バンフ・スキー日記(6日目): パノラマ |
Push, Driver! |
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いよいよバンフ最終日となった。今日は悩みに悩んだ末、パノラマに行くことにしたのは前回のレポにある通りだ。
パノラマはカナダ人の感覚で言えば「バンフ」には入らない。車で山越えを含めて2時間以上かかるので、蓼科に宿泊していたのに白馬に日帰りで行くようなものだ。
パノラマは一言で表現するならば山奥のリゾートであるが、キッキングホース同様、ヘリスキーもできるエリアであり、雪質の良さにより、遠くからパウダーフリークを集めているそうだ。そのためパウダーエリア(悪天候時や夕方に一人で滑るのは思いっきり危険なことだ)がかなり開放されており、リゾートでありながら上部はかなりクロウト好みのスキーができるようになっている。
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PANORAMA MAP |
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山頂の標高は2400mで、サミットTバーの最高到達点は2380m
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暗いうちに出発だ
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「あんた、インディアン?」
ぶわっかもん! |
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さて、着いたぞ
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あの急坂をTバーで!
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雪質はいい
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眺めはまずまず
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あの山に向かって!
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やっちゃったよ
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ベース付近は
べとべとだ |
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インディアンのテントだ
(怪しい) |
送迎車は朝早く出発するという。まだ薄暗い中、待ち合わせのホテル前で寒さに耐えながら送迎車を待った。なにしろバンフから2時間以上かかるのだから、朝早いのは仕方ないだろう。するとバスかと思ったら、10人乗りの車が来た。バンフからパノラマ行きの車は毎日出ているというが、さすがに人数は少ないらしい。パノラマの営業は4月21日までで、雪質はシャンペンスノーどころではないだろうから、わざわざバンフから行くのは変わった人間しかいないのだろう。
ところがびっくり、乗っていたのは小さな女の子3人を含む家族連れ2組と、アベックだった。それにジャパニーズの私が入って奇妙なバスツアーが始まった。
鉄道の踏み切りではとんでもなく長いカナダ横断鉄道の列車につかまり、待たされる。どうせ朝も早かったし、一眠りするか。すると前の席に3人並んでいる女の子たちが楽しそうに歌いだした。「♪Push,Driver、Push Driver♪」日本ではカメラのきむらのテーマソングで知られる歌がしつこいほど繰り返される。しかし元気な子供たちだ。少しは寝かしてくれ。しばらくすると女の子が車内のみんなにお菓子を配りだした。おやおや、なかなかかわいい子じゃないか。すると一人がじいっと私を見つめる。うわ、照れるなあ、見つめないでくれ。すると突然こう言い放った。「あんた、インディアン?」 こら、男前をつかまえてなんちゅうことを言うか!。隣の席のアベックの女の子は腹をかかえて笑い出した。ううむ、全く油断がならん。それでもウトウトしていたら、突然歓声で目を覚ます。目の前に野生のビッグホーンが現れたのだ。ビッグホーンとはヒツジのような丸まった大きなツノを持ったヤギで、カナディアンロッキーの象徴でもある。このへんは野生のシカだのヒツジだの馬だのが棲息しているらしい。2時間の行程とはいえ、ドライブだと思えば長い距離ではないだろう。ビッグホーンを見てからはすっかり目が覚めてしまった。
途中で小休止を入れたので、出発から2時間半ほどでパノラマに到着する。青空が広がり、なかなかいい天気だ。パノラマという名前である以上、どんな景色か見せてもらうかい。
リフト券をカウンターで入手し、早速クワッドに乗る。地図にある通り、ちょっと非効率だが4本ものリフトを乗り継いで山頂へと向かう。
ところで、この最後のリフトが実はTバーなのだが、これは地獄のTバーである。絶対に2人で乗らないとたまったものではない。Tバーは2人で乗ってバランスをとるようになっているが、1人で乗ると実にバランスが悪くねじれてしまう。そのためバーにしがみつかなければならないのだが、ものすごい急斜面が長く続いており、握力が持たない。女性や子供1人では大変なことになるのでなないだろうか。このTバーは2003年の12月からはクワッドになるというが、確かにそうしたがいいだろう。
山頂からの景色はなかなかだ。しかし、アシニボインのような絵になる山があるわけではない。ただ、山に囲まれているだけなのだ。とりあえず360度のパノラマが楽しめるのだが、満足度は今ひとつだ。
まずは「私を下ろして:Get me down」という変な名前のコースを降りる。これは大きく「⊃」の形を描きながら先ほどのTバーに戻る初心者コースだ。これ以外は上級コースになる。景色はなかなかいい。次にもう一度山頂へ。今度は林間コースに入る。林間といっても、ただ木が生えている所(日本では基本的に滑走禁止)を滑るのだ。林間は圧雪せず、パウダーが残っているし、降雪直後はフカフカになるコースだ。この上級林間コースは何も考えずに下へと滑ればいい。初級コースが「⊃」の形なので、下に降りれば必ず初級コースにぶつかることになるので安心だ。しかし、怪我をして動けなくなると危ないので、一人で行動する時は慎重かつ、夕方は入らないようにしよう。
さて、中腹まで降りてきたら、変なものが見える。小さな売店の隣にインディアンのテントらしきものがあるのだ。どれどれ。中に入ってみたら、ストーブやいすがあった。いい感じの休憩所だ。寒いときはこんな場所でランチもいいだろう。数本滑ってレストハウスへ戻る。
今までさんざん食べ物で苦労したので、ランチはピザやパスタ、ハンバーガー系ばかりになってしまったが、はずれる心配がないのでお勧めだ。ところが、コーラを一口飲んで、吹き出してしまった。うえええ、何だこりゃあ!?。なんと、バニラ味のコーラだ!。おい、こんな砂糖の多い飲み物に、においまで甘くしてどうすんだ?。次はチョコレートかストロベリーか?!。ああ、気持ち悪い。普通のコーラを注文しなおした。
再びクワッドやリフトを乗り継いで山頂へ。今日は気温が高いので、山頂付近の方が断然雪質がいい。特設ゲート(上級者限定とか、ケガしてもおまえのせいだ、という脅し文句が並んでいる)のあるパウダーエリアを滑ろうかと思ったが、岩が出ていそうで、もうこれ以上板を傷めたくないのでやめておく。
ゲレンデ下部は雪が腐りだしていて、みんなガニ股になって滑っておる。小回りをやる者は皆無である。よおし、ジャパニーズの1級を見せてやるか。レストハウスへ一直線になるロングバーンのリフト脇を小回りで一直線に滑る。雪面が荒れていて少しベンディング気味だが、みんなが注目しているのが分かる。えへへ。でも雪が腐っていて非常に疲れるので、中腹のコースへ移動する。人は少なく、斜度は強めなので小回りにはいいだろう。ここでまた小回りをやった。すると「ズコッ」といやな音がした。うげっ、岩を踏んだか?。なななななんと、左ストックの先、リングのあたりから先が無いではないか!!!。強い斜度で思いっきりエッヂングした時、勢い余ってストックにエッヂがぶつかり、雪面に突いたストックの先の部分をスパーンと吹っ飛ばしてしまったのだ。うわあ、何てことだ!!。切り口はカーボンストックらしく、真っ黒だ。切れ目は何通りかに入っていた。今、いきなり一発で切れたのではなく、今まで何度もぶつけてもろくなっていたのだろう。右ストックを見ても、やはりエッヂを何回もぶつけた跡がある。
飛んだ先は見渡しても無かった。リフトに乗って切れた場所をもう一度捜索したが、見つからなかった。まあ、カナダに埋もれるならばストックとして本望だろう。迷わず成仏しておくれ。それにしても、爪楊枝のようになった左ストックで滑るのは難儀だ。ちょうど集合時刻が近づいたので、ベースに戻ることにした。
ノーケイではサングラスを壊したし、キッキングホースやレイクルイーズでは板の裏をゴリゴリやったし、今回はストックだ。私のスキー用品にとっては災難の遠征だ。ううむ、次は我が身か。ストックをここで捨てて買おうかと思ったが、1級合格に使ったストックをすぐに捨てる気になれず、結局持ってかえることにした。
帰りは4時15分集合で同じメンバーで帰る。女の子たちは元気いっぱいだ。小休止はとらずに、6時半ごろにはバンフに戻った。
夕食はホテルでとる。カレーが日本のカレーのようでびっくりした。日本人のコックが作ったらしく、米はカリフォルニア米だ。なぜか懐かしさを感じた。
明日は朝がめちゃくちゃに早い。バンクーバーに入る日だ。予定では市内観光のあと、グラウスマウンテンでナイターをやるつもりだ。ここはバンクーバーの夜景に飛び込むようにして滑ることができるので有名だ。しかし残念なことに明日の天気はバンクーバーは下り坂らしい。グラウスマウンテン、行けるかな。荷造りを終えて、とにかく早く寝ることにした。
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パノラマで写したパノラマ写真だ! (うわぁい)
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パノラマはパウダーが売り物のスキー場で、景色は日本的だから、やはりトップシーズンでなければ、カナダまで来て行くほどではないと思う。私は色々見てみたいという目的があったが、単純にカナダを楽しむならば時間をかけて行くほどではないだろう。それでもパウダー目的で遠出したければ、キッキングホースを優先するのがいいだろう。
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今日のアルバム |
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■リゾートタウンとの
連絡ゴンドラだ
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■SOSはSchool of Skiと
School of Snowboardの意味らしい
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■この特大イズは記念撮影用だ
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■中腹の休憩所
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■ベンチを横から見た形が
地図では休憩所を意味する |
■小屋があるなと思ったら、
救助ボートだ |
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■怪しいテントだ
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■一度、利用してみたい
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■Tバー乗り場だ
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■ここまで来るのが大変だ
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■パウダーエリア入り口は
注意書きが両脇にある
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■天気がいい時は日光浴だ
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■上部は上級コースばかりだ
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■迫力ある景色だ
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■眺めはまずますだが
今までと比較すると日本的 |
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■山頂付近の小屋
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■ストックを切った斜面
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■いい感じだ |
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■何だろう?
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■立てて、クライミングをやるのだ
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■リゾートホテルは木造だ
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■ここのパウダーエリア入り口
も警告だらけだ |
■快適な中斜面 |
■これが林間のパウダーコース
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■カナダの巨人の星だ!
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■これだ!!
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■ボトルもあるぞ。注意だ!!
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■スクールの先生の紹介を
写真で。日本だったら、写真を
並べると殉職者かと思われる
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■この車で来たぞ
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■これは野生のシカだ
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