ソルトレイクシティ(3日目:ディアバレー)
   

  

 金持ちスキーだ!

       
1日券は$69だが、
送迎付きで$95になる。
 
エリクソンの銅像だ
  
板の預かりは無料だ
  
五輪のモーグルで使われたコース。
モズリーがディナーロールを決めた斜面だ
 
 今日はある意味で、最も楽しみにしていたスキー場に行くことにする。それはディアバレーというスキー場だ。ここはオリンピックではいくつかの競技の会場として使用されたことで有名だが、それ以上に私をひきつけたのは、ここがかなり個性的なスキー場ということだ。なにしろ、昔のザウスみたいに入場者制限をするという。またリフト料金がめちゃくちゃ高いだけに設備等は高級リゾートにふさわしいものだと聞いている。どんな所だろう?。とにかく行く前からワクワクしていたところだ。
 今日はガイド無しだが、到着日にすでにParkCityTransportationという会社にお願いして、リフト券込みの送迎をお願いしてある。朝、ホテルのロビーで待っていると迎えのワゴンタクシーが来て、私ともう一人の客2人だけ乗せて出発と なった。このタクシードライバー、運転中も後ろを振り返ってしゃべるアブナイおやじだ。白いヒゲをはやし、トルストイみたいだが、私が日本から来たというと「おれはサキが好きだ」といってぐいっと飲むまねをする。それはサケだ。
 1時間弱でディアバレーに到着する。ここでまともにチケットを買うと1日券が$69(7100円)という、サディスティックな値段だが、毎年のように値上げをしやがっているという。半日券は$48で午後のみ。改札は一番下のリフト乗り場でやるだけなので、午前券は無いのだ。
 とりあえずセンターハウスの地下のロッカーに靴を預ける。ロッカーはジュラルミンのような金属でできており、金庫室といった感じだ。ここはお金でトークンというコインを買い、それをロッカーに使用する。ひょっとしたら(私の経験だが)将来的に何度も値上げする意図があるものは個々のロッカーの料金設定を変更するよりもトークンの値段を上げるだけの方がで簡単なので、このようなシステムにしているのではないだろうか。また値上げする気か?。
 ゲレンデに出ると初心者用緩斜面が広がるが、その先にはコブの急斜面がそそり立つ。これこそオリンピックでモーグル競技が行われたバーンだ。

 ここでちょっとディアバレーの歴史について話そう。
ディアバレーの入り口のところに一人のスキーヤーの銅像がある。これは1927年、オスロ生まれのスタイン・エリクセン氏だ。彼は1952年オスロ冬季五輪の大回転の金メダリストであり、米国に移住後はフリースタイルスキーのエアリアルに心酔し、「フリースタイルスキーの父」と呼ばれるようになった(五輪ではディアバレーはフリースタイルの会場となった)。彼は1969年にこのディアバレーに来た。当時は鉱山労働者の娯楽用のリフトが1本あるだけだったが、「ゲレンデの質、食事、宿泊施設のすべてにおいて世界一にしよう」と開発に取り組んだ。そして80年のオープン後は全米屈指の高級リゾートとして知られるようになった。ちなみに彼の経営するスタイン・エリクセン・ロッヂがディアバレーにあり、Forbs誌による北米のベストリゾートホテルにもランクインしている。(スノーバードもそうだったが、やはりこういう開発は情熱の塊のような個人の熱狂によって造られるものが個性的で魅力的なものであり、甘い見通しで造られた第3セクターのスキー場だのテーマパークだのは大赤字を出して消えるのが当然なのかもしれない)

 全体のレイアウトは、4つの山からなっており、1本のリフトがかせぐ標高差は400mくらいだから、超ロング滑走というわけではない。しかし、コースのレイアウトや非常に丁寧な圧雪(圧雪率は非常に高く、しかも驚くほど丁寧。お金持ちのお客様をケガさせてはならないのだ)により、快適なスキーが楽しめることは請け合いだ。この圧雪のよさだけでも高いリフト料金を納得させるものがあった。ちなみにここはボード禁止だ。
DEER VALLEY TRAIL MAP
  
スクールのヘルメットはユニコーン付きだ。
奥は日本に住んでいたこともある先生だ
あれがBald山だ
いかにも高級リゾート、という
橋をくぐっていく
 
とにかく圧雪の質は感激ものだ
  
すんばらしい景色だ
 
親子で記念撮影だ。
みんな、ヘルメットをしておる
革張りのゴンドラのイスだ!
  
これがゴンドラの駅に見えるかね?
 
 
  さっそく滑ってみることにする。まずは正面の「大工特急(Carpenter Express)」というクワッドで中腹のSilver Lake Lodge というエリアへ向かう。このクワッドで、隣に座ったスクールの女の子のヘルメットが面白かったので写真を撮らせてもらった。アメリカでは子供がスキーをする時はヘルメットは当然であり、スクールでは目印としてユニコーンのカバー(写真見て)を付けさせているようだ。すると女の先生が、いきなり日本語で話してきてびっくりした。オーストラリア出身で、以前、御殿場の高校に交換留学生として来たことがあったという。いや、驚いた。
 さて、ここシルバーレイクロッヂはスキー場の中腹だ。このあたりは高級なリゾートホテルやコンドミニアム、別荘が並ぶ。どれも石造りで統一されているようで、安っぽいものはない。ディアバレーの面目躍如だ。ここからBald Mt.へ向かう。Bald Mt.とは「はげ山」という意味だが、見ると山頂がちょうど森林限界あたりになっているらしく、てっぺんだけ木があまりない。このクワッドから見下ろすコースにはそそられるものがある。斜面が幅もありフラットで、しかも圧雪が丁寧なのだ。
 雪質も抜群にいい。いい雪質で圧雪も丁寧だと、こんなにも滑りやすいものか。それにしても「ここ1週間は晴天続きで雪が降っていない」と聞いたときは本当に覚悟したものだが、なんのなんの、昨日降ったばかりのような雪だ。昨日感じたことの繰り返しになるが、大切なのは雪が降る量ではなく、気温が上がらない、ということだ。
 とりあえずこの広大なスキー場を一通り見なければ。急ぎ、Flagstaff(旗ざお)山へ向かう。ここは長い中斜面のコースがまっすぐ数本伸びており、なかなかスキー場に適した山だ。日本の山の方が急峻ということなのだろうか。
 ところが、この山の3本のクワッドの真ん中にある乗車場に来てびっくり、すごい渋滞だ。本当に入場者制限をしているのだろうか。日本でのスキーを含めて、久々にリフト待ちをしてしまった。
 再度山頂からEmpire Canyon Lodgeへ向かう。ここがディアバレーで最も奥に位置する。
 このEmpire Canyonという山は、Bald 山よりも標高が高い分、きっちりと森林限界を超えており、山頂付近には真っ白なボウルが広がっていた。ううむ、すばらしい。パークシティのスキー場はすぐ隣だ。ここには写真撮影サービスがあり、有料だが、カメラを持っていない人でもここで記念写真を撮り、ベースで受け取ることができる。
 ここを2本ほど滑り、昼食にする。レストラン(ゲレ食と呼ぶようなシロモノではない)のそばにはスキー板を預けることができる施設がある。敷地内に係員だけが入れる囲いがあり、板を預けると引き換えのタグを渡される。これは板のクロークサービスだが、無料だ。このへんも高級リゾートであり、「鍵をかけないと盗まれちゃうよ」なんて看板は見当たらないのだ。
 とにかく写真を見てくれれば分かる。トイレは大理石が張られ、花が飾ってある。暖炉にはソファがあり、内装はもちろん、使用されている柱も半端じゃない。私はここでまんじりともせずに軽い食事にしたが、ディアバレーのマーク入りのチョコレートケーキが気に入って食べてしまった。アメリカのケーキにしてはけっこう甘さ控えめの上品なお味だ。 
 さて、Bald Mt.に戻らなきゃ。来たルートを逆にたどり、再びBaldMt.の山頂へ立った。ここの山のコースはアメリカ杉だけではなく白樺が多いので、おだやかなベージュがコースの両脇を彩り、ホワイトチョコレートのような優雅さと上品さが感じられる。こんなコース、日本にあったかなあ。ちなみにコースの名はタイクーン(Tycoon)という。徳川将軍を意味する大君という日本語から来た英語で、君臨する人を意味するらしい。
 写真でも分かるとおり、隣の山が近くまで並んでゴツゴツしているのではなく、遠くまで地平線が望めそうな景色だ。日本のスキー場では、北海道以外ではあまりお目にかかれない景色だ。かぶれちゃいかんが、確かにアメリカの高級リゾートという感じ満点だ。
 次にLittle Baldy Peak という山へ向かう。ここはゴンドラがあるので、見逃すわけにはいくまい。長い緩〜中斜面を延々滑り、Jordanelleのゴンドラ駅へ行く。ここでゴンドラに乗ってびっくり、座席は革張りだ。でも、ウェアなどは濡れているから革張りはないだろう。でもよく見ても革張りだ。どんな加工がしてあるか分からないが、今までの人生で革張りのゴンドラに乗ったのはこれが始めてだ(たぶん最後になるだろう)。ゴンドラの駅もすごい。石造りで、いったいいくら金をかけたのか心配になるほどだが、このへんがエリクソン氏のこだわりなのだろう。
 そういや、Silver Lake Lodgeのコース脇にエリクソン氏が経営するスタイン・エリクソン・ロッヂがあり、小さな聖火台(炎がともっている)があるのですぐそれと分かったのだが、入り口の看板に「スキーヤーズ・ビュッフェ、11:30am-2:30pm大人は$25」というのを見て、退散してしまったものだ。しかしここには営業時間だけ確認したら値段は見ないで入るような連中が大勢いて、それで経営が成り立つのだから仕方あるまい。価格とは、最終的に消費者が決めるものなのだ。
 帰りは別のドライバーが迎えに来てくれた。道路の脇には時々、鹿やムースという大きな角を持った鹿が現れるという。数頭、点在してるのが見えたくらいだ。

 明日は今日滑ったディアバレー近くのパークシティに行くことにする。

  夕食はガイドが推薦していたMarket Street Grillというレストランでカニを食べた。うまい。実にいい。$34.7も安いのではないか。山の中だが、デルタが経営しており、品質もいい。アラスカのキングクラブが良かった。

ディアバレー公式サイト(英語
    

    
五輪で使用されたジャンプ台だ
(帰国数日後、ここで葛西がW杯史上最年長優勝を果たした) 
ベースのロッヂ。人が途切れたところで
撮影したが、本当は混雑していた
リフト券、高いなあ
 
ごみ箱もディアバレーだ
 
ロッカー室だが、ジュラルミンのようで、
お金がいっぱい入っていそうだ
トークンを買ってからロッカーに使用する。
 
このクワッドを作ったのは
きっと大工さんだ
Bald山の斜面だ。
とにかくいい!
白樺にかこまれたリフト
 
景色がいい
 
滑ることを忘れてしまいそう
 
ポールコースもあったぞ
 
少年が脳しんとうをおこしていたようだ
 
どうやら上の斜面から
コースに飛びこんできたらしい
スクール生のしるしだ
 
クワッドの交通整理をしていた
 
初めてのリフト待ちだ
 
愛国者だ
 
舞子高原から見た飯士山ではない
 
あそこで森林限界を超える
 
Empire Canyon山のコース
 
ここでスキーを預かります!
 
カナダでも見たテント
 
中ではロシニョールの展示が
 
レストラン前からEmpire Canyon山を望む
 

天気がいいときはこれだ
 
レストランのスプーンは置き方も上品だ
 
スクール生のために座席を確保
 
暖炉の前にソファがあるぞ
 
内装もすごい
 
おチーズケーキだ
 
ディアバレーチョコ付きの
おチョコレートケーキだ!!
 
コックもアルバイトのおばちゃんとかではない
 
スープにケーキとドリンク、パンが付いて
$13.4(1,400円)だ
大理石の手洗いに本物の生け花、
ここはどこだい!? 
Empire Canyonからのコース
 
Bald山のコース。白樺のコースは上品に感じる
 
テッシュとマップは当然だ
 
リフトは紳士淑女らしく
交互にね
吸い込まれるような景色だ
 
ツリースキーは一人で入っちゃだめ
 
リフトの景色は高級別荘を見ながら・・・
 
ゴンドラ駅、すごいねえ!
 
ゴンドラの概観も荘重だ
 
ホテルの目の前にあるスポーツ店。
リフトの前売り券とかを売っている
スポーツ店前より、宿泊したレッドライオンホテル
 
キングクラブは2本だが、ボリューム多し。
これに具沢山のクラムチャウダーとポテトが付く
Market Street Grill の外観だ
  
  
ソルトレイクシティの概要
1日目  (移動日:東京 〜 ソルトレイクシティ)  
2日目  (スノーバード)
3日目  (ディアバレー)
4日目  (パークシティ)
5日目  (アルタ)
6日目  (ソリチュード)
7〜8日目  (移動日:ソルトレイクシティ〜東京)観光ガイド