<黒べエ>
かのゲーテは、「チェスは知の試金石である」といったそうです。う〜ん、なるほど。何手も先を読みながらゲームメイクしていくのは大変なんでしょうね。

<清水さん>
「よく、何手先まで読んで指すんですか?って聞かれますけど、先を読むこと自体は重要ではないんですよ。いろいろな変化に枝分かれしていく中で、どの枝分かれを選択すべきか、という局面評価と、変化を選択する時の判断力が大切なんです。しかし、最終的には直感に頼らざるをえないことが多いんです。 例えば国際試合の場合などは、初期の局面では、大抵の選手が序盤定石の中からバリエーションを選んで指していきますから、ある程度は何手か先を計算しながらゲームを進めていきます。しかし、ある程度ゲームが進んでくると、持ち時間(※「チェス」のルールでは最初の40手を2時間以内に指さないと負けになる)もありますから、方程式に当てはめるようなロジカルな選択ではなく、もっと直感的に瞬間で選択するようになっていくんです。それは、創造性が問われる部分です。 指し手のバリエーションは星の数ほどあります。その中から最高の一手を選び出さなくてはならないんですから、それはもう、理屈を超えた感覚ですよ。ひらめきで最善の一手を指せた時といったら、それは子供が宝物を見つけたような気持ちです。それが、チェスの醍醐味ともいえますね」

<黒べエ>
清水さんが最初にいった、「チェスの魅力の要素は[科学性][芸術性][スポーツ性]だ」というのが解かりますね。

<清水さん>
「ソビエトのグフェルドという選手は、「毎回"モナリザ"を描こうと思っていなければいけない」といったことがあります。それは、常に盤上に芸術を創り上げようという意識を持ち、そして最高傑作を生み出そうとしなくてはならない、ということをいっているんですよね。それくらいチェスは創造性の高いゲームであり、そして言葉を超えた普遍的な教養です。チェスはいうなれば、『正解のない解答』を探し続けるものなのです。だから、自分の指したゲームは、考えに考え、自分の手で創り上げていった作品・・・"盤上に描いた絵画" ですから、とても大切なんですよ」

<黒べエ>
清水さんは「チェス」を通していろいろな大切なことを学んできました。だからこそ、興味のある人には是非「チェス」を始めてほしいといいました。また、試合の勝ち負けも大事かもしれないけど、それ以上に、エンジョイしてほしいとのことです。 「チェス」が上手くなるためには何が一番大切ですか? と最後にたずねると、清水さんはそっと微笑み、答えてくれました。

<清水さん>
「パッション、情熱です。それはきっと何でもそうじゃないですか? 大きな目標を達成するのに、一番大切なのはパッションですよ」
それもきっと、清水さんが「チェス」を通して学んだ、大切なことの一つなのでしょう。

<清水さん>
「もう一つ大切なことは、勝負を忘れて...そうですね趣味としてリラックスしてチェスを楽しむことですね。国際大会にチャレンジしているときは高い緊張感を持続し続けなければいけないわけですから、自分を緊張感から解放してやるための気分の切り替えがポイントになるんです。くつろいだ時間の中でチェスをやる、実はこの時間が、最もチェスを楽しんでいる時なのかもしれません。」

今では仕事が忙しくて、ゆっくり「チェス」を指す時間もないという清水さん。そんな時の楽しみは、雑誌に掲載されたマスターたちの国際試合の棋譜を並べながら鑑賞してみたり・・・・・・そして時には、昔の棋譜を眺めては、大切な思い出にひたるそうです。
もちろん、「アサヒ黒生」を味わいながら…。
最高の一手を思い浮かべて、ね。
専門誌を手にする清水さん
専門誌を手に。

作品を観賞する清水さん
「作品」を観賞する
清水さん。

来月も見に来てね

清水さんと黒生
また次回をお楽しみに。グッドアフターナイン!
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