ソルトレイクシティ(概要)
  
シャンパン・スノー!

    

 ソルトレイクシティはアメリカのロッキー山脈の東側にある都市で、ユタ州の州都である。もともとはモルモン教徒の総本山として知られていたが、このあいだの2002年冬季オリンピックが開催されて以来、一躍世界的なスキーエリアとなった。都市名のとおり、郊外にはソルトレイクという琵琶湖の9倍の広さをもつ塩水湖がある。太古は海だったのがだんだん狭められ、はるか内陸部の湖になったものだが、飛行機から見るといきなり海が現れたようでびっくりする。都市名はあくまでも「ソルトレイクシティ」だ。「ソルトレイクオリンピック」というのは間違いで、湖の上では競技は行われなかったことに注意だ。

 私は海外スキーはこれで8カ国10回目なのだが、もしも「ソルトレイクシティのスキーはどうですか」と聞かれたら、ぶっちゃけた話、海外スキー初心者には向かないと言うだろう。
 海外スキーが初めてという人にイチオシのウィスラーと要点を比較してみよう。
   ソルトレイクシティ ウィスラー
旅行代金 普通 海外としては安い
所要時間 14時間(乗換含む)+バス20分 8〜9時間+バス2時間
宿からゲレンデへの所要時間 1時間〜2時間 1〜10分
雪質 最高のシャンパンスノー 重いが日本人が見てパウダー
コースの難しさ 何でもあり、圧雪も多い 何でもあり、ガケ多し
海外らしい景色 場所によるが、まずまず いかにも海外、という感じ
ゲレンデの物価 高い 安い
日本人の数 ほとんど見ない 多い。中国人も多い。
英語力 必要、無いとヤバイ ほとんどいらない
ナイトライフ ソルトレイクの都市観光(札幌風) ビレッジ観光(野沢、草津風)

■旅行代金
 ウィスラーはもともとバンクーバーという西海岸の玄関口で便が多く、競合が多くて飛行機代が安い。ソルトレイクも高いわけではないが、アメリカの航空会社を利用しているなら安くしてもらいたいところだ。ところが、ここはホテル代が高い。インターネットで探しても高い。
 どうしてかというと、オリンピックにより雪質の良さが広く宣伝されただけではなく、その開催地としてステイタスも上がったようだ。ラスベガスのような大規模なコンベンションセンターがいくつか新設され、ホテル需要が高いのだ。
 さらに私は運が悪かった。
 なにしろ、連休が取れることがわかり、火曜日に申し込んでその週の土曜日に出発というスケジュールだ。そうするとヨーロッパ方面は完全に間に合わず、ウィスラーやバンフは行ったことがあるので、JTB主催のソルトレイクシティにしたのだ。ところが基本は3日間スキーの設定だ。なにもここまで来て3日間ということはあるまい。延泊して5日間スキーにしたら、ホテルの延泊料金がべらぼうに高い。なんでも、ニュースキンという化粧品等の会社の世界規模のコンベンションがあって、それはコンベンションセンターをいくつか使用する大規模なものだという。それにぶつかり、町中のホテルが満室となり、特別レートを設定してきやがったという(ちなみに集まる人数の6割くらいが日本人なので、私が行って2日目には、町中日本人だらけになるらしい)。
 さらに、今回は一人で行かざるを得ない。あまりにも突然の海外スキーだ。そのため、最少催行人員に満たないので、追加料金だという。これは空港での乗り継ぎやホテルへの送迎、1日分のスキーガイドが私だけのために行われるので、まあ仕方ないだろう。
 もっとも、それでもヨーロッパ方面よりは安いだろうが。

■所要時間
 ソルトレイクシティは航空会社にもよるが、サンフランシスコ経由が多い。乗継時間は2時間くらいあったが、サンフランシスコで入国手続きをするので、ウダウダしていられない。テロ事件以来、空港はとても神経質だ。ソルトレイク行きの飛行機に乗るときも、ノートパソコンはもちろん、靴まで脱げといって検査をする。うっかり手前の飲食店で余裕をかましていると、えらいことになる。
 ただし、空港からホテルまではすぐだ。ホテルからの送迎を待ってもいいし、タクシーでも遠くない。
■宿からゲレンデへの所要時間
 ウィスラーはホテルの目の前がゲレンデだからほとんど時間はかからない。ところが、ソルトレイクシティはホテルからスキー場へのピックアップをしている業者がいるのはディアバレーとパークシティのみ。日曜日だけ、スノーバード行きのバスが市内を回ってくれるだけだ。だから、3日スキーのツアーはこの3つを滑ることになる。延泊して他のスキー場へ行くとなると、難儀する。他の一般市民に混じって、TRAXという路面電車に乗り、途中下車してそこからさらにスキー場行きバスに乗り換えないといけないのだ。
■雪質
 内陸であり、周囲の砂漠で水分を抜かれた雪なのでめちゃめちゃ軽い。さらにゲレンデトップが3000m超、ベースで2000m級なので悪くならない。
 「ここ1週間、雪が降っていないんですよ」と言われてガッカリしたのだが、ベースで雪をひろって固めてみたら、全くのパウダーで、すぐにボロッと崩れてしまい、驚いた。日本でもこのような雪に会ったことはあるが、それは降りたてのものだ。1週間も前の雪がパウダーのままなのだから、すごい話だ。
■コース
 圧雪の割合は日本より少ないかもしれないが、カナダよりはずっと多い。「高級リゾート」の雰囲気を出すためにも、膝が痛くなるようではイカンと思っているのだろう。また地形的に、ウィスラーのような断崖は少なかった。ただし、日本からわざわざ行くなら、パウダーを食いに行くのが目的であるべきだ。降雪直後は地元のスキーヤーが殺到するらしい。
■景色
 「おおっ」という景色はスノーバードくらい。他は日本的な情緒があるが、木の種類や建物の感じなど、日本にはないものがある。ウィスラーは氷河やブラックタスクのような絵になる山があるので、海外に来た実感はこちらの方が大きいだろう。

■物価
 高い。とにかく高い。ディアバレーなんざリフト1日券が$69(7200円くらい)で、入場者制限(昔は3500人、今は4000人)をしているというが、ほんとかねという感じだ。ロッカー代金は500円あたりまえ、食事はバーガー、ポテト、スープ、ドリンクで1000円を超えるのは普通だ。ただし、ソリチュードのような、安くてちんまりしたスキー場もある。
■日本人の数
 ウィスラーは日本人が多いが、中国人も多いので、なおさら多く見えたものだ。しかしソルトレイクシティのスキー場ではほとんど見かけなかった。ガイドによると市内でも和食屋以外ではほとんど見ないそうだ。しかし私が行ったときは日本人の多いコンベンションとぶつかったため、中心部で日本人を多く見ることになったが。
(右の写真の「せ」の字を見る限りでは怪しい)
■英語力
 ないと困るだろう。路面電車やバスの乗換えから、あらゆるコミュニケーションに必要だ。レストラン、売店、観光、両替、すべてにおいてだ。その点、ウィスラーは海外スキーのハワイのようなもので、日本人スタッフ、日本語の説明書きなど、ほとんど困ることはないだろう。
 ちなみにホテルのモーニングコールは前夜、電話でお願いする決まりだった。
■ナイトライフ
 ソルトレイクシティに宿をとった場合、夕方帰ることがあれば、市内のショッピングモールや教会を見学するのもいい。これはちょうど札幌国際やテイネのツアー客が札幌市内のホテルにステイするようなものだ。ただし、すすきののような繁華街は無いことに注意だ。ウィスラーはビレッジ全員がスキー客だから、ウェアを着たまま回るのもいい。店もそういう客に合わせて遅くまでやるものもある。
ソルトレイクシティのスキー場
このエリアには、車で2〜3時間かかる場所まで含めると、20以上のスキー場があるらしいが(中にはハリウッドの映画スターが趣味で作ったものもある)、日本人が行きそうな所はソルトレイクシティの公式サイトで紹介している12のスキー場くらい。とりあえず私が行ったところを表にした。もし行くなら、下の表のなかでは上の3つが必須だろう。状況に応じてアルタ、ソリチュードをはずしてブライトンやキャニオンズなどを選ぶこともある。
▼スノーバード
テキサスの石油王で、世界で初めて7大陸の最高峰に登頂したことでも有名なディック・バスが個人的な趣味で作ったスキー場だが、こだわりがあり、全米屈指の人気のあるスキー場でもある。このエリア唯一、ロープウェイがある。トップ標高は3000m以上あり、上部でアルタと連絡している。
▼ディアバレー
オリンピック競技が行われたスキー場で、入ってすぐの所にモーグルバーンがある。超高級リゾートとしても有名。入場者制限をしており、リフト代も年々上昇(今年の1日件は$69)、ゴンドラのイスは革張り。
▼パークシティ
ディアバレーの近くにある、オリンピック競技が行われたスキー場。6人乗りクワッドが何本もかかっている。とても広い。
ベース付近では五輪の競技が行われた記念オブジェがいっぱいある。
▼アルタ
地味な感じのスキー場だが、雪質の良さ、パウダーランキングでは全米1位になったこともある。上部ではスノーバードと連絡している。ベース部分が2つに分かれているが、長いロープトウでつないでいるのも面白い。
▼ソリチュード
ひなびた感じのスキー場。しかし雪質は極上でリフト代も安いので、ソルトレイクシティの地元のスキーヤーが多い。特に圧雪が少ないので、パウダー派には穴場といえるだろう。
   
ソルトレイクシティの概要
1日目  (移動日:東京 〜 ソルトレイクシティ)  
2日目  (スノーバード)
3日目  (ディアバレー)
4日目  (パークシティ)
5日目  (アルタ)
6日目  (ソリチュード)
7〜8日目  (移動日:ソルトレイクシティ〜東京)観光ガイド