6月マンスリースペシャル
盤上に描く知の絵画 チェスの世界
黒ベエイメージ 誰でもすべてを忘れて、ゆっくりと自分の時間を味わいたいときがある。 それはまさに「アフターナイン」。
ひとときの「大人のくつろぎ」を月に1度さまざまなテーマでご紹介してまいります。

案内役は、おなじみの「黒ベエ」。
皆様、私とご一緒に、これからいろいろな “大人の時間の過ごし方"を探っていきましょう。
今回のテーマは、西洋の将棋ともいえる「チェス」。欧州ではもっともポピュラーで知的な"スポーツ"といわれ、街中や空港のロビーなどでも手軽に楽しまれているゲームです。インターネットでもチェスのサイトは数多くあり、ネット上でチェスを楽しむ人もたくさんいます。

ん? ちょっと待てよ。「チェス」ってスポーツなの?この疑問を、広告会社に勤務している清水さんに伺ってみました。清水さんは、チェス全日本選手権で7位、国際大会にも4度出場したほどの実力の持ち主です。その後も文化講座で「チェス」の講師を務めていたこともあるチェスの達人です。

清水さん
清水さん

<清水さん>
「ええ。チェスはスポーツといっても決して過言ではありません。そのゲーム性は、例えばサッカーやバスケット・ボールなどの球技に近いといえますし、実際にそれくらい知力ばかりでなく、体力も必要とされるものなのです。『国際チェス連盟』も、「チェスの魅力の要素は[科学性][芸術性][スポーツ性]だ」といっているくらいですから」

<黒べエ>
それほどまでに「チェス」に魅せられてしまった清水さん。そもそも、そのきっかけは何だったのでしょう?

<清水さん>
「もともとは将棋をやっていたんです。そして大学に入った時に、将棋サークルに入ろうと思って受付に行ったら、人がいっぱいで誰も相手にしてくれなかったんですね。。その時、ちょうどチェスサークルが勧誘のために盤を出していたんですよ。それを見ていたらやってみないかっていわれて。チェスも駒の動かし方くらいは知っていたんで、先輩と試合をしたんです。すると、何と! 勝ってしまったんです。先輩たちは筋がいいとか、素質があるとか、大騒ぎしちゃって。それでサークルに入ったんです。ところが、入ってみたら先輩たちに全然勝てないんですよ。おかしいな〜と思って、よくよく考えたら、入部させるためにワザと負けたんですよね(笑)。まあ、もちろん結果的には入って良かったんですけど」

チェス盤面
チェス盤面
チェス盤面
<黒べエ>
清水さんはそうして「チェス」にハマっていくことになったそうです。その頃から本格的に競技用のトレーニングをするようになり、毎日必ず5時間くらいはトレーニングに時間を費やすようになったそうです。


<清水さん>
「それくらいトレーニングしなければ、やはり全日本選手権などには出られないんです。特に国際試合に出場するなんていったら、一日最低5時間以上は練習相手と対局するなどのトレーニングが必要です。本当、スポーツと同じですよ。日本にはプロとして、チェスだけで生活している人っていないんですよ。だからみんなアマチュアなワケです。そうしたらどうしたって、トレーニングに費やす時間の多いほうが有利なワケです。だから日本では、チェスの国際試合に参加できるのは、けっこう学生が多いんですよ。時間が余ってる分好きなことに打ち込めますからね」
清水さん
思い出を語る
清水さん。
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