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戸隠・北志賀小丸山

      管理人最大のピンチ
 雪だるま 2007年レポート(2) 信州津南-2  
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 遠征2日目、いよいよ戸隠(とがくし)へ向かう。戸隠そばでも有名なTOGAKUSHIだ。戸隠は1級を目指していたころ、トレーニングのために来た所だ。その時は低気圧が近づいていて吹雪くことは承知していたのだが、その頃はバッヂの練習さえできれば景色はどうでもいいやと考えていたので、迷わず1日コースのスクールに入ったものだ。事実、天気が悪かったおかげですいていたし、スクールもマンツーマンになったので大正解だったと満足した記憶がある。しかし後日、雑誌その他を通じて戸隠を知るにつれ、実は景色のすばらしい所であることを知り、なんだか損した気分になっていた。
 「もしスキー場に行きつくしたら、本来の姿を見ていないスキー場にリベンジに行こう」と思いはじめていたのだが、その筆頭こそ戸隠であった。だから今回の遠征でも天気が悪かったらスキップするつもりだったのだが、今日は朝から戸隠日和だ。ワクワクしながら長野市のホテルを出発した。
 長野市からオリンピック用に作られた道路で飯綱高原の前を通過し、何軒もの戸隠そば屋を横目に中社(ちゅうしゃ)を抜けてトコトコ走って戸隠スキー場に到着した。
戸隠コースガイド(配布パンフをスキャンして加工)
戸隠公式サイト
戸隠スキー場 マップ
     
戸隠連峰
駐車場付近の景色。
戸隠連峰が屏風のように立っている
戸隠   
1本目のクワッド降り場から。
八方
山頂の景色。遠くに左から五竜、八方尾根
が見える。
戸隠
山頂はいいぞ
野尻湖
野尻湖が見える。
 山頂からだけの景色だ
戸隠
数少ないコブ斜面はこんなもの
戸隠そば
そば処、めのう
戸隠そば
めのうの辛味そば。
右下の大根おろしに油断するな!
戸隠
景色もいい。楽しむなら
とにかく午前中が勝負だ
戸隠
ベース付近。
広々としている
   ここは駐車場からの景色がいきなり良くて、迫力がある。ここでクワッドリフトを使って上部へ。ここの景色もすばらしい。昔、初めて戸隠に来たときは吹雪いていたので何も見えなかったわけだが、まさかこんな景色のいい場所だったとはと驚くほどだ。やや距離を置いて戸隠連峰がドドンと見える。戸隠連峰は1800〜2000m級の山が連なっていて、戸隠山で1904m、西岳で2053mだから信州の山としては決して高くはない。しかし、こちら側の飯綱山を親分とする瑪瑙山、怪無山の斜面に広がるスキー場から北アルプス方面を見ようとすると、ちょうどじゃまをするように屏風のように立ちはだかっているのだ。その山容も切り立った感じで並んでいて、標高の割には迫力がある。特に戸隠山のすぐ左隣の峰は八方睨(はっぽうにらみ)といって、標高は1900mと戸隠山より4mほど低いのだが、なかなかかっこよく、登山をするひとはこれを山頂だと意識して登るらしい。なかなかフォトジェニックだ。

 さて、朝イチの約束ともいうべき行動は、「とにかく最高地点に上る」ということだ。えてして最高地点が最も景色がいいものであり、とくに遠くの山の景色などは空気がキリリと冷たく締まった朝のうちが良く、中途半端に天気がいいと水蒸気やらなにやらで午後にはかすんだりする場合が多いものだ。だからその日の風景のベストショットは朝イチに撮影したものでした、なんてことは数限りなくあったし、さらにその日に遠くが見えたのはその時だけでした、ということも結構あった。そういうわけでリフトに乗り継いでメノウ山山頂へ向かった。
 すばらしい。ここからは戸隠連峰の向こう側の北アルプスがよく見える。だが、油断は禁物だ。最上部のクワッド降り口には何の看板もないのだが、実はここからほんの10mくらいハイクアップした場所に瑪瑙山の山頂がある。ここでは板をはずして登る人も多いが、まさにそれが正解だ。ほんの10m登ったところで大した変わりはないだろう、と目先の景色に満足してはならない。この10mのおかげで上部の樹木にコチョコチョと邪魔されていた北アルプスの山容がスッキリきれいに見えるのだ。特に白馬は八方尾根や白馬47の尾根の上にある白馬五竜岳の武田菱が目印となり、どの山がどれか分かりやすく、実にすばらしい。さらにこの山頂のメリットとしてはスキー場の反対側が見えるということにもあり、東北に位置する野尻湖など、妙高方面の景色も楽しむことができることにある。天気がいいときはぜひ見て欲しい。また長野市も見下ろすことができるが、このへんは好き好きだ。
 本来なら戸隠スキー場はここを登ることをもっと多くの人に促し、登りやすくするために階段のひとつも作っておけば家族連れで登れるものだが、何もないと「まあいいか」になってしまうものだ。当サイトの読者は忘れずに登ってみてもらいたい。
 さて、このあたりは雪質もいいし景色もいいのでコースをガンガン滑る。メノウコース、お仙水コースはすばらしいが、コース幅が狭いため混雑時は荒れるのが早いので、とにかく午前はここに集中しよう。いいかげん滑ったところで今回の楽しみの昼食にする。
 私はそのスキー場に名物があればできるだけそれを食べる主義なのだが、今回の楽しみはそばだ。何だ、そばなんかどこにでもあるだろうと言うかも知れないが、ここ戸隠スキー場にはゲレ食に本格的なそば屋があって、その名も「めのう」という。スキーシーズン以外はスキー場からちょっと離れた戸隠そば屋の集まる中社(ちゅうしゃ)というところで「二葉屋」という店をやっているのだが、冬期はこのスキー場で営業しているという本格的な店だ。ゲレ食とはいえ、そばの聖地の戸隠の名を冠したスキー場である以上、まずいそばを食わせるわけあるまい。
 店内に入ってみた。明るい店内にはいきなり厨房と一体となった受付があり、注文することになる。ざるそば750円、そば定食1,300円だ。私はヒネリをきかせて、辛味おろしそばを注文した。受付レジのおばさんの後ろでは職人さんたちが湯気の中でそばを打ったりゆでたりしているのが見える。ボケッとして普通のゲレ食のつもりで「ナポリタンありますかぁ」なんて言ったら、そば湯が飛んでくるだろう。
 段ボールの紙にマジックで番号を書いただけの引換券を渡され、しばらく待つ。作り置きしないのは老舗のプライドだ。しばらく待ってからようやくありついた。根曲がり竹のざるに入れられた、1口サイズの「ぼっち盛り」で出されるのは本場戸隠そばの伝統だ。まずは普通に一口。うん、うまい。さすがだ。で、辛味の大根おろしを半分ほどそば猪口に入れて一口。グオッ、か、辛い!。ちょっとこれ、辛すぎなんじゃないの?。しかも大根おろしの量、すごく多い。これを全部入れて食べたら、病気になりそうだ。上越国際スキー場の激辛ラーメンを思い出した。手が付けられないのだ。がまんして大根をよけるようにして食べたが、ヒリヒリする。油断は禁物だ。みなさんは普通のざるでいくか、もし辛味をトライするなら、いきなりおろしを全部入れないことだ。私は辛いものは好きだが、この手の辛さはだめなようだ。とりあえず全部いただいたが、後半はヒリヒリだ。
 中社ゲレンデはあいていなかったのだが、まあ昔滑ったところだからいいだろう。今日は越水ゲレンデで十分楽しめたし、来た甲斐があったものだ。
 さて、今日の温泉は昨日行った遠見の湯のすぐ近くにある「日新の湯」に行くことにする。ここも露天風呂があってよろしい。しかし、遠見の湯と違って長野の夜景を見るような景色ではないのでちょっと人気は落ちるようだが、逆に観光客も少なくて落ち着けるからいいだろう。行きがけ、今日は元旦だし、せっかくの戸隠だから中社にお参りして、そば屋に立ち寄った。「大久保の茶屋」という店で、昔、以前の勤め先の社員旅行の時に立ち寄ったことがある。おいしかった記憶があるので、ひさしぶりに寄ってみた。ざるそばは700円で、これでいこう。ヒネリなしの直球勝負だ。ハズレることはあるまい。で、さきほどのめのうと同じようなそばが出てきた。「ぼっち盛り」と呼ばれる、丸っこく5つの塊にして出すのは戸隠のお約束らしい。さて味は・・・。キーン。つ、冷たい!。さっきまで凍っていたんじゃないのと思うくらい冷たい。そばも、つゆもだ。そばがつめたいのはいいが、つゆが冷たすぎるとすっぱい味がする(うるさい客だ)。夏に来た時のような感動は無かったが、まあよしとしよう。サイトとか見ると戸隠のそば粉を使っている、素材にこだわりが云々とあったが、店主らしき人にいきなり「原料はすべて戸隠産ですか」と聞いたら、私を何の関係者と思ったか、突然緊張した面持ちで「まあ、戸隠の生産量では最近足りなくてですね、北海道のものとか他のものを若干まぜていまして・・・まあ100パーセントではないんですが」としどろもどろもどろだ。たぶん中国産とかまであるんじゃないだろうか。ただ、水がいいのか、長野で食べるそばはおしなべてうまいと思う。以前は信州のおみやげの山菜の多くが中国・韓国産であったことを知っていたので聞いてみたが、「魚沼産コシヒカリ」みたいにならないでほしいものだ。(「魚沼産コシヒカリ」は、実際の生産量の何十倍も流通しているという不思議な状況にある。)
 ところで、私はスキー場と温泉はマーケティング上密接な関係があると信じており、スキー場と温泉をトータルで評価したいと思っている。ところが、昨日の遠見の湯も日新の湯も最寄のスキー場はよませであり、すでに行ったころがあるところだ。で、どうすんだというと、温泉から近くて行ったことが無くて、しかも倒産のうわさがチラホラの小丸山(こまるやま)に挨拶を入れることにした。なにしろ隣の小さなスキー場はすでに倒産しているのだ。行くなら今だ!。
北志賀小丸山コースガイド(Webパンフを加工)
北志賀小丸山公式サイト
小丸山マップ 
小丸山
平坦な斜面だ。
左のあの斜面、なんですかぁ?
高井富士
高井富士を眼前に。
左端によませスキー場が見える
 さて、到着したはいいが、とにかく緩斜面で、上級コースがいきなり折れ曲がって急斜面になっているようなスキー場だ。ところがその上級ゲレンデ、思いっきり雪が無くて、なにやら菱形に土が露出している。ううん、1回券3枚かなあ。というわけで3枚買って登ってみた。ゲレンデマップで1本登ったところで右脇にゲレンデが広がっているが、ここのリフトは運休していた。ちょっと残念だ。2番目のペアリフトにはスカーフをして掃除用のホウキを手にした、いかにもこのアットホームなスキー場にふさわしいオバチャンがリフト係をしているのはいいが、スキー場はここまで。リフトを降りた所から見える最上部はやはり雪が無く、悲惨であった。
 しかし振り返って滑り出そうとすると、目の前に高杜山(たかもりやま:通称高井富士)が広がり、中央に高井富士スキー場が広がる。左手にはよませが横顔を見せ、右手には木島平が隠れている。遠くには戸狩スキー場も見える。それにしても高井富士の急斜面を見ながらとは圧巻だ。こちらは緩斜面を利用してのファミリー・キッズ向けスキー場となっているが、子供たちは「いつかはあの高井富士で滑るんだ」と思って練習にはげんでいることだろう。
 最下部は人工降雪機がズラリと並んでいる脇を滑る。特に今シーズンはこれが無かったら大変なことになっていただろう。たった3本だったが、面白いスキー場であった。
 夕暮れ前に車で日新の湯に向かい、暗くなってから長野市へ。長野に来るとよく以前の会社の長野支社で社長になった先輩に挨拶をしにいくのだが、元日だからいないし、善光寺でも行ってみるか・・・。そう思いつつ、長野へ向かったのであった。
番外編:管理人、人生最大のピンチの巻
 この番外編はスキーとは関係ないが、このサイトのポリシーにかかわることでもあるのであえて書いてみる。
日新の湯でポカポカしていた管理人は、国道を一路長野へ。元日のせいか、交通量は少ない。ところがなんだか急に眠くなって、まあ、あせる必要はない、事故でもおこしちゃいかんと、ちょっと寝ることにした。こういうときは補給も兼ねてコンビニの駐車場なんかで5分くらい寝るのだが、コンビニが全然無くて、やむをえず正月休みで真っ暗になっている、どこかの会社の広い駐車場で休んだ。10分くらい経っただろうか、じゃあ行こうかとバックする前にちょっと車を前に出したら・・・どっかん!なんと敷地と道路に段差があって、何のフェンスも無くて、前輪が落っこちてしまったのだ。
どっかん
写真を撮る余裕があったのが不思議だ
やばい、あれこれやってみたが手持ちの脱出用の道具は全部役に立たない。一人で行くときはキャリア無しの燃費のいい乗用車で行動するので、前輪駆動なもんだから、空回りするだけだ。目の前の通りは国道と交差した県道みたいな通りなのでほとんど車も通っていない。今日は元日だからJAFは呼んでも来てくれるのだろうか。もちろん長野在住の先輩に電話するなど、絶対にできないことだ。もしつれがいたら、とんでもないことになっていただろう。事態が容易ならないものと理解し始めたとき、背筋に冷たいものが流れた。小丸山の帰りに「こまるや、まあ」とかしゃれている場合ではないのだ。
 と、そこへ、西の方角に紫の瑞雲がたなびくのを感じた。見ると信じられないことに、黄色い神光がきらめき、人を苦しみから救済する慈悲深い観音菩薩が現れたのだ。清楚にして荘厳な琵琶の音がベンベケ、ベンベン、ベンベンベン・・・♪ ははぁ〜、ありがたやありがたや・・・。なんのことはない、砂ぼこりを巻き上げながら黄色いフォグランプを点灯したトラックがやってきて、私に気づいたのかクラクションをプップと鳴らしたのだが、幻覚でも誇張でもなく、私には本当にそう見え、そう聞こえたのだ。私はただ、おすがりするしかなかった。「すみません、見ての通りなんですが」「あ〜、いいよいいよ」トラックの運転手は30歳くらいのお兄さんだ。ぐるりと私の車の後ろに回った。牽引ロープは持っていたので、バックで引っ張ってもらったが、あっけなく引き上げられた。その瞬間、私は地獄から一気に極楽浄土の蓮の花の上に引き上げられた気がした。感激しつつも忘れてはいけないことがある。「すみません、JAFとか呼んでいたら大変なことになっていました」と、財布を引っ張り出したら、「あ〜、それはいいよ」と言ってさっさと行ってしまった。私はただ、頭を下げて見送るしかなかった。
 以前、このサイトでも時々、そして大雪山旭岳のレポートでも詳しく、人に対する親切について書いたことがある。このサイトを始めた理由も、私がインターネットに助けられたから、その恩返しとして始めたという趣旨がある。この博愛こそ、このサイトのポリシーでであることはいまさら言うまでも無い。読者の皆さんももし困っている人がいたら、自分のできる範囲で、親切にしていただきたい。わずかな手助けが相手にとっては大きな助けとなるのだから。
 長野市のホテルに戻り、善光寺にお参りに行ったがこの興奮はなかなかさめなかった。あの場所、あのタイミングでトラックが来たのは偶然とは思えない。あのお兄さんは慈悲深い観音様の仮のお姿ではなかったのだろうか。神様、今年も200 SNOW REPORTSと読者のみなさんをお守りください・・・。
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戸隠 戸隠
立派で大きな木造の建物があるが・・・  → なんとクワッド小屋だ
戸隠 戸隠
常に戸隠連峰を見ながら 山頂リフト降り場から登ってきたところ
五竜 八方
白馬五竜岳。山頂付近の武田菱が見える。
また手前のスキー場が白馬47
白馬八方尾根スキー場だ
戸隠 戸隠
晴れた日の山頂は写真大会だ いい感じだ
戸隠 戸隠
景色も雪もいい リフト直下の急斜面も圧雪されていた
戸隠スキー場 戸隠スキー場
尾根沿いは景色はいいが、
コース幅は狭い
上部のコースはみな狭い
戸隠スキー場 戸隠スキー場
「めのう」の内部。右側の受け取り口の
向こうでは作業場が見える
いい感じのそばだ
戸隠スキー場 戸隠スキー場
めのうの前あたりで。
左端のとんがりが八方睨(はっぽうにらみ)だ
レストランと一体のリフト小屋だ
戸隠そば 戸隠そば
大久保の茶屋だ そば湯は冷えていなかった
小丸山スキー場 小丸山スキー場
少ない雪をやりくりだ 上級コース、なんなの
小丸山スキー場 小丸山スキー場
はるか遠くの山頂は北志賀竜王のロープウェイ駅だ このおばさんがなんともいえない
小丸山スキー場 小丸山スキー場
最上部は死んでおった リフト脇コース、
初心者にはいいだろう 
小丸山スキー場
ズラリと並んだ人工降雪機
 
【ギャラリー】
戸隠
正面に戸隠連峰最高峰の高妻山(たかつまやま:2353m)。
左に八方睨み〜戸隠山〜九頭龍山〜五地蔵山と、ほとんど同じ高さの連山が壁を作っている 
戸隠
そば屋「めのう」の前あたり。左から八方睨(1900m)、戸隠山(1904m)、九頭竜山(1883m)
巨大な壁を作っている
小丸山から高井富士
北志賀小丸山から高杜山。
正面のスキー場が高井富士、左端に見えるのがよませスキー場
スキー
遠見の湯「日新の湯」は、レポートにもあるとおり、遠見の湯に比べてすいている。混雑しやすいスキーのトップシーズンや、夕暮れが見えない天気のときはむしろこちらの方がゆったり入れる。ぜひ!。
スキー
 戸隠観光協会 (公式HP)
 戸隠そば紹介 (観光協会)
 二葉屋 (夏は戸隠のそば屋)
Goods
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