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マウントハット (4-5日目:トレーニング)

 4-5日目(スキー2日目・3日目)は内容が似ているのと、3日目にカメラを持参しなかったので、一緒に解説します!
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 マウントハット
マウントハット
中級コースだが
マウントハット
トンネルくぐりだ!
注意書き  
 注意事項が英語(青枠)と、日本語で書かれている  

 ツアー4日目(スキー2日目)からは、常にヘリスキーを念頭に置いたスケジューリングとなる。どういうことかというと、ヘリは天気の制約が絶対的なので、「行ける時に行く」という鉄則がある。たとえ晴天でも、風が強かったりするとヘリは飛ばないのだ。また、雪崩の危険が高い時もしかりである。
 前日の夜から、我々は常にヘリスキーが翌朝行われることを前提に準備しておく。そして早朝、ヘリ会社より決行の連絡が入ればいいが、中止ならば通常のトレーニングとなる。天気が相手では仕方ない。同じスキー場には繰り返し行かない習慣がある私にとって、ウィスラーならともかく、この規模のスキー場で5日間も滑っていたら、いいかげん飽きてしまうだろう。

エッヂの使い方を中心に、トレーニングが続く。午後には、「明日はヘリだから」という理由で、パウダーの上を想定したショートターンのレッスンがあった。
 
 夕食は町のロータリー近くの「ラストポスト」というレストランで鹿のステーキを食べる。私はウィスラーでヘリを1回経験したが、ヘリ自体に乗ったことが無い人は、とても緊張していた。明日はヘリだ!。

 ところが、翌日、「天気はいいけど風が強い」とかで、またもキャンセル。ううむ、残念。
 スキー3日目もマウントハットでトレーニングだ。この日はいよいよポールを使ったトレーニングに入る。私のレースコースの体験といえば、2級に合格した後の安比で20mほどを1回滑っただけである。スクールに入ったらマンツーマンになったのだが、先生が途中でプライベートレッスンと勘違いして、本当はコインが必要なナスターレースコースをタダで滑らせてくれたのだ。いくら1級を持ってますといっても、レース経験は無く、ポール経験はこの程度だ。検定一筋の1級がいかに脆弱なものであるか、さらけ出すのはただ1回の滑走で十分だった。

レース ポールレース
正しいイメージ   私のイメージ   
 うまい人の真似をして(したつもりで)とりあえず滑ってみる。すると伊東デモからアドバイスを受ける。
「あのですね、本来、ポールがこういうふうに並んでいたら、このようにコースをとって滑るんですよ」と言って、雪面に右のイメージ図のようなS字カーブを描いた。「でも、清水さんの滑りはこんな感じで、スピードのロスが大きいんですよ」と言って、右の稲妻のような線を書いた。このコースどりに関してはうまくなるといろいろ議論はあるそうだが、最初のうちは基本に忠実にあるべきだろう。私ともう一人、レース経験の少ない人が指導を受ける。ふむふむ、よく分かった。でも、これってすごく基本的なことじゃないの?。ナショナルチーム出身の現役デモンストレーターにこんな指導を受けるのは、シューマッハに車庫入れを教わるようなものだ。ありがたくも、もったいなくも、おそれおおいレッスンであった。
 マウントハットには、ファンキーなコースも多い。途中にぐるりと回ってトンネルに入るコースや、高速で滑って60度くらいの壁を滑るコース(ボーダー向け)もある。昔、忍者は塀を真横につたって走れるほど速く走ったというが、そんな感じだ。
 ジャンプ台もある。みんなでジャンプする。そうしたら、モーグラーの一人がコザックを入れようとして着地に失敗、両手を広げて顔面から落ちて、サングラスでまぶたを切ってしまった。彼は病院に行ってしまった。そのため、彼だけはヘリができなくなってしまった。注意しよう。
 私は着地と同時に板が外れて転倒したが、無事であった。それにしても、私はジャンプすると板が外れる確率が高い。その理由がついに判明した。
 全員でウェーデルンのフォーメーションを行う。悪雪だがコブは無い。ところが、よりによって私だけ板が外れて転倒したのだ。自分ではバランスを崩していないので外れた板が流されるのが見えるのだが、拾いに戻るのが面倒なので自分から倒れることにしている。
 伊東デモにそのことを話し、「バインディングの開放値、3じゃだめですかね」と言ったら、周囲にいた人がみんな振り向き、「3じゃあだめだ!」と口をそろえて言われた。伊東デモはびっくりして私のバインディングに乗った雪をストックでひっかき、値を確かめたほどだ。
 私はスキーを始めた2年目、初めて自分の板であるフィッシャーを買った時、店の人から「3でいいですよ」と言われた。初心者はそれでいいのだが、その値を守りつづけていたのだ。小回りを覚えたり、コブ斜面に入ったり、ひねり動作を使うようになると4〜5は必要で、レーサーはさらに高い値をとる。女の子から、「私の体重で3ですから、清水さんはだめでしょ」と言われた(私は68kgほど)。
 私は社会人になってからスキーを覚えたので、周囲にアドバイスしてくれる人はいなかった。これでよく、1級の総合滑降をしのいだものだ。3月にアメリカに行った時も、エッヂが丸まっていて、村里先生からあきれられたものだ。なお、ジャンプした時に板が外れる確率が高いのも同様である。
 宿泊所に戻ると、さっそく開放値を5にした。
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鹿のステーキ ラストポスト
 鹿のステーキ、すてき!  ここがラストポストだ
メスベン メスベン
 バーは2軒しかない。これがブルーバーだ  もう1軒、ブラウンバーだ
メスベン メスベン
ゴーストタウンだ 小さいスーパーが2軒あった
メスベン メスベン
 犬は入口近くで待つ  レンタサイクル
メスベン ジャグジー
 こんな自転車に乗ってみたい  ホテルはジャグジーも。
オーストラリア人も来ていた
スキー
  スキー入門のような本を読むと、板の手入れや用具の使い方などが書いてある。相談する先輩がいない人は、たまに本屋で読んでみるといい。初心者のころと上級者になってからでは意味が変わり、時々「ああそうだったか」と思う発見がある。また、意外と基本的な道具の使い方を知らなかった、なんてこともある。

(追記)
 もうひとつ、スキー板の開放値だが、レーサーなどかなり高い値に設定する人もいるが、ゲレンデスキーヤーが高すぎるのも考え物だ。数年後、オーストリアのバドガスタインでホワイトアウトに近い中、急斜面でうっかり板がまっすぐささってしまい、前方に回転したが、開放が遅れ、足の脛のうらを痛めてしまい、ブーツ以外で歩くときは痛くて仕方がなかった。あやうく、その後の1週間の滑りがキャンセルになりかねなかった。私のキャリアでの最大のケガであった。
 
 
マウントハットの概要
日記:1・2日目(東京 〜 クライストチャーチ 〜 メスベン 移動日)
日記:3日目(足慣らし)
⇒ 日記:4・5日目(トレーニング)
日記:6日目(ヘリスキー!)
日記:7日目(レース)
日記:8・9日目(メスベン 〜 クライストチャーチ 〜 東京 )
  
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