2002特別レポート(5) |
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| さらばザウス! |
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何の説明も要るまい。ザウスこそは日本が世界に誇れる最強の室内スキー場である。 室内スキー場といえば狭山に古くからあるものが有名であった。冬場にぶっかき氷を砕いて撒いて「おお、すごい」なんてやっていたらしいが(昔の技術で古くからやっていたこと自体は尊敬に値するが)、ザウスは最新のスノーマシンで天然に近い雪を造り、コースのスペックも高低差80m、斜面の長さは約500mというなかなかのものだ。さらにその価値を高めているのは東京から近いということと、1年中スキーを楽しめるということだ。 私がスキーを始めて2年目の平成5年7月に開業しており、実を言うと私はその年の10月に足慣らしに行っていた。 当時を振り返るとスキーは大きく変化したと思う。その頃の日本はスノーボードは黎明期にあり、異教徒以前の存在であった。カービングの板も無く、足を揃えて滑るだけで視線が集まっていたと記憶している。 また日本全体がバブル期でもあり、スキー場はどこも混雑していて、会社の若手があちこちでスキー旅行を募っていたものだ。 しかし長引く不況はついにザウスをコケさせてしまった。今年(平成14年)9月30日に閉館するとニュースで知った時は思わずため息が出てしまったが、悲鳴をあげた人も多いのではないだろうか。 開業した年に行ったことがある者として、もう少し回顧してみよう。最初に行った頃はザウスも殿様的な商売であった。料金は高いし(左写真の精算カードにあるように、平日で5,900円!!しかも2時間過ぎたら超過料金!!)、平日でも駐車料金を取るし(これは今も)、入場制限しているとは思えないほど混雑していた。 それでもコースを見てしまうと納得してしまうほどの設備内容であった。開業当時は結構マスコミでも採り上げられており、「ザウスに行ってきた」が自慢になるような、話題性十分の室内スキー場だった。 最初に滑ったころはとにかく人が多くて、上級コースはもちろん、斜度が15度のイエローコースまでもコブがモコモコしていたのは驚きだった。コブというのは急斜面だから出来るのではなく、大勢の人が同じ所を滑るからできるのだと感心してしまった。 また室温がマイナス5度程度に保たれているというので、普通のスキー場に比べて寒くないなと思ったが、雪質がけっこういい。雪の結晶は1回でも0度を超えて融けてしまえば後はどんなに冷やしても元に戻らない。つまりいい雪質に大切なのは寒くなることよりも暖かくならないことだと納得したのだ。驚いたり気づいたりしたことは普通のスキー場の何倍もあった。 その後はザウスに行くことは無かったが、スキー旅行などで知り合った人たちによると、常連が支えていたらしい。オーストラリアで滑っていた時なんか、他のツアーの人たちを指さして、「あの人、ザウスによく来てる人よ」なんて言っているのを聞いて、どこか宗教めいたものを感じたのだが、ディズニーランドのようにリピーターがいるのは強いものだと感心してしまった。そしてだいぶ様子が変わったようだし、時間制限も半日になったし(1日をボードタイムとスキータイムに分けている)、閉館するというし、平日休みも取れたし、これはもう行くしかない。 かくして6月10日、ザウスに久々に行くことにしたのである。 月曜日は午後がスキータイムで、時間は3時から8時までだとういう。車で首都高速と湾岸道路を使ってザウスへ。浦安の先あたりから高速道路の進行方向にザウスがデンと構えているのが見える。思わず「おお〜」とか声が出た。早めに到着したので、ららぽーと(船橋のショッピングモール)で時間をつぶしたが、ここからのザウスが全体がよく見えて、写真を撮るにもいいだろう。近くでは大きすぎてファインダーに入らないのだ。それにしても 実に奇怪な建造物だ。スキーを知らない国の人には、どうやって説明すればいいのか。 平日4000円のチケットを購入し、ロッカーへ。今回のザウスの楽しみのひとつはカービングスキーであった。私が1級用に板を選んだころは、カービングは出たばかりで性能が良くなかったので、RXDという通常の板にした。そのため私は最新のカービング板を知らないのだ。サロモンのパイロットを2500円でレンタル。ブーツ、ストックは持参だ。なお室内なのでゴーグル、日焼け止めは不要と思ったが、高速で滑る人は明るいゴーグルもいい。(目に風が当たると涙が出てしまうから) 久々のザウスは・・・汚い。壁がなぜか黒ずんでいる。たしかこんなはずではなかったが。壁や天井は表面に布を張ったタイルになっており、長年の汚れか黒カビか知らないが、変な模様で付いている。パトロールに聞いてみたら、天井はダクトの吹き出し口が汚れているので明らかに空気の汚れだが、壁は分からないとか。そういえばオーストラリアで会った元デモの沢田敦先生が「ザウスに行くとかゆくなる」なんて言っていたのが思い出された。 クワッドで頂上へ。初めての時はえらく寒く感じたものだが、今回はそれほどではない。平日で人も多くないので、変なコブはできていないようだ。さっそくカービングで滑ってみるが、最初の数本は慣れずにうまくいかなかった。慣れはじめるとズレの少なさは感じられるようになったが、やはりすぐにモノになるものではないようだ。 10本も滑らないうちに喉が渇く。やはり空気は乾燥しているのだろう。湿気などみんな霜になってしまう。コース中央の柱なんか樹氷になろうとしているではないか(写真見て)。ゲレンデ内のファーストフード店で少し休憩。外人客もちらほら。しばらくしてから上級コースも滑る。この時期滑りに来るのは、けっこううまいのばかりだ。 2時間ほどしたら、さすがにコースが荒れだした。中級の方が荒れ方が早い。小回りはみんな同じ場所を滑るようになってしまい、大回りは苦しくなってきた。そろそろあがろうか。なごりを惜しみながらゲレンデを後にした。 ここでひとつ、余談を。 あなたはザウスに風速計があったことを知っているだろうか。「室内スキー場でなぜ風速計が必要なんだ??」たいていの人は不思議に思うだろうが、あったのだ。 そもそも、スキー場のリフトは運輸省(現在の国土交通省)の運行認可が必要である。屋外だろうが屋内だろうが、とにかく人を乗せて搬器で運ぶ以上は運輸省がウンと言わないとダメなのだ。そしてザウスがクワッド2基の設置を申請したところ、「鉄道事業法35条を受けた通達で、安全確保のために風速が一定以上になった時に、リフトを停止させるために風速計を設置することが義務づけられており、風速計を設置しなければ運行認可は与えられない」と言って認可をしなかった。 ザウス側(三井不動産)は「風が吹かないと分かっている室内スキー場でなぜ風速計が必要なんだ」と2年間も食い下がったが、運輸省は「とにかく規則だ」と突っぱね続けた。しかし認可が下りないと営業できない。そしてとうとうオープンの2日前に数百万円かけて泣く泣く風速計が取り付けられたのだ。ところがこの一件が新聞に載るやいなや、突然運輸省は「規制緩和」と称して風速計を取り外すように指示したという。 念のためにパトロールに風速計のあった場所を聞いてみた。それはクワッドを降りた場所の上にあったらしい。しかも1索道につき1台なので、同じ室内に2台取り付けていたという。今では外されて建物の外に置かれているらしいが、それはどこかは知らないという。この話はスキー雑誌でも採り上げられており、私はあるビジネス講演会でも引用されたのを聞いたことがあるくらいだから知っている人も多いと思う。最初、若い従業員たちに聞いてみたら誰も知らなくて、「どうして室内に風速計を設置したんですか」と逆に聞かれて、私が説明するハメになってしまった。「ザウスの風速計」は役人の体質がよく出た例としてザウス閉館後も語り伝えられるだろう。 帰りは習志野から湾岸道路〜首都高速を使い、1時間もかからずに家に到着した。自分にも1時間以内にアクセスできるスキー場があったのだ。 ここ数年、行ったことがあるスキー場が次々と閉鎖に追い込まれた。そのニュースを聞くたびに「まあ仕方ないか」と思っていたが、このザウスだけは2回しか行かなかったのに「もう行けなくなるのか」という気にさせる、特別なスキー場であった。 |
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| チケット売場は対面だった (平成5年) |
今では自動券売機 (平成14年) |
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| 混雑していたが天井は きれいだった(平成5年) |
ベルトコンベア (平成5年) |
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| 上級はコブだらけ (平成5年) |
中級も時間が経つと 上級以上のコブが (平成5年) |
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| 玄関の先、着替えは上だ |
レンタルコーナー |
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| さようなら! |
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| (追記)平成14年9月末日をもって、ザウスの営業は終了しました。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| このサイトのMOVIEのメニューにザウスでの動画を追加しました(2003.1.9) 上海にザウス登場!。上海銀七星室内滑雪場(上海北海道室内滑雪場) ぜひご覧ください!!(2003.11.9) |
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