先生、約束を果たしました | |||||||||||||||||||||||||||||
2005年レポート(2) 盛岡遠征-2 | |||||||||||||||||||||||||||||
今回の遠征での目的はいろいろあったが、個々のスキー場への思い入れを言うのであれば、この田沢湖は格別なものがある。 以前、アメリカのレイクタホのスキー場へ行ったときに添乗員とガイドを兼ねたのがツアー会社の代表でSAJの大御所かつインターアルペンの校長(雫石やらあちこちにスクールがある)の村里敏彰先生であった。村里先生とは宿泊も同室で、非常に多くのことを学んだものであった(海外レポ参照)。 そのレイクタホのヘブンリーというスキー場はレイクタホという湖に飛び込むようにして滑る面白いスキー場なのだが、村里先生に「日本でこんなに湖を間近に見ながら滑るスキー場がありますかねえ」と聞いたら「田沢湖がある。あそこはいいよー」と答えてくれた。その後、青木湖、田代、瀬女高原、野尻湖周辺、白樺湖周辺、猪苗代湖周辺と湖のきれいなスキー場に行くようになり、地図上は田沢湖よりも湖に近いスキー場はいくらでもあったのだが、どうも田沢湖が心に残って仕方なかった。しかも田沢湖は技術選も開催されたことがある名門でもある。ううむ、いつかは行かねば。そしてそれを実現させるのが今回の遠征でもあった。 しかし1日目の網張温泉の後、盛岡のホテルでちょっと悩んでしまった。本当は翌2日目は八幡平方面に行き、3日目に岩手高原と田沢湖アッスルを滑って田沢湖に宿泊、4日目は田沢湖の残り2つを滑り角館へ、という計画であった。しかし、「低気圧が秋田方面に接近し、あさっては吹雪く」という天気予報であった。いかん、田沢湖が見えないと意味が無い。そこで急遽、2日目と4日目を入れ替えることにした。3日目に八幡平へ行くため盛岡連泊となり、走行距離が増えてしまうが、片道1時間くらいどうでもいい。かくして2日目は田沢湖となったのであった。 田沢湖周辺には「たざわ湖」「スノーワールドタザワ」「田沢湖高原アッスル」と3つのスキー場があり、「たざわ湖」が真打だが、地理的には「スノーワールド田沢」が最も湖に近い。今回は時間配分を考え、「スノーワールド田沢」と「田沢湖」を滑ることにした。 この2ヶ所をじっくり攻めるために前日は早寝し(スキーよりドライブの方で疲れていた)、翌日は気合いのキンちゃんで早起きし、薄暗さの残る盛岡より国道46号を一路西へ向かった。凍結した道路を慎重にトットコ走り、仙岩峠を越えるとすぐに田沢湖だ。 まずは最も国道に近い「スノーワールドタザワ」に入ることにする。 |
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スノーワールドタザワのゲレンデマップ (公式サイトが見当たらないので、看板の写真でマップを作りました) サイト(Surf&Snow) |
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おそるおそるセンターハウス脇のゲレンデへの入り口へいくと、うれしや、リフト券売場には人がいるではないか。人の少なさにびっくりしつつリフト券を買おうとしたら、売り場のおばさんが朝早くから気合を入れてきた私をみてびっくりした。 ここはリフト3本だけでそれに平行するようにしかコースがないスキー場だ。景色を見たらおしまいだろうから、1回券5枚にしておいた。さっそくリフトに乗るか。リフトは下から「ペアリフトA」「ペアリフトB」「ペアリフトC」という味気ない名前が付いている(ソルトレイクみたいに、「給料日」とか「ぼろもうけ」なんて名前を付けてみい)。一番下の乗り場から見ると一番上のチャンピオンコースが見える。志賀高原の渋温泉から見た、かんばやしスキー場のようだ。三日月形のキズが眉間に入っているようでかっこいい。よし、待っておれ。 とりあえず一番下のペアリフトCを降りたところから後ろを振り返る。おおっ!。田沢湖が赤銅色だ。あの色は鉄が溶けているのかな?。いや、私の新品のゴーグルがピンクの偏光レンズなので水面の色が変色して見えたのだ。ああ、びっくりした。ゴーグルを外して見た田沢湖は水深日本一にたがわず、この極寒にあって凍結もせずに厳粛な青色を見せていた。湖の縁と中央部では微妙に色が異なり、周囲の雪景色や、どんよりした空とうまく調和していた。なにしろ水面の標高が250mくらいなのに、水深が423mと、海の水面よりもずっと低いところまで深くなっているのだ。最初に田沢湖に一番近いここに来て正解だったかな。 次の「ペアリフトB」はいったん下ってから高度を上げる面白いリフトだ。このタイプはガーラ湯沢やオグナ武尊にもあった。 さて、最後は「ペアリフトC」だ。ここからは横目で田沢湖を見ることができる。なかなかいい。リフトを降りたところでちょいと体操してから、あの三日月形のチャンピオンコースへ行こうとしたが、いきなりロープが張られていた。雪付きが悪くて閉鎖中だという。がっかり。それでも写真を撮りたかったので降り場に立っていた係員のオジサンに頼み、板は外し、ツボ足でロープを越えていったところで撮影した。 このオジサン、私が東京から来て隣の田沢湖スキー場よりも先にここに来たことに興味をもったらしい。私が「田沢湖を見るなら一番近いここですよね。だから空気が澄んだ朝イチに来ました」と言ったらニコっと笑って急に饒舌になった。「そうだ、隣よりもこっちの方がいい、目の前だ」と言い、近くに見える駒ヶ岳も誉めまくる。しかし「やっぱり今年は雪が少なくて客足が鈍いなあ」ということで落ち着いてしまった。まあがんばってくれ、底の深い田沢湖が見ている!。 このスキー場ではこの一番上のコースがオススメだ。コースの後半、田沢湖に向かって滑る部分があり、圧雪がていねいですいているので安心して飛ばせる。こりゃいいわい、来てよかった。ここで1日券を使いきり、ベースへと戻った。 実際に滑ってみると飽きるのは早いかもしれないが、なかなか内容が充実した、わざわざ立ち寄った甲斐のある、個性的なスキー場であった。 ちょっと話が外れるけど、一番下のコースから田沢湖を見ながら滑ろうとすると奇妙な金色の観音様があるのに気付く。世界の平和だか人類の幸せだかを祈っているのか知らないけど、こういうのだけはかんべんだ。 さて、それではいよいよ本日の、そして今回の遠征のハイライトである田沢湖スキー場へ行く。スノーワールドタザワからはすぐだ。 |
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たざわ湖スキー場のゲレンデマップ |
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さて、暗くなる前には温泉に行きたいから、券は時間券を買おうかい。するとここは6時間券ランチ付きで3300円というのがある。おお、すばらしい。しかも「1時間以上余ったら1時間クーポンを発行し、5枚で5時間券と引き換えます」という。私は一見客だから関係ないが、限られた客を確保し、固定化しようという意思、あるいは純粋に顧客サービスに努めようという姿勢はうれしいものだ。さっそくこの券を買うことにした。 スキー場はモヤッていて視界はスキーに影響がない程度だ。このモヤは山だけのようで、幸い湖の方面はきれいに見える。スノーワールドタザワよりは遠いのだろうが、人間の目には遠くのものでも近くに引き寄せて見る効果があるらしい。それほど差は感じられなかった(今、こうして写真を見比べるとスノーワールドタザワの方が近いと分かるのだが)。視界があるうちにゲレンデトップへ。一番上のリフトに乗ったあたりから状況が一変する。周囲の木々には樹氷ができ始め、ほとんどの木は幹も枝も葉も雪と氷で覆い尽くされていた。スキーヤーの数も少なく、下界とはちょっと違った静寂の世界だ。これで標高が1000mくらいというのに、新潟の1500m以上の景観だ。やはり緯度の高さもあるのだろう。 モヤと低温の上部から田沢湖がくっきり見えるくらいまで滑り降りるとやはりウキウキするものがある。湖が見えると自分がスキー場のどのへんにいるのかが分かりやすいのもいい。しばらくは景色を楽しみながらそのへんでチャラチャラしていた。そしておなかがすいたのでレストラン「レラ」に入ることにする。 最初に目に付くのが、英語と韓国語の表示が多いことだ。韓国語はどういうことか係員に聞いたら、秋田空港に韓国からの直行便が来るようになり、客が増えたらしい。日本国内の景気が一向に回復しないのであれば、近隣諸国の新興富裕層に頼るのは正しいことだ。とにかくお客様に満足を与えられるスキー場になって、日本のスキー場からアジアのスキー場になってほしいものだ。 顧客満足といえば、ここの施設はいくつか工夫が見られた。たとえば施設の入り口脇にはアンケート用紙があり、感想や苦情を書き込むことができる。もし満足だったら青いプラスチックのボールに、不満足ならば赤いボールに入れて、それをさらに「ゲレンデについて」「ラーメンについて」などのジャンルに分けて投票することができる。面白いのは、その投票の状況(どのジャンルについては、満足・不満足のボールがどのくらいたまっているか)が他の他の客も見ることができる、ということだ。またスキーロッカーやらなにやらには「置きっぱなしにすると処分することがあります」という注意書きがあって、(当然のことなのだが)客に少しでも負荷をかけそうなお願い・但し書きについては、女性の漫画付きでやんわり書くようにしており、ストレスを与えないようにしている。こういうことは注意していないと気づかないことだが、あとでスキー場のイメージを振り返るとなんとなく親しみを持てるか否かに影響がでる大切なことだと思う。いろいろあったが、キリがないのでこのくらいで。 とりあえず時間券いっぱいに滑り、いよいよ乳頭温泉(にゅうとうおんせん)に行くことにする。このあたりは水沢温泉、田沢湖高原温泉と、日本でも屈指の名湯が集まるエリアだ。しかし名前としては乳頭温泉が最も有名だ。この乳頭温泉は「温泉郷」となっており、それぞれ「○○湯」という名称で営業している。どれも名湯なのだが、最も観光的に有名なのが鶴の湯で、ポスターなどにも使われている。こういうときは根がマーケターなので、一番有名なところに行こうとするのだが、ここはなんと3時で日帰り客の受付を終わらせるというから注意だ。宿泊客をゆっくり入らせるためだが、そういえば赤沢スキー場に行った時の法師温泉もそうだった。近くの妙乃湯も日帰りタイムは早く打ち切られる。そこで私はそのすぐ隣、大釜の湯に行くことにした。ここは茶色の湯で有名だ。内湯と露天があり、内湯でちょっと温まってから露天に行った。客は数人しかおらず、いい感じだ。薄暗くなって宿の主人がランプに火を入れに来た。「地震があったりすると湯の色が変わったりするんだよね」とか。まあ、色が薄くなったといって白骨温泉みたいなことはやらんでくれ。盛岡に戻ることを考えると億劫だが、まあゆっくりしていこう。今夜から秋田県側の天気が崩れるというから、明日は岩手側の八幡平に行くことにしよう。その次の日、もう一度この乳頭温泉郷に来ることになるだろう。観光客のほとんどいない静かな温泉に浸かりながら、ときどきゆらめくランプの火を見続けた。 |
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田沢湖が近くに見える | 駒ヶ岳。左端に田沢湖スキー場の 上部が見える |
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田沢湖を横目に | カンベンしてくれ | ||||||||||||||||||||||||||||
【ここからたざわ湖スキー場】 駐車場より。このバーンは雪不足で閉鎖していた |
携帯電話のように 繰り越せる |
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下は広い | 上部は寒々としている | ||||||||||||||||||||||||||||
すべてが凍り付いている | 小屋ごと冷凍庫だ | ||||||||||||||||||||||||||||
ホコホコのコースだ | 左のコースを下から | ||||||||||||||||||||||||||||
田沢湖がボンヤリ見える。 望遠レンズで |
左よりもちょっと下から。 肉眼ではこんな感じ |
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だいぶ下に下りてきた | リフト客と田沢湖 | ||||||||||||||||||||||||||||
ボーダーと田沢湖 | さて、行こうかい | ||||||||||||||||||||||||||||
田沢湖に飛び込むように! | だいたい、「銀嶺(ぎんれい)」 というネーミング自体が古い! |
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ここがそのレストラン | 落穂拾い?。いえ、ゲレンデの石ころを 拾うスクール教師たち。感謝! |
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全部食べ終わってから「納得できない」 なんて言ってもだめよ |
田沢湖ラーメンが人気だ | ||||||||||||||||||||||||||||
おみやげはキリタンポで決まり! | 夜中に撤去します | ||||||||||||||||||||||||||||
ここが大釜温泉だ | 火を焚いて歓迎だ | ||||||||||||||||||||||||||||
露天風呂とランタン (実際はこの写真よりずっと暗かった) |
盛岡の駅前で | ||||||||||||||||||||||||||||
本文にも書いたが、温泉センターとかではなく、温泉宿に日帰り入浴するときは直前に電話して、営業時間や駐車場の場所、状況などを確認しよう。また、決めうちしないで、候補としていくつか他の温泉をリストアップしておこう。 これを怠ったために、時間や手間を無駄にしたうえ、がっかりして帰った人が実に多いのだ。 |
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田沢湖スキー場(公式サイト) 乳頭温泉(乳頭温泉組合) |
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