝、8時にホテルの前でピックアップを受けることになっている。最高の写真が撮れますように。予習をして、寝ることにした。
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パッチャーコーフェル パッチャーコーフェル
ボブスレーのコースだ 五輪をやりました!
パッチャーコーフェル パッチャーコーフェル
こんな圧雪車があったが、どう使うんだろう? 防風レストハウスだ
パッチャーコーフェル パッチャーコーフェル
ううん、太陽が見えないなあ 山頂に伸びるシングルリフト
パッチャーコーフェル パッチャーコーフェル
伐採されたリフトコースは
シュプールが多い
ちょっといい配色の看板だ
パッチャーコーフェル パッチャーコーフェル
ここがナイターコース。本当は
インスブルックの町が一望できる
下山の林間コースだ
パッチャーコーフェル パッチャーコーフェル
ナイターコースはTバー主体だ 子供向けスクールが多かった
パッチャーコーフェル パッチャーコーフェル
乗る時、カーブするクワッド ボブスレーコースもちょっと見えた
パッチャーコーフェル パッチャーコーフェル
君たちは何をやっとるのかね これが受付
パッチャーコーフェル パッチャーコーフェル
晴れた時にまた来たいなあ なんて派手なロープウェイだ
パッチャーコーフェル インスブルック
帰りのバス内。このまま市内へ行くのだ ホテル前でジャンプ台を見る
インスブルック インスブルック
アンナ記念柱  左の望遠写真だ
インスブルック インスブルック
マリアテレジア通り。広い通りだ 思いっきり目立つのがシュピタール教会だ
インスブルック インスブルック
 黄金の小屋根に行く道は急に狭くなる  よく見るとマクドナルドだ
インスブルック インスブルック
 大道芸人もいました タクシーはだいたいベンツが多い 
インスブルック 黄金の小屋根 インスブルック
 黄金の小屋根だ。皇帝マクシミリアン1世が
広場で行われる行事を見物するために1496年に作らせたという
レリーフ。左からマクシミリアン1世、2番目の妻、
最初の妻(落馬で死亡)
 
インスブルック インスブルック
 小判で作ったようだ 「市の塔」の内部 
インスブルック インスブルック
 落書きがいっぱいだ 景色はいいが、スカッと晴れんかな 
インスブルック インスブルック
 黄金の小屋根を見下ろす ロココ調のヘルプリングハウスは
ちょっと浮いた存在だ
 
インスブルック インスブルック
 聖ヤコブ教会だ 天井の絵もすばらしい。
実際よりも深く見えるようにしているらしい
 
インスブルック インスブルック
 王宮だ 大広間は豪華だ 
インスブルック インスブルック
民族博物館。キリスト生誕をジオラマで表現だ  民族衣装だ 
インスブルック インスブルック
 変なお面はスイスでも見たなあ 趣のあるデザインだ 
インスブルック インスブルック
 赤ん坊が簀巻きにされているみたいだ  姉ちゃんの目つき、ちょっときついな
インスブルック インスブルック
 民族衣装のマネキンを暗い場所で
ライトアップ。蝋人形館みたいだ
この舌を伸ばしたデザインが民族博物館の
入り口の印だ
 
インスブルック インスブルック
 夜、ライトアップされた黄金の小屋根だ これがそのケバブ 
インスブルック インスブルック
とにかくすごいんだわ  生タマネギとポテトだ 
インスブルック インスブルック
 明日は晴れるというが 足の裏側、内出血がでてきちゃったよ 
 
【ギャラリー】 
インスブルック
◆アンナ記念柱の前からマリアテレジア通り
  本当は雪山が見えるのだが、すっぽりと隠れた。はるか奥に、「黄金の小屋根」の白い壁が見える
インスブルック
◆黄金の小屋根
  インスブルックのシンボル。ただし、ほかの部屋には普通に住人が住んでいるようだ
インスブルック
◆黄金の小屋根の前からヘルツォーク・フリードリヒ通り
  細い道路だが、普段は観光客でにぎわっている。左は「市の塔」
インスブルック
◆聖ヤコブ教会
 ザルツブルクで聖堂を見た直後だと慣れがあるが、今考えて見ると実にすばらしいと思う。
 天井屋根は実際よりも丸く深く見えるようになっているらしい
インスブルック
 ◆宮廷の大広間
  天井壁画もシャンデリアもすばらしい。奥の警備のおばさんから「写真撮っちゃだめ」と怒られた
インスブルック
 ◆宮廷教会
  棺を取り囲むように等身大以上の28体の黒いブロンズ像がある
TIP
 半日観光のときは、まずあらかじめ絶対見ておくべきものの優先順位を付け、それに閉館時(最終入館時刻)を書いてなにが最適なのかの計画を立てよう。そして、ハードなスケジュールの時は、昼食を工夫することだ。
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