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グリンデルワルト・スキー日記:4日目

フィルスト

 みんな、どこにいった

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 昨日、ベッターホルンに雲がかかりはじめて天気が悪くなりそうだと言ったが、その通りのガスっぽい天気となった。天気予報も数日前から今日あたりに天気が崩れると言っていたので驚かなかった、というか、むしろ大切なユングフラウヨッホやシルトホルンを快晴で訪れることができたことに感謝していた。これだけでも今回のスキー旅行は「天気がよかった」と評価できるだろう。今日はまあとりあえず景色がそこそこ楽しめればいいかなあ。
■ベルナーオーバーラント全図 (地図はスイス政府観光局のものを加工)
BernerOverland-First
ICカード
これがICカードだ
フィルスト ゴンドラ
これがゴンドラ駅だ
フィルスト ゴンドラ
北70cm以上離れないと
感知されてしまうよん
First Grindelwald
本場スイスのCWAゴンドラだ。
日本ではコクド系スキー場に多い 
 今日は乗り合いバスで行く日だ。ホテル前のバス停で乗り、駅前の次の次くらいにFirst行きのゴンドラ駅がある。夕方には散歩でよく来るところだが、ブーツを履いているのでバスでないと苦しい。ゴンドラ駅でツアー客全員と合流し、乗り込むことになった。
 ところで、ここでちょっと改札を通る時の注意について。ツェルマットやグリンデルワルトではゴンドラやリフトの改札にはICカードが使われている。このICはなかなか感度がよくて、改札の近くに寄るだけでも感応してしまう場合があるようだ。山手線の改札のつもりで前の人と間隔をあまり空けずに通過しようとしたり、混雑で前の人がゲートのすぐ向こう側で止まっているからとゲート手前でじっとしていると先にICを読み取られてしまう。そして一回読み取られると、そのゲートでは同じ人は数十分経過しないと通さない仕組みになっている。そのため自分が本当に通過しようとしたときに「おまえはさっき通過しただろ、カードの使いまわしは許さん」と言ってゲートは開かなくなるのだ。こういうときは係員に事情を説明しないと通過できないのだが、ラッシュに慣れた東京の人間は注意だ。
 もうひとつ、ICそのものが調子が悪くて感応しなくなることがある。こういうときはウェアの外側で何回かこすってやると復活するらしい。ところが私は昨日、どういうわけかICカードが完全に死んでしまった。ガイドさんが新しいものに再発行してもらい、それを受け取ったのでまた通過できるようになったが、もし最終日の自由行動の時だったら面倒になっていただろう。なおこのICには日数設定があり、6日券だとChf253.0、それにChf5.0がデポジットとして乗ってくる。返却時にデポは返金してくれる(私はおみやげに持ち帰ったが)。
 ゴンドラはスイスのCWA社のものだ。なだからで広い、いかにも牧場という感じの山を登っていくと途中から樹木が無くなり、向かいのベッターホルン(クライネシャイデックからは横顔しか見せない)が、真っ黒で荒々しい岩壁を大きく広げて見せるようになるとそこが降車駅だ。
■フィルスト地域(上図の左側) (地図は配布パンフを加工)
Grindelwald First
フィルスト ベッターホルン
ベッターホルンがどどんと
しているぞ
First Grindelwald   
こんなに横に広がっているとは
知らなかったなあ
First Grindelwald
アイガーは腰が引けて
いるように見えるぞ
First Grindelwald
えらい広いところだ
First Grindelwald
左の高峰がフィンスターアールホルン、
右端がアイガーだ 
グリンデルワルト
上部のコース。地図の右側へ移るコースだが、
とにかく樹木がない 
 駅を降りてみると、これまた広大な景色が広がっている。正面にはベッターホルンがでかい顔をアップで見せてくれる。あの断崖絶壁は雪が付くはずも無いので、とにかく真っ黒だ。それでいて大きな氷河を従えて、貫禄十分だ。「おまえはこんなやつだったのか」と思いたくなるほど違う山容だ。逆にあのアイガーは横顔を見せることとなり、この角度からだと迫力はあまりない。腰が引けた感じで、どうも逃げ腰に見える。とにかくヨーロッパアルプスの山は富士山と異なり、見る角度によって表情が思いっきり異なるのがいい。
 アイガーとベッターホルンの間くらいにとがった高い山が見える。ガイドさんによるとあれはフィンスターアールホルンという、このあたり(ベルナーオーバーラントアルプス)で最も高い山だという。標高は4274m、ユングフラウが4158mだから、高さでは間違いなく上だ。しかし周囲を氷河に囲まれていて近づきがたいのに対し、ユングフラウなどのアルプス三山は観光地グリンデルワルトやウェンゲンから近くてハイキングやスキーに適したクライネシャイデック、メンリッヘンからもよく望めるので、知名度は段違いの差があるという。私も実は初めて知った山だ。そう、山は高ければいいというものではなく、見た目やアクセスのしやすさだのといったマーケティング要因も重要なのだ。妙に感心してしまったが、この地点から見る景色は断崖が多いせいか、雪付きが悪い黒い岩壁の世界で、白いのは雪ではなく氷河ばかりだ。実に寒々しい荒涼とした景色だ。
 さて、天気はあまり良くないというか、遠くの山はガス気味だ。油断のならない雲がどんよりしているが、吹雪いていないだけでも感謝だ。
 とにかく広いバーンを滑る。コースはどこを滑ってもいいわけだが、起伏の状況により、なんとなくコースのようなものがある。リフト乗り場まで、まっすぐ急斜面を滑るか、大回りして緩斜面でいくか、の違いくらいだ。上部は1本では足りないのでもうちょっと滑ろうということになり、各自思い思いのコースをとって、リフト乗り場に集合となった。私は写真を撮って時間を使う代わりに急斜面を選び、リフト乗り場へ。
 しまった、誰もいない。やばい。しかもここから滑り出すには多くの選択肢があり、どこへ行ったか検討がつかない。やむなく今乗ったばかりのクワッドにもう一度乗り、コースで誰か見かけたら声をかけようと思った。しかし、誰に会うでもなく、そのままクワッド乗り場まで滑り降りてきてしまった。置いていかれた。周囲に完全に仲間がいないことを確認すると、やむなく単独モードで行動することにした。お昼はゴンドラ降車駅でとる約束があったので、ガイドさんはおそらく「全体を網羅するために、最初に一番遠いところまでいくだろう」「高い所の方が日本離れした景色なので、下部をジグザグに移動するのではなく、上部をクワッドを使いながらジグザグに遠いところに行くであろう」と読み、最高地点から地図の右側のTバーへジグザグに滑り込むことにした。
 いったん腹を決めればどこか気が楽だ。フィルストは帰りの電車とかバスを気にしなくていいので、ちょっと余裕だ。リフトで上部へ出ると、とにかく樹木とかが無くて、周囲の山も岩だらけで、これはとにかく文章ではなく写真を見ていただきたいのだが、本当に氷の世界だ。飛行機だのリフトだのが無い時代は、日本人はもちろん欧州の人でもめったに見ることができない景色だ。崖の上にわずかに草が出ているところがあり、そこに野生の鹿が数頭いた。この世界は長く、彼らだけのものであったはずだ。
 小屋の脇をすり抜けるようなコースを滑り、地図の右側へと移る。仲間はどこにも見えない。そして右端のTバーに乗っていたら、なんとはるか上の降車場にガイドさんがいるではないか。じっと私の方を見ている。ストックを振ったら私だと確信したようで、元気よく手を振ってきた。降車してから聞いてみたら、全員集まったか確認しないで次のリフトに乗ってしまったらしい。つまり私はリフト1本分、まるまる遅れたのだ。しかし私がたどったコースは、ガイドさんのコースと完璧に同じであった。ううむ、ヨミは正しかったか。ガイドさんは「しみずさんでよかった」とか言っていたが、そもそも、置いてけぼりはカンベンだ。
 昼食はゴンドラ駅にあるレストランだ。私はスイス料理の代表ともいうべきロシティを注文した。じゃがいも主体のチーズ料理で、見ただけで鼻血が出そうなほど栄養ありそうだが、これを連日食べて野菜をとらなかったら高血圧で死にそうだ。ううむ、サラダが欲しいなあ。飲み物は例によってぶどうジュースだ。みんなはホットワインを注文していた。これはツェルマットで飲んだことがあるので、今回はパスだ。
 食事が終わるころ、外では雪が強く振り出した。風は強くないが、もう遠くの山は見えない。上部をちょっと滑っていたが、雪はますます強くなるばかりだ。とりあえずほとんどのコースを滑ったということで、下山にとりかかる。ゴンドラに沿った長いコースを延々と滑る。途中でゴンドラ下から外れて、グリンデルワルトの村のはずれに出た。そこから板をかついでちょっと歩いただけであの教会に出た。
 午後は仕方ないとして、午前は景色を楽しめたのでよしとしよう。またガイドさんが付く日程は今日までだ。明日は自由行動なのだが天気は崩れまくりだという。みんなはミューレンの町に行ってみようとか行っているが、私は天気が本当にだめならベルンに観光に行こうかと思う。
 クライネシャイデック、シルトホルン、ユングフラウヨッホ、そしてフィルスト。必修科目をまずまずの天気で終えたのでとりあえずはホッとした。
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グリンデルワルト ゴンドラ グリンデルワルト ベッターホルン
救急ゴンドラだ ゴンドラの鉄柱だ
First Grindelwald First Grindelwald
大変分かりやすい 迫力のある岩の屏風だ
First Grindelwald First Grindelwald
上部の広いコース ベッターホルンとリフト乗り場
グリンデルワルト フィンスターアールホルン First Grindelwald
乗り場の近くにはガケが
(後方はフィンスターアールホルン)
しかしおっかないガケがあるものだ
First Grindelwald First Grindelwald
ん?なんじゃこりゃ おお!そうか、移動するための
鉄パイプか!
First Grindelwald First Grindelwald
近くで見るとこんなかんじ いろいろ利用されています
(レースコースのゴール脇の監視小屋)
First Grindelwald First Grindelwald
日それにしても寒々しい風景だ 子供はここから!
First Grindelwald First Grindelwald
ティッシュもあるぞ リュックをかけるものらしいが
First Grindelwald グリンデルワルト フィルスト
趣のある小屋がポツンとあったぞ 上部はこんな感じ
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
スクールでの目印の風船 みんながんばれい!
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
アイガーにも雲がかかってきたぞ とにかく広いところだ
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
みんな、どこに行った このリフトがあやしい
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
面白い岩棚が見える。
リーゼントのようだ
なぜかぽっこりと緑が出ている
(人の大きさと比べると広さがわかる)
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
この緑の上に鹿が見えるぞ 最高地点付近
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
ベッターホルンが丸見えなので
方向を間違えることはない
もうアイガーは雲の中だ
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
おぶって乗っちゃだめよ このTバー上部で
ガイドさんと再会した
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
Tバー上の休憩所なのに立派な建築だ ランチのためにゴンドラ駅に戻る
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
夏ここがレストラン。なかなか広い 犬もいたぞ
グリンデルワルト ロシティ グリンデルワルト ホットワイン
これがロシティで、Sfr18.5。なかなかうまい
ぶどうジュースSfr4.5、コーヒーはSfr3.6だ
ホットワイン。値段は聞き忘れました
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
お土産の牛乳石鹸は
日本語のPOPもあったぞ
レストランの入り口だ
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
変なオブジェだだ 雪が強くなってきた
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
股間に挟むタイプのバーだ こちらTバーは2人乗りが基本だ
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト フィルスト
先生から離れるな かなり下ってきた
グリンデルワルト フィルスト グリンデルワルト 鹿
やっと村が見えてきた 金網に囲まれた鹿の牧場があった。
ほとんど食用らしい
グリンデルワルト 食事 グリンデルワルト 食事
今日はコースの写真を!。
奇跡的にサラダが出た!
よくわからないスープだがまずまず
グリンデルワルト 食事 グリンデルワルト 食事
これがメイン。ハンバーガーセットから
パンを抜いたみたい
デザートが出たぞ。
今日のディナーは滞在中、一番まともだった
スキー
 短期日程のスイス旅行であっても、ぜひ食べていただきたいスイス料理は、チーズフォンデュとロシティ、そしてラクレットだ。どれもチーズ料理なのだが、スイスが酪農国家であることを実感することができるだろう。
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グリンデルワルトの概要 (タウンガイド) 
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スキー日記:2日目  シルトホルン
スキー日記:3日目  ユングフラウヨッホ
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スキー日記:5日目  ベルン(休憩日)
スキー日記:6日目  ウェンゲン(自由行動)
スキー日記:7日目  移動日:グリンデルワルト 〜 東京
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