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ドラゴンバレー(龍平:ヨンピョン) 冬のソナタ |
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韓国スキーの概要 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■韓国のスキー場:概要 まず、韓国のスキー場がなぜ「近くて遠い」のかを考えてみよう。 (1)距離的に近い 今まで海外スキーといえば北米やヨーロッパを真っ先に思い浮かべるのが普通だ。行くためだけにかかる時間も時差も料金も半端ではなく、遠くに来たことを思い知らされることになる。オーストラリアやニュージーランドは時差がほとんど無いものの、飛行時間は長いし夏と冬が逆転しているので、ちょっとした別世界だ。しかし韓国は飛行時間が2時間〜3時間であり、東京から見ると沖縄と変わりない。九州の人に言わせると北海道のリゾートよりも近くて料金も安く、苗場や志賀よりよっぽどアクセスしやすいので、福岡発のツアーが多く出ている。海外スキーの経験が多い私としては、海外スキーなのに行くのに違和感がないことに違和感を感じた次第だ。 (2)とにかく寒いが雪は少ない なぜ「遠いスキー場」なのか。それは、地理的に近いとはいえ、雪質や気候は日本とかなりかけ離れているということだ。 気温はとにかく寒い。シベリアや満州の思いっきり冷たい空気が飛んでくる。それが暖かい海で暖められることなく、モロだ。写真撮影のために手袋を外すと、たちまち指がかじかむし、満充電のはずのデジカメのニッケル水素電池が、「もう電圧がありません」なんて警告してくるし(暖めると元に戻る)、大変だった。しかし寒くても空気は乾燥しているから、雪は少ない。日本のように日本海の湿気たっぷりの雲を山にたたきつけてバンバン雪を降らす、というメカニズムがないのだ。それではあまりスキーに向ているとはいえんだろうと思うところだが、寒いことは寒いので、人工降雪機という文明の利器の恩恵をめいっぱい受けることになる。雪にとって大切なことは、「どれだけ寒いか」ではなくて、「暖かくならない」ということだ。いくらたくさん降っても雪は0度を超えてしまえば水になり、そのあといくら冷えても氷になるだけで、もとの雪の結晶には戻らない。だから人工降雪機が本領を発揮することができるのだ。山ごとザウスになっていると思えばいい。 今、私がドラゴンバレーの写真を見ていると不思議なことに気づく。それは、ゲレンデ以外は雪が少ないので、遠くの山の景色はほとんど土の色だ。だから写真だとまるで日本の春スキーそのものなのだが、現地では凍りつくような寒さだった。 今、韓国ではスキーがブームだ。富裕層の増加と人工降雪機の登場。この2つによってソウルから1〜3時間のアクセス圏内にスキー場が続々とオープンしている。日本で閉鎖になったスキー場の降雪機がのきなみ韓国に送られているらしい。 (3)顔は同じだが言葉は違う 日本人と韓国人は顔が似ている。地理的に近いうえ、言葉の文法が同じことだし、世界のどの民族よりも近い民族だといえるだろう。黙ってリフトに乗っていると全然違和感がない。しかし、思いっきりなじめないのがハングルだ。 海外スキーに行った場合、英語圏はいいとして、フランス語やイタリア語、ドイツ語はアルファベットが基本だから読めなくても標識と見比べることができるが、ハングルは皆目検討が付かない。標識がさかさまになっていても、私は気づかないだろう。この意味で遠いスキー場といえる。ただし後述するが、日本人観光客が多いせいか日本語の案内も多いし、ハングルが読めなくてもあまり困らない工夫が随所にあった。 しかし人工雪だけにバーンは非常に固い。日本でいえば野辺山や八ヶ岳、蓼科の人工降雪機エリアの雪のようだ。ただ一度融けて再び固まったものではないので、スケートリンクのような氷の斜面ではないのだが、力を入れないとストックが刺さらないくらいの固いバーンとなっている。そのため上部のコースはすべて30度くらいの急斜面でありながら、コブなどほとんど見当たらないのだ。レーサーにはたまらない環境といえるだろうが、そんな恩恵をあずかれるレベルのスキーヤーはまだ極めて少数だ。 ■ドラゴンバレー:概要 韓国を代表するドラゴンバレーもここまでの過程には複雑なものがあった。現地ガイドの話によると、もともとは地元の金持ちが始めた小さなリゾートだったらしいが、いろいろ財閥もからんで開発が進められた。そして最近になって宗教団体(日本でも騒がれた、韓国のキリスト教系)がスキー場やホテルを含めたリゾート全体の株式のほとんどを買取り、経営権を掌中にしたらしい。そしてそこへ「冬のソナタ」という韓国のドラマで最も重要なロケ地となり、「アジアのドラゴンバレー」へとブレイクすることになるのである。 「冬ソナ効果」は絶大で、韓国のみならず日本・台湾・シンガポールなどアジア中から観光客(ほとんどヨン様ファンのおばさんの集団、又は母娘のペア)が「聖地巡礼」におもむくようになり、通年で客が殺到するようになった。そのため「第○話の×××のシーンで使われたのはここです」のような4カ国語くらいで書かれた写真パネルがホテルじゅう、スキー場のあちこちにペタペタあって、それを見た観光客が歓喜におののき、写真をパチパチ撮っては涙するのである。そのせいかスキー場のゲレンデマップの小冊子よりも「冬ソナ」ゆかりの地のマップの方がはけ方がいいらしい。スキーと関係ない外出着の団体がいればそれは冬ソナツアーの大部隊であり、ゴンドラ内にスキーブーツをはいていない客がいればそれは小部隊である。 念のために言うと、ゴンドラで山頂に行っても眺めがいいというわけでもない。そこはただ同じような低い山が並んでいるという感じだ。ゴンドラを降りて外に出た時のワクワク感は見事に裏切られる。『注:もともと日本と比べると韓国には「絵になる山」が少ない。絶対的な高度が低く(最高峰でも2000m未満)、雪に覆われた山は見当たらない。美的感覚にうったえるものとしては日本には見られないタイプの岩山がいくつかあるくらいだ。日本は火山列島で複雑な地殻変動から山の標高も高く雪も降るから、富士山・浅間山・御嶽山・磐梯山といった火山の他、雪をいただくと美しさが映える妙高・白馬連峰・乗鞍・白山・蓼科・日光白根・羊蹄山・岩手山など多数あるし、温泉の数もはるかに多い(韓国人の日本ツアーで人気なのは、富士山、戦国時代の城、新幹線、温泉らしい)。その代償として地震も多い。』 ドラゴンバレーは韓国で初めてスキーのワールドカップが開催されたスキー場でもあり(1998年、長野五輪の直後)、冬季五輪の開催も目指しているが2010年の開催をバンクーバーに破れたので、2014年の開催に再び名乗りをあげるらしい。韓国最大規模にして最高の知名度、最高のステータスを持った、韓国を代表するスキーリゾートだ。 |
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■場所とアクセス さて、日本から行く場合は、ソウル(仁川(インチョン)空港)から高速道路を使い、バスで3時間半くらいの距離を走って行くことになる。ソウルの近くかと思いきや、地図では東へ約200km、半島を横切ってかなり日本海側に近いところに位置する「龍平(ヨンピョン)」という場所にある。 |
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■旅行費用とツアーの選び方 こんなに近いのだから、一人で気ままに行きたいところだが、ハングルが読めなければどうにもならない。そのため、ツアーに乗るのが正解だろう。 他の海外スキーと比べれば格段に安いだろうが、一般の韓国ツアーと比較するとかなり高い。その理由はホテルレートが高いからだ。ホテルレートはツアー料金の中に混ざっているものだが、もしツアーに一人部屋追加料金の設定があれば部屋代(食事抜き)のだいたいの金額が推測できる。龍平リゾート・ドラゴンバレーホテルは特2級の格付けなのに3泊で3万円の追加料金になっていたから、超強気の商売だ。それもこれも「冬ソナ効果」ではないだろうか。このホテルはドラマの撮影にも使われ、これまたスチール写真があちこちに貼られており、冬ソナ観光客がうじゃうじゃだ。ホテルもこの千載一遇のチャンスを逃すはずはない。夜の食事なんぞゲレ食のランチに完敗していた(これはあとでじっくり話そう)。冬ソナに興味のないスキー客にとってはトバッチリであり、たまったもんじゃない。 ツアーは九州発のものが多い。成田発も探せばあるが、日程等で調整が難しければ、福岡空港まで国内線で飛ぶことも考えていいが、さて、そこまでの価値があるかどうかはあなた次第だ。 なお、韓国ツアーでは必ず最終日はお土産屋周り、特にキムチ屋に長く立ち寄らされるのは約束ごとであるから、覚悟が必要だ。 |
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■物価 韓国として安くはないが、リゾート地なので仕方ないだろう。まあ日本のリゾート地よりはましだ。韓国は貧富の差が大きく、この龍平に来るのはもちろん金持ちばかりだ。そのため「龍平レート」なるものがあるのだろうが、ゲレンデに隣接したスーパーの価格は安く感じられる。 |
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スキーに関する情報はあまり無いのが現状だ。どうしても知りたいことがあれば、いっそのこと、韓国の政府観光局にメールを出してみよう。丁寧に対応してくれたぞ。 ドラゴンバレーは2018年、平昌冬季オリンピックでアルペンの競技会場になることが決まった。五輪が行われたスキー場はみんな料金が上がるので、いまのうちに行こう! |
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