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シャモニ・スキー日記:3日目
 
バレブランシュの氷河スキー(Vallée Blanche) 


シャモニよりロープウェイを2本乗り継ぎ、一気に富士山より高いエギュイーユ・ドゥ・ミディに登る。

ここから氷河に入り、巨大セラックを眼前にするレストラン付近で長い昼食。午後は下部のバレブランシュをベルト峰、ドリュー峰を見ながら滑る。

モンタンベールより登山鉄道でシャモニへ戻った。
        バレブランシュの鳥瞰図
   
ロープウェイ駅
ロープウェイの駅は大混雑だ
 
縦ミディ
岩山をくり貫いて造った
  ミディの尖塔。
左手にはシャモニが
■ミディ峰の尾根を下る。左手
 はシャモニの町が見える。
右手には氷河が
■右手には氷河が広がる。
  中央の高い山がグランドジョラス
デタキュール
■モンブラン・デュタキュール
 (4248m)も氷河を育む
ジェアンいいね
正面がダン・デュ・ジェアンだ
 
氷海にて
氷海にて。右手に右を向い
  たダン・デュ・ジェアンが見える
ああ疲れた
■モンタンヴェール駅のテラスから
  氷海を見る
 天気はいい。いいうちに、必修の単位は取得しなければならない。シャモニの必修単位とは、バレブランシュの氷河スキーを意味する。あのエギュイーユ・デュ・ミディ(3842m)に登り、そこから20km以上に及ぶ氷河スキーをするのだが、ツェルマットと違う点は、(1)コースが整備されていないので、ガイドと滑ること。(2)クレバスがあったときのために、ザイルを装着すること(やらない人も多いが)。(3)最後はモンタンヴェールの登山鉄道で町に下る、つまり繰り返し滑るのではないので、風景を楽しみながら、弁当持参でチンタラ滑る、観光スキーである。以上だ。
 日本人3人では商売にならないのか、フランス人ガイド1人に、他の客(当日、車で到着したようなアベックなど、フランス人を含めて10人くらい)と一緒に滑ることになった。
 
 さて、エギュイーユ・デュ・ミディへのロープウェイの駅へ到着。すると、いるわいるわ、えらい数のスキー客が。みんな考えることは同じだ。ガイドが全員の分の整理券を受け取り、駅前の喫茶店で時間をつぶすことになった。ここでザイル用の器具(パラシュートで飛び降りる人が使うような登山道具)を体に巻きつけたのだが、使用している人は半分もいなかった。
 時間になり、ロープウェイに乗る。すごい斜度で登り、中間駅で降り、次のロープウェイに乗る。右手には、あのボソン氷河がクレバスをぼこぼこに見せながら、延々とつながっているのが見える。斜度がきついため、ヨーロッパ最高速で動くのでこうなるのだというが、氷河というよりも氷の滝のようだ。
 
 しばらくして、エギュイーユ・デュ・ミディの駅に到着。全員をザイルで結ぶ。展望台には全く立ち寄らず、すぐに出発することになった。シャモニ・スキーの観光パンフレットには、この展望台からスキー板を履ける場所までロープを伝って降りていくところが有名だ。写真を見ると、何だか登っているように思えたが、実は尾根づたいに降りていくのであった。
 ここで、事態は急変する。苦しい。息が切れる。気分が悪い。なにしろ、富士山より高い場所にいきなり上がってきたのだ。板とストックを左手に、右手でロープをつかみ、ゆっくり降りていくのだが、ものすごく疲れる。クラクラするし吐き気すら覚えるのは情けないが、それでも首から下げていたカメラで周辺を撮影する。尾根の左側は、はるか眼下にシャモニの町が見おろせ、対岸には昨日滑ったブレバンが見える。下の町からミディを見上げた高さよりも、ミディから見下ろした町の低さの方が、はるかに高低差を感じられるから不思議だ。一方の右側は別世界だ。広大な氷河が待っているではないか。ゼーゼー言いながら、何とか板を履ける場所まで降りた。ここでザイルが外され、全員板を履く。呼吸を整えやっと落ち着く。
 
 さて、コースはバレブランシュのやや急斜面ではなく、岩山1つ隔てた隣のジェアン氷河を経由する、緩斜面コースをとる。ちんたら行くにはいいだろう。ガイドを先頭に、一列になって滑る。とにかく広い。岩原や栂池のバーンに感動していた自分が可愛くなる。モンブラン初登頂のスポンサーだった博物学者のソーシュールは、このジェアン氷河に来て「心が高まり、空想が広がり、この荘厳な静寂の中に自然の声を聞いたような気がする」と書きとめたそうだ。そういう場所に、日本から一昨日来たばかりのスキーヤーが、テレテレ滑っていられるのだから、ありがたい限りだ。時々止まってはガイドが何かしゃべっているが、分からない。写真スポットに来ると立ち止まり、みんなカメラを取り出す。のんびりしているが、立っているだけでも価値がある時間と空間だ。ゆっくり行こう。空高く、何か変なものが見える。イタリア行きのロープウェイだという。3800mの高度で氷河を横断し、国境を越えるというから驚く。八方と岩岳をロープウェイで結んでも及ばないだろう。発想自体がすごい。
 
 上部は雪が十分にあり、クレバスの危険は全くないようだ。のんびり滑る。正面には、とんがり帽子をかぶった山が見える。これがダン・ドゥ・ジェアン(Dent du Géant: 4013m)であり、「悪魔が棲む山」と言われたそうだが、とても絵になる山で、一目見て気に入ってしまった。
 
 途中、急斜面の部分ではクレバスがぼろぼろになって流れており、その眼前にあるレストランで昼食となった。中は混雑して入れないので、持参してきたサンドイッチを雪の上で食べる。昼食は1時間くらいだろうか。日差しがよく、風が無いので、それほど寒さは感じない。雪の上で上半身を脱いで日光浴している人もいる。
 下はさらに緩斜面になる。ストックで漕がなくてもすむ程度の斜面だが、目の前にどどどーんと岩山がそびえる。これがドリュー峰だ。もうすぐ終点という所で、クレバスを滑るという。といっても、このへんは浅くて、危険ではないのだが、細くなったクレバスの裂け目の間を斜面に対して横切るように滑る。写真の通り、身の危険を感じるほどのものではない。
 この辺りはメール・ド・グラス(Mer de Glace:氷海)と呼ばれる。それは、バレブランシュ、ジェアン氷河の他に、昼食場所より下のタキュル氷河、そして遠くのレショー氷河、タレフル氷河などの氷河が合流しているからだ。河が合流して海になるわけだが、標高が低いため氷の量が融けて少なく、その幅も狭いことから、海のイメージとは程遠い。でも、氷海と言うんだな。
 
 登山鉄道の駅に到着。ここで思わぬ伏兵に遭う。このツアーの最大の試練、階段である。なにしろ、登山鉄道の駅、モンタンヴェールまでゴンドラで登るのだが、そのゴンドラの駅までが、十階建てのビルを登るような階段があるのだ。てっきり今日は終わったつもりで、日本でいう「温泉気分」になっていたので参った。とにかく、ストックを杖にし、休みまくりながら階段を上がる。鉄道の駅で30分以上休憩。帰りの電車では寝てしまった。

手洗い 第一区画のRW ミディを望む
■「御手洗」「階上」「男」「女」
 が読めるだろうか。日本人が
 多い証拠。駅前の喫茶店で
下の区間のロープウェイ
     
駅からミディを望む。
 待ってろ、行くぞ
やってるねえ く、苦しい がんばれ
展望台駅から氷河へ
  下る人たちの列

私も下る。下りなのに空気
  が薄くてつらい 
おい、もうすぐだ
グランドジョラスの出迎えだ わくわく ミディ
さあ、着いたぞ、行くぞ! ご満悦。 ミディ展望台を氷河側から。
 シャモニでは、向こう側を見上げ
 ていた
空が青い
滑りだし口を見上げる
  
ミディの手前に大きな岩が 左下の点々がスキーヤーだ
氷河の上から振り返る このへんが氷河が生まれ
  るところだ
中央のやや右にスキーヤーの
  点々があるの分かる?
針峰は氷河でできた
  証拠だ

 
ジェアン氷河を滑る。
  正面はラ・ヴェルト
とにかく広い
さて
奇岩が多い
   
さて、これからやばい所
  を滑るぞ

  
コブ地帯。ここさえなけれ
  ば、初心者でもバレブランシュ
  はOKだ
   
うふふ 日向ぼっこ
セラックの前でご満悦。
 ザイルのハーネスを着けながら
ここがレストラン ひなたぼっこ

でかいな で、でかい すいすい
■セラックの前で昼食。写真で、
  この巨大さが分かるだろう
  か?(右の写真見て)
  
左のセラックの下を望遠レンズ
  で撮影。黒い粒のかたまり
  は、スキーヤーだ!!

   
氷河の下部を滑る
恐いよ〜 おいおい クレバスもこわくない
見おろされているようだ
下の方はクレバスも埋まって
  いて、固くしまっている
なんか恐い
鉄道
電車の中はこんな感じ 登山鉄道駅のシャモニの駅 モンタンベールの登山鉄道には
  歴史があるのだ!
ミディからバレブランシュ(左下あたり)とジェアン氷河(右の方)。
 
左に黒々とした北壁のグランドジョラスがひときわ高く見える
圧雪していないのに、とても滑りやすい
氷河とダン・ドゥ・ジェアン
氷海のあたりから、今来たコースを振り返って。真中にダン・ドゥ・ジェアンが上の写真と比べて、
 
反対の方向を向いている。
 バレブランシュは観光スキーであるから、できれば日本語、せめて英語のガイドが付くことを事前に確認した方がいいだろう。ガイドの話した案内の10分の1も分からなかった(特に重要な内容だけ、英語で話してくれたが)。有名な高い山やその歴史、氷河の話など、後になってから知ったことが多く、もし事前に知っていたら、感慨も深かったであろうだけに、残念だ(皆さんは、このサイトのモンブランとシャモニと、アルプスと氷河を読んでから行けば大丈夫でしょう!)。

バレブランシュでは、前ばかり見ないで、時々辺りを見回すこと。同じ風景でも、見る角度によって様子が異なる。振り返ってみて、思いがけない風景に出会うこともある。
  
 
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