HOME海外スキーレポート > オーストリア1日目(キッツビュール)
オーストリア・スキー日記:1日目

キッツビュール

 とても古くてかなり新しい
Line-blue
 
オーストリア
フランクフルトからザルツブルクへは
オーストリア航空のプロペラ機だ
モーツァルト空港
ザルツブルク空港は別名、
モーツァルト空港ともいう
 旅行出発の日、まだ薄暗い自宅を出て(かあちゃんは仕事があるので同行せず。ひさしぶりの独身旅行だ)、成田を10:20に離陸した。フランクフルト経由でザルツブルクのモーツァルト空港へ。今回は転職のため1ヶ月の有給休暇消化の休みが取れたが、最終出社日だった数日前まで忙しかった。そのため、今回はこれだけ複雑にいろいろなところに行くというのに、十分な予習ができていなかった。で、どうしたかというと、ネットその他のツアー情報、個人旅行記などプリントアウトした、厚さ7cmくらいのA4の紙の束をリュックがパンパカパンになるほど詰め込んで飛行機の中で予習することにした。これを読んでマーカーを入れたり付箋を貼ったり、行程ノートに書き写したりしていたら7時間以上かかり、おかげで全く退屈しないで機内を過ごせた。
 資料の半分はメモを終えて、フランクフルト空港のごみ箱へ。ここでEUへの入国手続きをして17:40にザルツブルクに到着。タクシーで10分ほど(15EUR:)で宿泊地のマルクス・ジティクス・ホテルに到着した。荷物を部屋に上げ、ちょっと外出してみる。天気は雨だ。知らない土地、ましてや外国に夜に到着していきなり雨だとちょっといやな感じだが、まあゆっくり寝て明日に備えよう。機内でもらったオニギリを食べて、ついでに屋台で買ったホットドッグもたいらげ、早めに就寝した。
ザルツブルク 地図  
 翌朝はバイキング形式の朝食に一番乗りだ。時差ボケもほとんどなく、快調だ。天気もよさそうだ。スキーの支度をして、ブーツを履いたまま板を担いで歩く。5分ほどのところにミラベル庭園がある。ここは教会もあり、広場のようになっていてツーリストインフォメーションもあり(サウンドオブミュージック・ツアーバスの発着所で、サイケな牛の置物がある)、観光の拠点という感じだ。この大通りの教会と反対側にスキー場行きのバス、スノーシャトルの乗り場がある。行ってみたら、なぜか日本人女性が一人立っていた。話を聞いたら、現地の日本人ガイドで、スノーシャトルの運営会社の友達でもあるらしい。今日は一緒にスキーに行くとか。おお、助かった、バス乗り場がどこか自信が無かったが、安心だ。すると定刻通りの8時30分にバスがやってきて、中からニット帽をかぶった40歳くらいの男がニコニコ笑って降りてきた。「シミズさ〜ん」おお、ブライアンか。
 実はこのスノーシャトル、日本から予約を入れ、しかも支払い(カード)もできるのだが、ついでにメールを使って英語でいろいろ質問したら、日本語で返事が返ってきた。最後に「日本語へたくそ、ごめんね」なんてあるので、ちょっとは話せるのかなと期待していたのだ。実際は期待以上だった。ブライアンはスコットランド生まれで、奥さんが日本人で、日本に何度も来たことがあるらしい。日本語もドイツ語もうまい。とても面白い男だ。
概要でも少し話したが、このスノーシャトルは曜日別に行き先が異なる。
月・火・水 エーベン、フラッハウ (ヘルマン・マイヤーの故郷で知られる)
木 キッツビュール (3Sゴンドラで大幅拡大。W杯のハーネンカムコース)
金 シュラドミング (ダハスタイン山塊を見ながら滑る)
土 バドガスタイン (変化に富んだリゾートスキー)
日 ツェルアムゼー (湖を見ながら。近くにキッツシュタインホルン氷河のカプルンがある)
月〜水はなぜか3日連続で同じ場所だが、ここは比較的ザルツブルクから近く、スキーヤーはバス代が無料となっている。それ以外は13EUR(1,625円)となる。
到着翌日は木曜日なので、フラッハウ以外のスキー行となった。

※このレポートでは曜日ごとに色々なスキー場に行っていますが、2015年11月現在、
 フラッハウのみの運行となっています。行かれる方は必ずご確認ください。

 ザルツブルクのシャトルバス(ザルツブルクスノーシャトル)日本語

◆ザルツブルク〜インスブルック周辺
(政府観光局の地図を加工)
オーストリア 地図
 キッツビュールについて少し説明しよう。ここはスキー場が群雄割拠するオーストリアにあって、西のサンクトアントン、東のキッツビュールと呼ばれるほど歴史のあるスキー場だ。アルペンスキーのワールドカップを知っている人ならば、知らない人はいないだろう。アルペン3大クラシックレースのひとつであるハーネンカムレースはここで開催される。ちなみに3大クラシックレースとはウェンゲン(スイス)のラウバーホルン大会(1930年)、キッツビュールのハーネンカム大会(1931年)、そしてガルミッシュ・パルテンキルヘン(ドイツ)、サンクトアントン(オーストリア)、シャモニー(フランス)の三か所の持ち回りで開催されるアールベルグ・カンダハー(AK)大会(1928年)の三つの大会を言う。1966年にアルペンのW杯が始まったときに、この3大会はFISのW杯の中心的定番レースとして指定された。キッツビュールのハーネンカム大会は2010年で第70回になっている。
 だから、キッツビュールはアルペンスキーヤーにとっては歴史のある聖地と言っても過言ではないのだが、実はここ数年で大きな変化があり、さらに脚光を浴びているのだ。それは、オーストリアが国家的(?)な戦略で、観光客の集客に力を入れ、スキー場に対しても投資を行い、スキー産業を振興しようとしていることだ。たとえばこのスキー場には3Sといって、最近までは別のスキー場だった隣のJochbergと連結することによって、上級者でも1日では回りきれない広大なスキー場となった。日本で言えば、白馬47、五竜、八方、岩岳、栂池がぶち抜きになったうえ、縦にも伸びたというイメージだ。そのため大人気のスキー場でありながら、8人乗り高速リフトなんかがバシバシかかり、リフト待ちとは無縁というすばらしいスキー場となった。
◆キッツビュールのゲレンデマップ
(公式Webの地図を加工。実際にはケーブルカーとリフトが54機もある)
キッツビュール
キッツビューラーホルン
バスの駐車場から。キッツビューラーホルンが美しい
8人乗りリフト
なんと、8人乗りのリフトだが、
オーストリアではあたりまえだ!
キッツビュール
コースは広々だ
キッツビュール
木が生えてないのはアルプスらしくていい
キッツビュール
ザイラーの巨大な雪像だ
キッツビュール
最後まで気の抜けないコースだ
 さて、ブライアンの解説を聞きながらバスはドイツをまたいでキッツビュールへ。「たとえいなくても、16時に現地を出発します。乗り遅れたら、次は来週木曜日の16時です。」とか、おっかないことを言っている。バスのスタートはKirchbergの駐車場で10時ごろ到着した。ブライアンによると、Hollersbachまで行くと、食事の時間はないし、戻れないとまずいよと言われた。とりあえず3Sゴンドラに乗ってできるだけ向こう側の景色を見て引き返すか。ハーネンカムコースは絶対滑りたいから、こりゃあ昼飯抜きだな。今までゲレンデでの食事は楽しみのひとつだったし、ツアー参加のときはランチに1時間はかけていたから、ちょっとハードだが見るものは見ておきたい。早速、最初のゴンドラに乗って山の上へと向かった。まず最初の降り場からの景色が大変いい。遠くにキッツビューラーホルンが見えている。ここにもスキー場があるのだが、あまり広くなくて、面白くないらしい。さて、3Sへ急がなくちゃ。いったん谷へ降りるが、地図の上ではすぐ終わりそうに見えるが、実際には相当な距離だ。リフトに8本乗れば一番奥の尾根に行けると思ったが、こりゃあ確かに時間がかかりそうだ。日本の感覚でヨーロッパに行くときは注意だ。この最初の谷から出るリフトはなんと、8人乗りだ。ソルトレイクシティでリフトに6人乗っているのを見た時は感動したものだが、それどころではない。スピードも速いし、こりゃあすごい。ベルトコンベアで初心者でもどしどし乗せていくから、日本のゴンドラよりよっぽど機動力がある(すっかり見とれて写真をたくさん撮ったが、実はこの後あちこちで飽きるほど見ることになる)。
 さらにリフトに乗り継いでいくと、実にかっこいいゴンドラがあった。3Sといって、3本ケーブルのゴンドラだ。これは最近できたものだが、広大な2つのスキーエリアを接続したことで、キッツビュールを非常に魅力的なスキー場にしているといえる。ただし接続しているのはこの1本だけなので、もしもこの3Sが止まったらどえらいことになるのだが、3本ケーブルは風に強いのも強みだ。11時44分に駅舎に入り、11時58分には対岸に渡った。Jochbergエリアだ。さらにエンヤコラリフトを乗り継いで、13時にはとうとうHollersbachの尾根の右端にまで来てしまった。ここは最初の山と違って、森林限界の上の部分が多い。風景もちょっと独特だ。しかし、ハーネンカムコースと帰りのバスを考えたらもう帰らなきゃ。常に余裕をもって楽しみたいので、やはりランチは取らずに引き返すことにした。こういうときのために朝食の席からかっぱらってきたパンとリンゴ、チーズをリフトの上で食べて、ペットボトルのジュースを飲む。オーストリアらしさがない食事は残念だが、やはりハーネンカムコースの方が大切だ。3Sに乗って14時には谷を渡って一安心。さて、ハーネンカムコースのスタート地点へ急ぐ。森林コースとは異質な尾根ぞいのコースを滑ると、見えてきました、ハーネンカムコースのスタート小屋だ。しかもトニーザイラーの雪像まであった。ううむ、これがそのコースか。ウェンゲンに行った時はそのスタート小屋に感動したものだが、キッツビュールも負けてはいない、立派なものだ。
 スタート台から見たコースはガケに近い。「ねずみとり」と呼ばれる部分だが、最初は勢いつけて、早く実力差が出るスピードに達しないと。しかし斜面はもう午後、でこぼこしているし、足も疲れている。あまり飛ばすことはせずに景色を楽しみながら滑る。途中、スピードを出したら結構なジャンプになるだろう、という場所がいくつかあった。このコース、下のゴール地点からかなりの部分を見ることができるので、テレビ中継やモニター画面の無い時代からでも、観戦するには好都合だったらしい。参考までに、このコースレコードは1997年にオーストリアのストローブルが出した1分51秒58。またゴール近くの脇にはスラロームコースがあり、ここはステンマルクが5勝も挙げており、2位に3秒16の大差をつけたこともあり、これはワールドカップのスラロームのギネス記録にもなっている。
 さて、帰らなくちゃ。帰りのゴンドラ脇にはどこかで見たような銅像が。これ、トニーザイラーなのだが、過去に見たのは、山形蔵王のコースの脇にあった銅像だ。同じポーズに見える。そうだ、銅像があった蔵王のコースもハーネンカムコースといったっけ。山形市とキッツビュールは姉妹都市だ。
 ハーネンカムから最初のバス停に戻るには、いったん、最初に8人乗りリフトに乗った谷に下りて、リフトで最初のゴンドラ頂上駅に戻って、下山する必要がある。足が疲れた人はゴンドラで降りてもいいだろう。とにかく行動には油断せず、余裕を持っていこう。帰りのバスではブライアンからいろいろレストランを教えてもらった。せっかくのオーストリアだから、ビエナシュニッツェル(ウィーン風カツレツ)にするか。今日は時差ボケがほとんどなくて助かった。先は長いので張り切り過ぎないようにしよう。明日のシュラドミングが楽しみだ。
 
line_orange 
ザルツブルク おにぎり
「トニーザイラー、知ってるぜ」キッツビュールでイントラを
やっていたという運ちゃん
飛行機内でもらったおにぎり。
炭水化物は寝やすいので時差ぼけ対策にもなるぞ
ザルツブルク ザルツブルク
街中のボードショップでした 移動屋台のホットドッグ屋。
ベンツなんだよね・・・
ザルツブルク ザルツブルク
ホテルの朝食では、
パンとチーズは毎回持ち帰った
マルクスホテルだ
ザルツブルク サウンドオブミュージック
教会前には屋台が並んでいた インフォメーション前の牛。
ここからサウンドオブ・ミュージックのロケ地ツアーが出る
ザルツブルク ザルツブルク
角の銀行。CDがあるので、クレジットカード
でキャッシングOK。とても助かる
これがスノーシャトルだ
(トイレ付だ)
ザルツブルク ザルツブルク
ツアー中同じバスなので、板をここに
置きっぱなしにしてもいい
ブライアン。日本語もうまいぞ
キッツビュール キッツビュール
ゴンドラ駅の中。左上の大になにかいるぞ
キッツ(小鹿だ!)
キッツビュール キッツビュール
キッツビューラーホルンのてっぺんは
テレビ塔だが、なぜか違和感が無い
素朴な看板だ
キッツビュール キッツビュール
実にワイドだ 8人乗りリフトあコンベアで乗る。
リフトの名前にはD7といった通し番号があり、確認しやすい
キッツビュール キッツビュール
結構、いい材質のいすだ これが3Sのゴンドラだ
キッツビュール キッツビュール
3Sの駅もどこかおしゃれだ ヘルメットが主流だ
キッツビュール キッツビュール
きましたよん ウィスラーみたいな感じだ
キッツビュール キッツビュール
これがキッツビュールの
コミュニケーションシンボルだ
気持ちいいバーンが続く
キッツビュール キッツビュール
山のてっぺんの十字架、多いなあ はしごがかかったように見える
キッツビュール キッツビュール
ん?なんだ? → くるっと回すと足掛けとひじかけになる
キッツビュール キッツビュール
ウイーンから来た女性。ゲレンデじゅうに響く
ような大声で、ずっと英語でしゃべりまくっていた
Hollersbachの右端。氷河のような雪原だ
キッツビュール キッツビュール
さて、帰るぞ! クリーミーな山だ
キッツビュール キッツビュール
栂池の鐘の鳴る丘ゲレンデか? ミュンヘンからきたおじさん。
楽しかったです!
キッツビュール キッツビュール
オーストリア国旗の店は多かったぞ ここでもそっぽを向いてるよ
キッツビュール キッツビュール
3S内部。みんな、速そうだなあ ZUとはCLOSEのことで、ここまではバーを
下ろしていろということ。電光掲示板になって
いて、英語と交互に表示される
キッツビュール キッツビュール
いきなり教会があったりする 墓地ではございません
キッツビュール キッツビュール
ちょっとした上りでも
ロープトウがあると助かる
雪像を裏から。
キッツビュール キッツビュール
スタート台だ ヘラジカのステーキ
キッツビュール キッツビュール
歴代レコード。一番下が1997年
ストローブルの1分51秒だ
最初のねずみおとしだが、景色も楽しもう
キッツビュール キッツビュール
コースガイドだ スタート小屋を下から
キッツビュール キッツビュール
とにかく景色がいい ゴール近く
キッツビュール キッツビュール
上の写真の拡大。
結構巨大な看板だ
ゴンドラ駅の内部
キッツビュール キッツビュール
いい絵だ 昔のゴンドラだ
キッツビュール キッツビュール
トニーザイラーだ 各国の選手と国旗がある
キッツビュール キッツビュール
景色のいいこと! リフト券にはデポジットが含まれる
キッツビュール キッツビュール
スーパーで買い物だ お土産はモーツァルトチョコレートで決まりだ!
キッツビュール キッツビュール
オーストリア=ハンガリー帝国の皇后、
エリザベートの像が駅前にある
駅前のビル内にはスーパーもあるぞ
line_orange
 
line_orange
【ギャラリー】 
 
キッツビュール
◆最初のゴンドラ駅の降り場にて
 左奥にキッツビューラーホルンが見える 
キッツビュール
◆レッテンスタイン(2366m)。
  横手山くらいの高さの山とは思えない景色だ
キッツビュール
◆Hollersbachの斜面
 あの細長い線がHollersbachに向かう尾根に出るリフトだ。ここから見ると、風呂屋の煙突のはしごみたいだ
キッツビュール
◆ハーネンカムに向かう尾根
 すばらしい景色だ。
キッツビュール
◆リフトの上で。
 どこをどうすべるのも自由だ
キッツビュール
◆ハーネンカムに向かう尾根
 正面に、このがけから滑り降りる圧雪コースがあるのに注意
キッツビュール
◆ハーネンカムのゴール
 左がハーネンカムのラストの急斜面。右はスラロームコースだ
キッツビュール
◆帰路の途中で。
 リーダー的存在の山はないのだが、景色はアルプスのリゾートらしくていい
TIP
シュニッツル オーストリアに来たら、何はともあれビエナ・シュニッツル(ウィーン風カツレツ)だ。レモンをかけて、ベリーソースがよく合う。
ホテル近くのシュティーグル・ブロイは1階レストランが利用しやすい。
line_orange
 
 
オーストリアの概要   
btn-arrow スキー日記:1日目  キッツビュール (ザルツブルク)
スキー日記:2日目  シュラドミング (ザルツブルク)
スキー日記:3日目  バドガスタイン (ザルツブルク)
スキー日記:4日目  ツェルアムゼー&カプルン (ザルツブルク)
スキー日記:5日目  ザルツブルク観光
スキー日記:6日目  シュトゥーバイ氷河 (インスブルック)
スキー日記:7日目  アクサマー・リーツム&ムッテラー・アルム (インスブルック)
スキー日記:8日目  パッチャーコーフェル インスブルック観光 (インスブルック)
スキー日記:9日目  サン・アントン (アールベルク)
スキー日記:10日目  ガルミッシュ・パルテンキルヘン (ドイツ:バイエルン)
スキー日記:11日目  レッヒ (アールベルク)
HOME海外スキーレポート > オーストリア1日目(キッツビュール)