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 ウィスラー日記:6日目
 
ウィスラー:パウダーデイ  すべてはこの日のために
 
■クリフ(ガケ)にて。この人はその後、
 滑り降りた(飛び降りた)
チャイニーズダウンヒルを遠望する
 
■ブラックタスクを見る(右下に誰かの頭)
 広角レンズで撮影
■チャイニーズダウンヒル途中
 
■これより向こう行ったら、知らねーよ
 
■ブラッコムに突っ込むように(中央下に
 スキーヤーいるでしょ)
■板がはずれて大騒ぎ。「あんた、写真
 撮ってる場合じゃないでしょ(右から2番目
 の女の子)
■ストックを突き刺すと青く見える
  
■ここまで降りれば大丈夫
 ウィスラーのラジオは今日はパウダー・デイであることを報じていた。「パウダー・デイ(パウダーの日)」とは、吹雪の翌日の日、特に天気が穏やかになった日を指す。ウィスラーは圧雪していないコースが多く、しかも沢のような危険な場所以外は立入禁止などしないから、一面がフカフカのパウダースノーに覆われることになる。たとえヘリスキーに行かなくても、タダでヘリスキーと同じことがゲレンデでできるのだ。
 このパウダーデイの名物は「ファーストトラック」にある。これはゴンドラが動く通常の時間(たいてい9時から動くが)よりも1時間早く動かしてくれるというもので、ゴンドラ駅のレストハウス、ピカで朝食バイキングが付いている。実際には8時くらいにはゴンドラを動かし始め、食事が終わるころ(通常のリフト券だけの客はまだいない)にスタートできるので、圧雪したてのコース、あるいはパウダーの上に自分のシュプールを描くという、ヘリスキーでないとできないことができるのだ。通常のリフト券以外に15ドルくらいの追加料金が必要(このファーストトラックは今では「フレッシュトラック」という名でやっている)。これはウィスラーに来た以上は、必修科目といえる。
 
 当日の朝、ロッヂでは朝食抜きで薄暗いうちに出発。緯度が高いので、7時くらいではまだ少し暗い。ジェフはもう、そわそわしていて、「みなさん、大変急いでください」という彼にしては聞きなれない日本語を使い、みんなをあおっていた。バスの中ではすでに興奮していて、「パウダーデイに友達はいない」と言い切った。つまり、トロトロ滑ったり転んだりしていたら、置き去りにするという意味だ。その割には付近でヒッチハイクしているスキーヤーを乗せてやったりしているので、どこかいいやつだ。朝早いのに、あちこちのバス停は混雑している。
 ビレッジのゴンドラ駅についた。もう、異様な雰囲気だ。ファーストトラック用のリフト券売り場は行列だ。みんな、考えることは同じなのだ。このファーストトラック用のリフト券は前日でも購入できるとか。だったら、みんなに伝えて希望を募るべきだろう。ジェフは自分の分だけはしっかり買っていたようだ。私は10分くらい並んで仲間と一緒に買ったら、もうジェフは自分だけさっさとゴンドラに乗って歌を歌いながら登ってしまったようだ。愛知県から来た女の子二人組みは少し遅れたため、券の買い方が分からずにウロウロし、1時間以上タイムロスしてしまったようだ。遠く日本から来ていて、時間が大切なのだから何とかしてやれとはジェフに言ってもだめだろう。
 ゴンドラで上に登る途中、当然知らない外人(おっと、私も外人)とも多く乗るのだが、お互いファーストトラックという共通の目的を持って早起きしてきているだけに、妙に慣れ親しむ雰囲気がある。実は昨日の写真にあったゴーグル拭きは、このゴンドラの中で私がゴーグルを拭いていたのを見たおじさんが「メリークリスマス」と言ってくれたものだ。恐れいって、胸ポケットから日本ののどアメをあげたが、このゴーグル拭きを実に気に入ってしまい、お土産用にたくさん買ってしまったのだ。
 
 ピカに到着し、なかなかの内容の朝食バイキングを食べる。これなら、安い。すると店内放送があり、いよいよファーストトラックのスタート許可が出たらしい。遠くにジェフがコーヒーを飲んでいたのが見えたが、外へ飛び出してしまった。私はマイペースでいこう。ロッヂの仲間は上のボウルを滑るというので、私は軽くクワッド1本分下に下りてから合流することにした。
 
 しかし、パウダーは全く慣れていないので手ごわい。思うように板が回らず、悪戦苦闘だ。ボーダーは実に気持ちよさそうだ。スキーヤーには、ものすごく幅の広い板で滑っている人もいる。これはヘリスキー用の「ファットスキー」というもので、初心者でもフワフワとパウダーの上を滑ることができるものだ。圧雪の上では操作しにくいが。

 ここで面白いことに気付いた。ウィスラーでは客が滑っている時間帯でも圧雪車がでかい音楽を鳴らし、サイレン灯を回しながら平気で圧雪しているのだが、その後ろを滑ると実に愉快だ。まるでトランポリンの上を跳ねているみたいで、しかも2級も持たない自分が見事にウェーデルンのシュプールを描いているのだ。実に板の食い込みがいい(良すぎる)。パウダーの上を圧雪したてのコースがこんなに滑りやすいとは!。なお、これを日本で実感することができたのが岩木山スカイラインであった(国内スキー場レポート見てね)。
 山頂あたりからドッカンドッカン音が聞こえる。火薬を使って例の人工雪崩を起こし、ウィスラーボウルあたりの安全を確保しているのだ。ピカまで戻ってみるとピークチェアが動き出していたので乗ってみた。
 ピークからウィスラーボウルに行ってみる。するとみんな、雪を掘り起こしているではないか。聞いたら、女の子が転倒して、スキー板が潜ってしまい、どこに行ったか分からなくなったとか。やれやれ、でもこういう時のためにリボンが必要なのだ。昼食時にピカの売店でウィスラーのネーム入りのものを買い、装着した。リボンの端の輪をバインディングの爪に引っ掛け、リボンは手でぐしゃぐしゃに丸めてブーツに入れる。転倒して板が外れても、リボンはシュルシュルと伸びて板の在りかを教えてくれるのだ。

 今日までの疲れに加えて早起きしたうえ、慣れないパウダーの上で膝が大笑いだ。それにしても、今日は実にスキー場全体が活気がある。明らかに雰囲気が違う。
 レストラン内でキャムに合流する。午後はピークの裏の、穴場に連れて行ってもらう。例のチャイニーズダウンヒルのあたりだ。このへんは平坦で広い場所があり、普通にボーゲンの足で体を上下させるだけで面白いように前に進む。膝から下は雪なので、狂喜した。こんなところを写真に撮ったら、うまそうに見えるだろうなあ。
 ところが、途中で転倒してしまった。すると起き上がれない。板の脱げた足がズブズブ入り、出て来れないのだ。もし一人だったら、死ぬんじゃないかと不安になるような、泥田の中でのた打ち回ったような感じであった。
 ちなみに、このへんのエリアは「貧乏へリスキー」と呼ばれており、パウダーデイではヘリスキーと同じことができるので、お金の無い人はここでヘリ気分を満喫するらしい。そういえばこのへんは、訳知りが多いのか、あの幅広スキーを履いて来ている人が多いようだ。
 昨日の降雪は30〜50センチくらいと聞いていたが、もっとあるような気がする。上部では、ストックを思いっきり雪面に刺すと、手首まで潜ってしまうのだ。そして穴をのぞくと、なぜか青く見える。日本の雪とは結晶が違うということらしい。しかし本当のカナダを知る人によると、ウィスラーは海に近いので、まだ湿気を含んだ雪らしい(ただし、緯度と標高が高く、森林限界を超えているので、日本の2500m超級の雪質だという)。
 
 今日はカナダに来た甲斐があった日であった。よし、明日はいよいよ本当のヘリスキーだ!!!。

■雲を見下ろしながら
 
■何かにぶつかっても知らねーよ
 
■メインコースに合流注意の横断幕が
 前方の空中に張られていた
■ピークを見上げる
■ピーク付近にはヘリが飛んでいた
   
■少し雲がひいたかな
 
■パウダーには早くもシュプールの跡が
 ついている(見える?)
■パウダーはシュプールだらけに ■ブラッコムのセブンスヘブンがきれいだ
■雪付きは良くないらしい ■たまに晴れ間が見える ■寒寒とした景観だ
  
■ホコホコのコース ■本当はレースのスタートゲート ■このリフトはレース時、見物しやすい
 
■ちょっと一休み ■夜はハスラーだ!(おまけ)
  
■ピークからチャイニーズダウンヒルを見る
 とにかくパウダーデイでは前日によく寝ておき、当日は徹底的に圧雪していないところを滑る。
 それと、外人に親切にしてもらった時のために何か小さなお土産を持っておこう。それは包みに日本語の文字が書かれたキャンディでもよい。
 
ウィスラーの概要
日記:1〜2日目(東京 〜 バンクーバー 〜 ウィスラー)
日記:3日目(ウィスラー)
日記:4日目(ブラッコム)
日記:5日目(ウィスラー 猛吹雪)
日記:6日目(ウィスラー パウダーデイ)
日記:7日目(ヘリスキー)
日記:8日目(ブラッコム ブラッコム氷河)
日記:9日目(ウィスラー 初心者コース)
日記:10日目(ウィスラー 〜 バンクーバー 〜 東京)
 
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