アルプスのそろいぶみ | |||||||||
グリンデルワルト・スキーをひとことでいえば、それはツェルマットに似て「観光スキー」といえるだろう。長距離コースはとんでもない数ほどあるのだが、これは世界中捜せばいくらでもある。しかしアイガー、メンヒ、ユングフラウ、ベッターホルン、といった、日本でもカレンダーやポスターで目にするような名だたる景観はそう見られるものではない。さらに主要な部分に鉄道、ロープウェイ、Tバーなどをふんだんに使った搬器構成は機動性が高いものではない。だから「ノンストップでガリガリ長距離を滑りたい」という体育会系の人には不向きというか行くべきところではなくて、むしろ「のんびり景色を楽しむのが好き」「アルプス好きで夏に来て良かったから冬も来た」のような、観光の特色が強いスキー場といえる。(体育会系には、北米がお勧めだ) |
|||||||||
■場所とアクセス (地図は米国Yahoo!提供のものを加工)![]() |
|||||||||
時差:8時間(スイスの朝7時は日本の午後3時) ただし夏時間では7時間差 通貨:スイスフラン 2006/2月クレジットカード決済のレートで1スイスフラン(1CHF)=91.76円 |
|||||||||
ヨーロッパスキーは飛行機の時間が長いのは覚悟だ。しかしツェルマットがチューリヒからえらい遠い(しかもバスで乗り入れできない)のに比べて、こちらはバスで2時間ほどだ。道路が発達し、昔に比べてアクセスしやすくなっているらしい。 グリンデルワルトはベルン州に属しており、ベルン州の南部一帯をベルナーオーバーラント(Berner Oberland:「ベルン州の高原」の意)という。その中でも2つの湖に挟まれた交通の要衝にインターラーケンという街があり、そこから山の上へ登山鉄道でトコトコ登っていった標高1000mほどのところにある村がグリンデルワルトだ。欧米人にはインターラーケンに宿泊する人も結構いるらしい。 |
|||||||||
アイガー北壁だろう。特にメンリッヘンあたりから見るとドドンとおむすび型の超巨大な壁が立ちはだかっているように見えて圧巻だ。ただツェルマットがマッターホルン1つにまかせっきりという感じであったのに、ここはメンヒ、ユングフラウの他、視覚的にはアイガーと並んでベッターホルンがすばらしい。ただしあくまでも景色を楽しむ観光地なので、ウィスラーのようなナイトライフが楽しめる所ではない。酒場以外は全部閉まると思っていい。 その他有名なユングフラウ鉄道という、山の中をくり抜いた鉄道が走っており、ヨーロッパ最高地点(3454m)の駅、ユングフラウヨッホに登ることができる。ここからはアレッチ氷河やその他の景色を楽しむことができる。もうひとつ、シルトホルンには映画007で有名になった回転展望レストランがありここから眺めるアルプス3山もすばらしい。この2つはどのガイドブックにも載っている。スキー板を履いていない、一般観光客も大勢押し寄せるだけのことはある。せっかくだから、天気がよければ行ってみよう。 |
|||||||||
■旅行費用とツアーの選び方 費用はおしなべて高い。特に飛行機では原油高による上乗せもあったが、アメリカやカナダのツアーと異なりホテルは食事付の値段を基本としているのでなおさら高く感じられる。特に今回のホテルは食事がうまくなかったので、ちょっと損した気分だ。 ツアーに乗るならガイド付のツアーの方がいいだろう。登山電車などを利用した複雑なアクセス方法が必要なので、初めてだと不安になったり、無駄な時間を過ごしたりしかねない。特にシルトホルンとユングフラウヨッホはそうだ。いきなりチャーターバスで目的地まで行くほうが時間の節約のみならず朝のいい時間にいけるので断然有利だ。もしどうしても一人で行くなら、最新の事前情報を徹底的に集め、さらに念のため現地でも最新の情報を確認する必要がある。 なお私は今回、日程との兼ね合いであまり好きでないF社を利用したが(ガイドは態度のよろしくないのが多い)、今回は4回目にしてガイドさんは大変まともであった。 |
|||||||||
■物価 高い。とにかく、高い。ほとんど暴力ともいえる高さだ。特にひどいのは野菜とおみやげ類だ。もともと野菜はあまりとれないらしくて、それを外国人観光客向けに調達するものだから、観光客が見たら失神するような高さだ。おみやげも超強気の超高飛車値段で、いいかげんイヤになってしまう。お土産屋に入るのは、山賊の巣窟に入るのに近い。身ぐるみを剥がされてしまいそうだ。日本へのお土産はスーパーでチョコレートなどを調達することをお勧めする。 |
|||||||||
![]() |
|||||||||
グリンデルワルトのタウンマップ(大)(スイス政府観光局オフィシャルサイトの地図を加工) ※たいていの観光地図はアルプス三山を背景にする鳥瞰図なので南北を逆にしている。 この地図は北を上にした公式のものだが、一般のガイドブックでは南北逆転したものが多いので注意。 スイス政府観光局オフィシャルサイト:グリンデルワルト(日本語) |
|||||||||
![]() |
|||||||||
■タウンガイド 宿泊したのは地図の左端にある三ツ星のユングフラウロッヂ。別館としてユングフラウロッヂ・クリスタルというホテルが道路を挟んだ向かいにあり、そこに宿泊した。本当は料金が高くてもツアーが四つ星として提供しているアイガーに泊まりたかったが(私の両親が昔宿泊したことがある)満室のため断念した。ただ同じツアーでアイガーに宿泊した人によるとメイン通りに面していて、最初は外の音が気になるとか。また食事は「四つ星としてはちょっとねえ」という内容らしいが、毎朝必ずサラダバーが出るという。日がたつにつれて、それが非常に魅力的に感じられるようになった。ユングフラウロッヂは朝夕通して全く野菜が出ないのだ。なおホテルアイガーの1階にはメモリーというレストランが入っていて、ここは日本語メニューもあり、おいしくて日本人にも人気がある。もしあなたがツアーを使わないならば、このあたりのホテルはほとんどインターネットで予約できるのでぜひ活用してみてほしい。どんな食事が出るのかもチェックしてみよう。日本人観光客が多いだけに情報もなかなかある。 街そのものは非常に分かりやすい。街のようなウィスラー、シャモニ、川を挟むツェルマットに比べるとメインストリート1本と、生協に別れる枝道だけでほとんどOKだ。この枝道の分岐には日本語観光案内所があるのでいいランドマークになる。ユングフラウロッヂのように鉄道駅よりも下に宿泊しているのでなければ、鉄道駅を西の基点と見ていい。そこからずっと上の方(東側)にゆるやかなのぼりになっているのだが、まあ教会あたりまでで十分だろう。通りから山の方向にはメッテンベルクという山またはベッターホルンが見えるから、方向を間違うことはない。ところでこのメッテンベルクという山、バンフのカスケードマウンテンによく似ていて、通りを歩いているだけでも楽しくなってしまう。 |
|||||||||
■グリンデルワルトのタウンマップ(上記のメイン部分を拡大) 鉄道駅からゴンドラ駅まで500mくらい | |||||||||
![]() |
|||||||||
夜に到着した場合、たいていの店は閉まっているとみていい。駅には自動販売機もあるから、枕銭の1フランを両替するつもりでジュースでも買ってみていいかもしれない。駅前からホテルと高級なお土産屋(主にスイスの時計)が並ぶ。右手にはアイガーをバックに大きなバスターミナルがある。道路は二股に分岐し、右は車が通る道路。右には小さな公園と、その隣に観光案内所(オフィシャルなもの)とスポーツセンターがあり、中には温水プールもある。分岐点には日本語観光案内所があり、ここでは日本円の札をスイスフランに両替できる。多くのサイトで新札不可と紹介されていたが(2005年夏は新札はだめだったらしいが)、2006年2月はOKだった。ただしここの日本人のお兄さんに郷土博物館の営業時間を聞いたら、「冬期は閉鎖で営業していません」と断られたが、これはウソ。ガイドに聞いたら曜日を限定して冬でも開館営業しているというので行ってみたらその通りだった。日本人でも信用できないから注意だ。 左の小道はスポーツ用品店が並ぶ。日本より高く売っていたりするから油断禁物だ。そしてすぐにスーパーのミグロスがある。そのすぐ上に生協があるが、生協の方がおしなべて安いので買い込むのは生協にしよう。生協は日用品までたいていのものはそろってしまうが、もともとの物価が高いので安さに対する感動はない。それでも特売品(まとめ買い用が多いが)はかなり安い。ただし野菜は高いから覚悟だ。 ここからちょっと歩くとふたたび元のメイン通りに合流する。このあたりはホテルも多いがその1階の通りに面した部分はレストランを営業している場合が多く、またスポーツショップやお土産屋が建ち並ぶ。ホテルアイガーもこのあたりだ。ミニゴルフのゴルフ場があり、ホテルサンスターの手前、ちょっと寂しいかなと思うや、左カーブの先にアルテポストなどスイス風の建物のホテルが並ぶ。その先右手にドルフ教会があり、その隣が郷土資料館だ。ベッターホルンの写真を撮りたい人はもうちょっと先に行って木造の小屋だけがファインダーに入るような場所まで行くことをお勧めする。そうでなければこのあたりで引き返すのがいい。 |
|||||||||
![]() |
|||||||||
ユングフラウロッヂから駅までの上り坂。 正面はメッテンベルクという山 |
駅前。左が駅で、正面がホテルヴォルター。 むこうにベッターホルンが見える |
||||||||
駅。この裏にクライネシャイディック への乗り場がある |
駅前から。正面の白い建物が日本語観光案内所。 左脇に生協行きの小道がある |
||||||||
日本語観光案内所前のヤギの像 | 脇の小道を登る。正面に生協がある | ||||||||
生協入り口 | 果物はけっこう多い | ||||||||
野菜、高いなあ | アッペルザフト(りんごジュース)はお勧めだ | ||||||||
水は安い。産地が近いからなあ | こんなかんじだ | ||||||||
乳製品はさすがに充実。 酪農国家だ |
これ、子供のいる人にお勧めです | ||||||||
ハーブキャンディもおみやげにいいぞ | これまたチョコレートも充実。さすがスイスだ | ||||||||
スイス生協のマークがあると、逆に日本では 入手しづらいのでおみやげにいいかも |
ニッポンというお菓子、ライスチョコだ! | ||||||||
空港で買うともっと高い | まとめて買わないと安くならない | ||||||||
日用品はたいがいそろう | 売り物じゃないよ いきなりカメラ向けられてびっくり |
||||||||
レジのシステム。ここからここまで私のよ、という シキリを置く。かごから出す手間が省けるのだ |
ホテルアイガー。1階はレストラン「メモリー」 | ||||||||
メッテンベルグがあるので、方向を間違えることもない | サンスターの手前あたり。 ベッターホルンがよく見える |
||||||||
![]() |
|||||||||
1週間いたら、全部晴れると思わない方がいい。いざというときのために、オプション日を自分で用意しておこう。私はベルン観光を予定していたので、即座に対応できた。 | |||||||||
![]() |
|||||||||
スイス政府観光局オフィシャルサイト:グリンデルワルト(日本語) | |||||||||
![]() |
|||||||||