バンフ・スキー日記(4日目): サンシャインビレッジ                            
 天空のスキー場
    
 今日はバンフのビッグ3のひとつ、サンシャインビレッジに行く。朝は30分おきにバスが出ているが、早めに行こう。ロールパンにマーガリンやジャムを塗る。飲み物は値段は高めだが、ビン入りのスターバックスのコーヒーが確実だ。久々にまともな朝食をとったが、テレビの天気予報が思わしくない。昨日は天気が悪いと予報されていたものの、キッキングホースに行ったら晴れていたので、峠越えして良かった、バンフ地区だったら雨だったろうと思いきや、実はバンフ地区も昨日は快晴だったという。この天気予報のねえちゃん、妙にニヤニヤして言うのがなおさら怪しい。でも外を見ると雨みたいだ。気温は最高/最低が+1/-4だ。山間部ではせめて雪だといいな。
 こういう時はなおさらサンシャインビレッジに行くのが定番だ。標高が2000mを超えるので、たいていの雨雲なんぞは眼下になるという。そうかなあ。でも雪山ということは雪が降るということではないか。かといって他に選択肢があるわけでも無い。私が行くころには晴れるだろうという根拠のない確信を持って、サンシャインビレッジに行くことにした。
 バスに乗る。今朝はサンシャイン行きの客が多く、インズ・オブ・バンフの客だけでバスがいっぱいになってしまった。こういう時のために小さなバンが後ろについていて、乗り切れなかった客を拾っていたりする。このへんはカナダらしからぬマメさがある。とはいえ、運命を共にする人数が多いと心強いものだ。国道に出てサンシャインビレッジへと向かう。
 
SUNSHINEVILLAGE MAP 
※黄色がゴンドラ、赤がクワッド、ピンクがペアリフト
  
  
   サンシャイン行きバスだ
  
  
とにかくガスっていたが・・
  
おっ、いいぞ
  
雲に飛び込め!!
  
雲の切れ間に
  
あれがアシニボインだ
  
ルックアウト山は
優美なスロープだ
「ローラーコースター」は
ロデオマシンだ 
直角に曲がるゴンドラ!
  
これは小さなステーキだ
  


 サンシャインビレッジは結構近く、15分もすると到着だ。そこにはスキー場の影も形もなく、ただゴンドラの駅があるだけだ(地図の左端)。ここからゴンドラに乗って入り組んだ谷間に沿って登り、標高の高い場所にあるベースに行く事になる。
 構成する山は左のゴーツアイ山(Goat's Eye:2806m)と、右のルックアウト山(Lookout:2730m)の2つで、地図右手前のスタンディシュ山(Standish:2398m)のなだらかな裾野には初心者向けの斜面が広がっている。すべて左端にあるベースからのアクセスだ。

 最高地点はゴーツアイ側にあるクワッドトップで2730mだ。ご覧のとおり、ゲレンデベースで2000m級(日本のスキー場でゲレンデベースが2000mを超えるのはアサマ2000だけ)。ヨーロッパならロープウェイでアクセスするような所に平気でリフトを架けている。「人工降雪機はありません。要らないからです」と豪語するだけのことはある。

 何色かの原色を使ったゴンドラに乗る。ここの改札でビッグ3の3日券(2週間くらいの間に3日分乗車できる)を見せると、1メートル向こうから改札のねえちゃんがリフト券のバーコードリーダーめがけて光を飛ばし、ピッと読み取っておしまいだ。

 このゴンドラは途中で直角に曲がったりして、なかなか面白いのだが天気が悪い。ものすごいガスで、先のゴンドラが見えやしない。もう景色どころの話ではない。危険でスピードも出せないだろう。しかもここで失敗があった。駅に着いたと思って下車したら、そこはゴーツアイ山の中間駅で、ルックアウト山の駅はこの先だ。ゴーツアイ山に登るリフトはまだ動いておらず、ゴンドラには引き返せないので、仕方なくそこからルックアウト山のベースに至る連絡コースを滑る。リフトに乗って、そこから緩斜面を滑り、ルックアウト山に登る Tee Pee Town Double Chair というリフトに乗る。とにかくガスっていて、何も見えない。どうしよう、帰ろうか?。でも標高の高いところは望みがあるかも。それにしてもリフト下は巨大な岩がゴロゴロした賽の河原みたいな所だ。前のリフトに乗った人がガスの向こうにおぼろげに見える。女性のようだが、まさかイタコじゃあるまい。ここは霊界の入り口か。もう、気が滅入ってきそうだ。

 時々、遠くから楽しそうな奇声を発しているのが聞こえる。こんなガスの中を滑って何が楽しいのかと思った。すると雲の向こうに怪しい光が見える。太陽かな?。しばらくするといきなり、ぱあ〜っとガスが晴れだした。おおおおっ、すばらしい!。なんとそこには真っ白なゲレンデが広がっているではないか!。なんだ、おどかしやがって!。山の八合目くらいにリフトの降車駅がある。おお、雲の上ではないか、すんばらしい、信じていたよ!。さすがはサンシャインなんて名前を付けることだけのことはある。近くにはもっと高い九合目あたりまで行くリフトもある。コンチネンタル・ディバイド・エキスプレスという。よし、このリフトに乗って最高地点に行ってみよう。雲に向かって滑るが、リフト乗り場は雲の中にある。慎重にガケや岩のある場所に入らないように雲の中を滑り、そこからリフトに乗った。

 先ほどと同様に、雲を抜けるとそこは雲海の上に太陽が降り注ぐ空間が待っていた。それにしてもいい景色だ。遠くにはマッターホルンそっくりの山が見える。最初はここからスイスが見えるのかと驚いたくらいだが、全体の骨格はむしろ世界第2位の高峰、K2に似ている。これはマウント・アシニボインという、標高3620mの山だ。地元のインディアンは神様が住んでいると信じているらしいが、私も信じる。鬼が住んでいると言われれば、もっと信じてしまうだろう。間違いない。前方には雲の向こうに、いかにも「ロッキー」といった感じの山々が見える。いやあすばらしい、来て良かった。

 滑り降りたら晴れだしたので、再びルックアウトの最高地点へ。しかしいい景色というか、日本には無い風景だ。あのアシニボイン山は気に入った。やはりアクセントになる山があると風景にシマリが出てくるものだ。
 それにしてもまぶしくなってきた。サングラスを取り出してびっくり。フレームの折りたたむところが折れておる。ゲゲッ、なんてこと!。バンフに来る直前、ロシの9DOを買ったときのポイントで購入したものだが、いきなりぶっこわれるとは!。力のかかりやすい折りたたむ部分が細い二股になっていて、金属ではなくプラスチックなのでポッキリいったようだ。やはりファッション性よりも機能で選ぶべきだ。売店に行き、バーゲンになっていた2000円くらいのサングラスを買う。

 さて、それではゴーツアイに行くか。ゴーツアイとは「ヤギの目」を意味する。ここのベースとなるリフトに行くまでには、波乗りコースがあるので、滑ってみよう。人工ウェーブが延々続くのだが、ベンディングの練習になる。ただし、恐ろしく掘れたウェーブでは体が飛ばされそうになった。
 ゴーツアイのリフトも面白い。5階建てのビルはあろうかという高い針葉樹の中を、かなりの斜度でグングン上にひっぱられていくと、途中でいきなり森林限界を越えて、木が生えていない雪面が広がる。ううむ、すばらしい。隣のルックアウト山に並んで、ザ・イーグルスという名の山も見える。ルックアウト山との谷間が深いので、これらの山が非常に迫力のある、身に迫ってくるような岩山として見えるのがまたいい。ここを数本滑り、4時ごろのバスで戻った。

 なお、今日の夕食は有名なバンパースにした。ホテルの目の前にある。「バンパースに来なければ、バンフに来たことにならない」と看板がハッタリをかましておる。ここはアルバータ牛のバカでかいビーフステーキで有名だ。店内の客に運ばれるのを見ると、英和中辞典くらいの大きさのステーキから、枕にするのにちょうどいいんじゃないかと思えるようなのまであって、正気の沙汰ではない。サラダバーが付くことだし、無理して食べて気分が悪くなってはいけないので、小さいのを頼んだ。それでも多い。レギュラーサイズは19.95$、狂気のマウンテンサイズは30$ほどだが(いずれもサラダバーやパンorライスなどが付く)、酒を頼まなければかなり安く済ませることができる。まだ9時ごろでやっと暗くなったようだが、早々に風呂に入って寝ることにした。
 

 http://www.dininginbanff.com/restaurants/bumpers.shtml

  
インズ・オブ・バンフは日本人従業員が数人いて、日本人を重要な顧客としているのが分かるが、そのポリシーは随所に現れている。その一つがバスタブが大きくて深いことだ。入浴剤でも持っていけば、外国にいることを忘れてしまうだろう。
   
  
今日のアルバム
■バンフの地区別に帰りのバスも
  分かれる。立ち寄るホテルの
  名前も一覧にあるのはいい。
■これでピッとやられると
 気持ちいい!?
 
■ここがベースステーションだ
 
  
■濃霧が晴れだし、向こうに
 光が。もしや・・・・
  
■雲の上はまぶしいくらいだ

   
■ルックアウト山の山頂だ
 
 
■目印が無いので、雲の
 中に入ると怖いくらいだ 
  
■雪質もばっちり
 
   
■いいねえ!
 
   
■ルックアウトは雲の上の
 別世界だ
   
■鍵かけないと、盗まれ
 ちゃうよ!
   
■カラフルなゴンドラだ
 
   
■レストランは日本のゲレ食と
 同じシステムだ
 
■ピザは1切れでもいい

  
■全部で1000円くらい。クラム
 チャウダー(パン付)は内容が
 いい。  
■ゲレンデベースは曇りだ
 
  
■このコンベアはどこにでも
 あるし、子供はほとんど
 ヘルメットをしている
■分別ゴミ箱が多かった
   

■スタンディッシュ山は初心者
 に向いている 
  
■ルックアウト山の優美な
 スロープ
 
■ワンメイク大会をやっていた
  
  
■ゴーツアイに行こうか
 
  
■朝は何も見えなかった
 ゴーツアイのベース
  
 
■ルックアウト山を側面から見る
 
  
■これがゴーツアイのクワッド

 
■突然、木がまばらになる

  
■木が全くない。1本のクワッドで
 これだけ楽しめる
  
■アイガーのような岩壁だ
 
  
■ゴーツアイの下部
 
  
■ウィスラーみたいだ
 
  
■ベネトンのような色使いだ
 
  
■インズ・オブ・バンフで。
 夜は静かに
 
■これがステーキの
 バンパースだ
 
気に入ったので、アシニボイン3発!
リフトとアシニボイン。
 それにしてもマッターホルンに似ているなあ!。
望遠レンズによるアップ。
 
広角レンズで。
 
バンフの概要
日記:1日目  (移動日:東京 〜 バンクーバー 〜 バンフ)  
日記:2日目   (マウントノーケイ)
日記:3日目  (キッキングホース)
日記:4日目 (サンシャインビレッジ)
日記:5日目  (レイクルイーズ)
日記:6日目  (パノラマ)
日記:7日目  (グラウスマウンテン)
日記:8〜9日目(移動日:バンクーバー 〜 東京)観光ガイド