太陽と岩のスキー場 | |||||||||||||
コルチナのスキーをひとことで表現するならば、それは「広大な奇岩群を滑るスキー場」といえるだろう。雪の量は少なめで、いかにもアルプスの南側の太陽が似合うスキー場という感じであり、スイスのように氷河を滑ったり、パフパフのパウダーを滑ったりということはほとんど無い。 また、シャモニーのモンブラン、ツェルマットのマッターホルン、グリンデルワルトのアイガーのように、これといった有名な名峰があるわけでもない。じゃあつまんないだろうと思うかもしれないが、魅力的な景色が非常に多いのは事実だ。 どんな造山活動か分からないが、巨大な奇岩が多く、どれも個性的で見る角度によって表情が変わるのがまた面白い。写真好きな私にはフォトジェニックな岩山が多くて、写真撮りまくりで、見ているだけでもハッピーだった。 また晴天率がアルプスとしては比較的高く、行ったスキー場で景色が見えませんでしたということは無かった。この晴天率の高さのため、アルプスのスキー場としては人工降雪機が大量に配備されているのも特徴だ。そしてこのシーズンはこの威力が発揮されることとなった。欧州は日本と同様記録的な雪不足であったため、人工降雪機に無縁と思っていたスキー場は悲惨な状況になったのに対して、コルチナは例年と同じようなコンディションで滑ることができたのだ(なにしろ1月上旬に行われるはずだったアルペンW杯第5戦・スイスウェンゲン大会は雪不足でキャンセルされた。私が去年、滑った場所でだ)。 |
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■場所とアクセス (地図は米国Yahoo!提供のものを加工) | |||||||||||||
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コルチナ周辺地図(米国Yahoo!) |
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時差:8時間(イタリアの朝7時は日本の午後3時) ただし夏時間では7時間差 通貨:ユーロ 2007/2月15日クレジットカード決済のレートで159.4円だったので1ユーロ=160円 でいこう。 |
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ヨーロッパスキーは飛行機の時間が長いのは覚悟だ。しかもこのツアーではミラノ経由なので、12時間以上の飛行でいったんミラノで降りて、ベネチア行きへ乗り換え、1時間のフライトのあと、バスで2時間半だ。 |
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■ドロミテの中のコルチナ | |||||||||||||
実はこのレポートをUPする直前までタイトルを「コルチナ」にするか「ドロミテ」にするか迷っていた。このあたり一帯は一般に「ドロミテ」と呼ばれる土地だ。この土地に多く存在する鉱物のドロマイトよりそう呼ばれるようになったもので、ビジネス上では周辺のスキー場を総称して「ドロミテスーパースキー」という場合が多い。一方、コルチナはドロミテでも最大級の山岳リゾートで、多くの宿泊施設があり、正確には「アンペッツォのコルチナ」を意味する「コルチナダンペッツオ(Cortina d' Ampezzo)」というのだが、要は町の名前だ。これはちょうど「ベルナーオーバーラント」と「グリンデルワルト」の関係に似ている(前者がエリアの名前、後者は宿泊する町の名前)。 | |||||||||||||
※1791年(日本では江戸時代後期)、フランスのドロミウという鉱物学者がこの付近の山々の岩石の中に炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを含む岩を発見した。その後ジュネーブのある地質学者が彼の名から「Dolomia(ドロマイト)」と命名した。19世紀半ばにドロミウを記念してAlpiDolomiticheアルピ・ドロミティケという名称が広まり、その後「Dolomitiドロミティ(ドロミテ)」となった。 なお、現在ドロマイトは健康食品としても売られている。 |
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■コルチナダンペッツォという町 | |||||||||||||
地理的にはオーストリアに近く、イタリア国境内であってもオーストリア国境近くのスキー場ではドイツ語優先の掲示板が多いし、食べ物の味もドイツ風になる。 しかしここはイタリアというよりもヨーロッパを代表する高級山岳リゾートと目されている。ガイドの人によると、ここでセラロンダ(セラ山群を1日かけて一周する)をやるのがヨーロッパのスキーヤーの夢だという。高級感は町に出ればすぐ分かるだろう。教会をランドマークに町並みはブティックも多く、スキーをしないお金持ちの高年齢者も目に付く。特に夜は値段を聞きたくなるような高級な毛皮をまとった貴婦人が実に多い。 |
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イチオシが無くて、ニオシに相当するものが実に多い。 冒頭で述べたが、日本人が聞いたことがあるような山は無い。しかし、見ているだけで惹きつけられるような風景となる山は今ここで羅列できないほど多いし、名前だけ羅列しても仕方ないだろうから、レポートでオイオイ報告することにする。 スキーを楽しむという観点なら、必ずセラロンダには行くことだ。これはセラ山群という巨大な岩山の山塊の周りをリフトを使いながらジグザグに一周するもので、時計回りと反時計回りがある。初心者のために難しい斜面を避けるならば時計回りが一般的だというが、いずれにせよドロミテに来てセラロンダをやらないのは、シャモニーに行ってバレブランシュ氷河を滑らなかった、というくらい意義を失うことだ。ガイドによると、ツアーでは天気や風の強さ、みんなの体調を見ながら、最高の日に照準を合わせて行くようにしているという。 |
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トファーナは日本の猪谷千春が1956年の冬季五輪コルチナダンペッツォ大会の回転競技で銀メダルを獲得したコースがあることで知られる。このコース、これまたよく作るもんだという急斜面なのだが、結構快適に滑ることができる。圧雪に対する執念はなかなかのものだ。 今回行った6日間のスキーはコルチナダンペッツォからアクセスするにはよい組み合わせであったと思うが、これ以外のスキー場に行ってもハズレということはないだろう。日本人が見たら、日本国内ではありえないような景色が広がっていて、どこに行っても「ヨーロッパは違うなあ」と感じるだろう。 ※冬季五輪のアルペン競技はノルディックやスケートに比べると日本は振るわない。猪谷千春が唯一のメダルかつ表彰台。入賞も、2006年トリノ五輪で皆川賢太郎が4位入賞がこの猪谷氏以来50年ぶり。 |
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■旅行費用とツアーの選び方 | |||||||||||||
またヨーロッパのスキー場全体に言えることだが、個人よりもツアーがいいし、ツアーに乗るならガイド付のツアーの方がいいだろう。イタリアでは英語が通じるとは限らないし、送迎バスが無いと夜に到着する飛行機便では電車にも乗れないし、レンタカーで行動するのもリスクが大きいと思う。 なお、今回のツアーの最終日は自由行動だったが、近場ならば路線バスで行けるチンクエトーリが絶対のオススメだ。 ところで私は今回、スキー滑走日が6日取れる理由で、あまり好きでないF社を利用したが(ガイドは態度のよろしくないのが多い)、前回のグリンデルワルトに続き、今回の男性2名のガイドは非常に良かった。 ※JTBは5日滑走しか無く、交渉したがだめだった。 |
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■物価 普通。まあイタリア北部の高級リゾートだからこんなものかという物価だ。ただしメインストリートに生協があって、とても使いやすく、安い。お土産はイタリアのバッチチョコレートがオススメだ。 |
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コルチナダンペッツォの地図(中心部周辺)(米国Yahoo!の地図を加工) ※トリエステは今回利用した3つ星ホテル。ここから教会まで歩いて20分くらい。 コルチナ観光局(日本語) |
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■タウンガイド | |||||||||||||
町の中心となる繁華街は地図の「Corso Italia」という繁華街だ。ショップ関係はここに密集している。驚くのは、スキーやお土産に関係なく、通常のブランドショップ、特に毛皮店などが意外と多いことにある。コルチナダンペッツォがスキーにかかわらず、高級山岳リゾートであることがプンプンだ。事実、夏でもハイキング客が大勢来るという。 街そのものは非常に分かりやすい。とにかく教会をランドマークとして1本の繁華街さえ覚えてしまえばいい。短い滞在なら、下の地図で十分だろう。 |
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コルチナダンペッツォの中心部タウンマップ(上記のメイン部分を左に30度回転して拡大) | |||||||||||||
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もしもスキーが終わって時間に余裕があれば、ぜひ町を散策しよう。マップのピンク色の通り、Corso Italiaがメインとなるが、オレンジで囲んだエリアもいい。このメインを中心に広げていけばいいが、とりあえず旅行者は生協(地図のcoop)で買出しをするといい。またお土産も空港よりここで買った方がいいので、最終日が近づいたら両替の残金と相談しながら買うといいだろう。 教会のすぐ近くには「古生物学博物館」「アンペッツォ民俗誌博物館」「現代美術館」が同じ建物に入っているのだが、なぜか民俗誌博物館は無くなったというので私は入らなかった。 散策のパターンとしては(宿泊がホテルトリエステの場合)、2月中旬なら、17時20分くらいにはコルチナタウンマップ左上の「夕焼けポイント」に集合だ。ここからクリスタッロを見上げると、岩山が真っ赤に焼けるのが見えるだろう。谷あいの町なので、夕日が町全体を覆うことはない。ただ、赤くなった夕日が沈む時、西側の山の上を通過した赤い夕日が東側の岩山であるクリスタッロの西斜面の上部を照らすので、日没時だけこの現象が見られる。必ず一度は見ておきたい。 Corso Italia の通りの入り口は車両制限がされているのですぐわかるだろう。すぐに教会の塔が見えるからそれに向かって歩いていけばいい。郵便局では日本円の両替もやっているが(要パスポート)、クレジトカードのキャッシングマシーンがあちこちにあるので、調べていくといいだろう(後日レポートで詳細)。生協は絶対に行くこと。買出しに必要なものはほとんど事足りるし、お土産もここがいい。またこの生協はちょっとしたデパートのようになっていて、上のフロアでは衣類のフロア、や家庭用品などのフロアなどがある。突き当たりの通りを左に曲がるとここにもスーパーがある。コルチナダンペッツォの散策で行くならこのあたりまでだろうか。 |
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コルチナの生協のレジの外から。 生協は盛況だ!^^ |
コルチナの生協の中。たいていのものはそろう | ||||||||||||
【ギャラリー】 | |||||||||||||
◆1日目:ファローリアから見たクリスタッロ(Cristallo 3221m) | |||||||||||||
◆2日目:トファーナから見たヌボラウ(左)、アベラウ(右)、中央の突き出た岩山がチンクエトーリ | |||||||||||||
◆3日目:アルタバディアにて、サッソンガー(Sassongher:2665m) | |||||||||||||
◆4日目:セラロンダの半周あたりで、サッソルンゴ(Sasso Lungo) | |||||||||||||
◆5日目:アルタ・プステリア モンテエルモにて。このころには圧雪された急斜面にも見慣れてしまった | |||||||||||||
◆6日目:チンクエトーリ アベラウのスキー場で | |||||||||||||
◆6日目:チンクエトーリ チンクエトーリの足下で | |||||||||||||
◆コルチナダンペッツォの夜。毛皮の女性がやたら多いのに注目 | |||||||||||||
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コルチナのお土産はこのサイトのプレゼントキャンペーンにもあったバッチチョコレートで決まりだ!! (知らない人はトップメニューの「お知らせ」を見て) |
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コルティナ観光局公式サイト(日本語) イタリアの観光局が日本語で運営。コルチナについてはここ! イタリア政府観光局公式サイト(日本語) 南青山にある。頼めば有料で送ってもらえる。 |
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