鉄のスキー場 | |||||||||||||||||||||
翌日は6時に起床。あまり時差ボケは無くて、空気はキリッと冷たくて気分がいい。表でカランカランと音がしていると思ったら、なんとトナカイが2頭飼われていた。近くにトナカイレースが好きな人がいるらしい。 ホテルの本館へ3分くらい歩くのがおっくうだが、まあいいだろう。朝食はホテルのレストランでとる。バイキング形式だ。全体的にオーソドックスな朝食バイキングだが、小さなバケツぐらいのヨーグルトがドカドカ置いてあって、ブルーベリーとラズベリーが鬼のように置いてあり、何種類ものナッツを入れるのが印象的だった。 |
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町の中を少し散策したあと、10時にフロント付近で待機。迎えのバスが来た。リパンホテルからは4人、その他のホテルで数名乗せて、総勢10名を超えたくらいで、市の中心部に近いツアー会社に到着。ここで上下つなぎの防寒具と毛皮の帽子、分厚いブーツを借りて、再度バスに乗り、リパンホテルよりももっと奥にあるそりコースの入り口へ行く。あれ?、犬がいないや。すると後ろからえらいニギニギしい車両がやってきた。なんと、犬をぎっしり入れたコンテナだ。上下2段、全部で12の部屋に2匹ずつ、24匹の犬が入っていた。小さな窓からは2つずつ鼻が出ていて、えらい騒ぎだ。係員は犬を考えながら下ろしていて、全部使うわけではなさそうだ。選ばれなかった犬の悲しげな鳴き声に対して、そりにくくりつけられた犬はとにかく早く行こうと言わんばかりに吠えまくっていて、そののモチベーションの高さには驚きだ。多分、あんな狭い場所に押し込められていたから、走りたくてたまらないのだろう。いや、思いっきり走らせるために、あんな狭い部屋に閉じ込めているのかなあ。なにはともあれ10時40分に出発した。 そりは目の高さが低いから非常にスピード感があって面白い。クッションが無いので段差を飛ぶと少し痛いがそれも一興だ。特に凍結した湖の上は快適だ。出発から30分ほど走ったら、森の中に入る。そしてそこには怪しいインデアンのテントがあった。ここでお茶の時間になる。 このテント、実は先住民族のサーメ人の居住で、コタという。真ん中に焚き火をおいて、お茶と軽食。なかなかいい感じだ。30分ほど休憩してから再び走り出し、元の場所に戻る。まあ、1回は体験してみてもいい面白いものだ。さて、市内中央のツアー会社まで戻ってレンタルウエアを返し、これでおしまい。ホテルに帰る人は送迎してくれるが私とかあちゃんはそのまま市内観光をすることにした。 12時45分、まずスカンディックホテル近くの観光センターへ。情報はあまり集まらなかったがまあいいか。ちんたら歩きながら1時15分にはキルナ教会へ。ここはサーメ人の住居をデザインした教会で、特に塔のデザインや支柱のウロコ型の模様はぜひ見ておこう。1時30分に出発、10分もかからずに市庁舎をすりぬけてキルナ駅に到着。ちょうど列車が出発するところで、どこかのどかな感じが良かった。このあたりは鉱山であることをモチーフにしたオブジェも多く、楽しめる。そして市の中央広場に近いスーパーに入り、物価の高さに驚きながら買い物をした。海外ではたいていスーパーに行き、並んでいるものや構成、価格を見て日本との差を実感することが多いが、やはり野菜の値段の高さはスイス級だ。そして3時ごろホテルに戻り、いよいよスキーの準備となる。 |
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◆ルオッサヴァーラのゲレンデマップ◆ (看板を撮影して加工) |
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レンタルコーナーで板とストック、ブーツを借りる。板はいいけど、ブーツ、やっぱり難しいなあ。足の型が日本人と違うというか、親指の付け根が当たらないように大きめにすると前後がバコバコだ。なんとか合わせてリフトへ。ここはTバーがメインとなっている。ほぼ山頂まで運び、だいたいの斜面を滑ることができる。 なにはともあれ上部に上ってみたが、なかなかの景色だ。キルナの町を見下ろして前方に川が広がって見えるが、これは湖だ。正面には煙の立ち上るエントツをいくつか並べた小高い山が見える。これこそ世界有数の優良な鉄鉱石を産し、地下2000メートル以上も深く掘られているキルナ山だ。ううむ、さすが鉄鋼の町だ。思いっきり自然に手が加えられた風景は殺風景でもあり、歴史そのものでもある。 それにしても寒い。風もあるが、基本的に寒い。それでも暮れなずむキルナを見ながらのスキーも大変情緒的だ。コースは圧雪がとてもいい。なかなか丁寧に整備されているし、人もいないし、遠くを見ながら安心して滑ることができるので楽しい。とりあえず数本滑ってからレストハウスに入ることにした。ここではコーヒーとホットドッグを食べる。人が全然いない。商売になるのかな。すると学校が終わってきたかのような小学生が入ってきて、同じものを注文していた。みんなヘルメットをしている。きっとお小遣いをもらって、軽く食べて、あとはナイターを滑りまくるんだろうなあ。家に帰るまえに真っ直ぐ塾に通う感覚だろう。 かあちゃんは疲れて寝るというのでレストハウスで寝かしておいて、一人で滑る。だいぶ暗くなってきて、きるな山はまるで豪華客船のように見える。Tバーを降りて左にはジャンプ台などボーダー向けの設備もあり、バーもJバーになっている。ううむ、やはりTバーを降りて右のコースがいいなあ。時間が経つにつれて、風景の表情が変わっていった。いままで見たことも無い絵が広がった。大自然の中というわけではなくて、モロに人の手が入った風景なのだが、妙に調和していて、ここにオーロラが現れたら文句の付けようが無いキルナ・スキーという感じだ。ビデオもとりながらナイターを何本も滑ってからホテルに戻った。 ディナーではトナカイの燻製肉と、ヘラジカ(ムースと呼ばれる、巨大な角を持った鹿)のステーキを食べた。トナカイは面白い味だが臭みが強めだ。これをデミグラスソースとブルーベリーの甘いソースを混ぜた特製のソースでいただく。食べ終わったらさっそくオーロラ観測だ。ここでちょっとオーロラ観測について説明しよう。 晴天であれば、オーロラに遭遇するチャンスは大きい。1回出れば、10分くらいで消えることもあれば、30分以上で続けたりする。ゆったり動いたり、消えたりつながったりと忙しいものだ。私は高感度のデジカメ一眼レフで、ISOは1600にセットし、レンズも広角10mmのF3.5で三脚を用意した。しかしなかなか現れない。宿泊棟を出たり入ったりして、他の宿泊している日本人もソワソワのドキドキだったが、とうとう現れなかった。ううむ、残念。明日はドゥンドレットまでレンタカーでドライブスキーなので、12時にはあきらめて寝ることにする。オーロラチャンスはあと2回だが、大丈夫だろうか。何としても、これを見なくちゃ・・・。 |
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これがヨーグルトに入れるナッツ類だ。 クルミ、松の実、ひまわりの種、干しアンズ・・・ |
レンタルの防寒具とブーツ。 ダイビングのドライスーツみたいだ |
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お、オレにも引っ張らせてくれ! | 犬をつないで |
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途中で見たクロカンやっている人。 なんと、犬に引っ張らせていた。私もやりたいなあ |
怪しいテントだが、これがコタだ |
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これがそりだ。トナカイの毛皮が敷いてある | 湖の上だ | ||||||||||||||||||||
はい、ご苦労様でした! | スカンディックホテルの渡り廊下。 サーメ風の外壁に注意! |
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観光センターの建物。 向こうに見えるのがスカンディックホテル |
バイキングのオブジェが広場にあった | ||||||||||||||||||||
キルナ教会だ |
特徴的なのがこの塔だ |
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塔はウロコがびっしりだ | 木造で、本当のウロコのようだ | ||||||||||||||||||||
キルナ駅の駅舎だ | 駅近くの住宅。3色だ | ||||||||||||||||||||
寒冷地仕様なのか、充電なのか | リパンホテルへの看板。 リパンとは雷鳥のことだ |
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ルオッサヴァーラのレンタルコーナー | 今日は3時から8時までだ |
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圧雪はなかなかいい | 遠くにキルナ山が見える |
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隣にはJバーもあった | これがレストハウスだ | ||||||||||||||||||||
ホットドッグとコーヒーだ | こうやって持つのがスウェーデン流だ | ||||||||||||||||||||
トイレの入り口 | さて、行こうかい | ||||||||||||||||||||
ヘラジカのステーキ | トナカイの燻製。デミグラスソースと ブルーベリーを混ぜた甘酸っぱいソースが最高!! |
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【ギャラリー】 | |||||||||||||||||||||
◆犬ぞり 結構なスピードで走るが、一番後ろに立っている係員がコントロールしてくれる。犬とにかく必死に走るばかりだ |
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◆ルオッサヴァーラのスキー場から夕日を見る。雪面は固いがとても滑りやすい。 |
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◆上とほぼ同じ位置から。 ほぼ日が沈んでおり、夜景が広がり始めた。幻想的な時間だ |
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◆ルオッサヴァーラからキルナ山。 こうしてみるとタイタニックのような豪華客船に見えてしまうのが面白い |
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朝食のバイキング形式だが、多くの並んだ料理の食べ放題を「バイキング」というのは日本だけであって、本来はスウェーデン語の「オープンサンドイッチとテーブル」を意味する「smorgasbord(スモーガスボード)」といい、これは英語にもなっている。うっかり「朝食はバイキングですか」なんて聞くとびっくりするので、注意だ。 | |||||||||||||||||||||
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