ミーハーの復活なるか | |
2013年レポート(1) 信越-1 | |
2012-13シーズンは雪が早く、しかも降雪量も多いという、スキーヤーにとっては絶好のシーズンとなった。しかし私は変に忙しいのと、土日に吹雪くのとで、遠征に行けない日が続き、どうしても行きたくて出撃したのは3月になってからという状況だった。天気は初日は吹雪きそうだが、無理しても行かないとラチがあかない。 こういう時に行く場所としては、秋にグラススキーで訪れた斑尾高原にした。ここは経営母体が変わり、林間パウダーエリアを作ったというし、いろいろなマーケティング施策が行われているという。林間コースを滑るなら降雪時の方がいいだろう。それと、翌日には近くの斑尾サンパテックと北竜湖ファミリーに行けば、信越はすべて行ったことになるのもいい。 そういうわけだが、斑尾は遠いので、前日の夜に出発して夜中に到着、車の中で仮眠ということにした。 道路はすいていた。夜1時に世田谷の家を出て、横川には3時過ぎに到着。斑尾山に上るころはかなりの降雪になっていた。4時50分ごろ宿泊ホテルの駐車場に入り、助手席を前に倒して後部にエアマットをひいてエンジンを切り、寝袋に入った。こういうとき、暖房をたいてエンジンをかけっぱなしにしていると、排気ガスが車内に入ってきて、目を覚ましたらあの世だった、ということになるから注意だ。 |
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斑尾高原スキー場 |
斑尾高原・タングラムスキー場 (Webを加工) |
宿でいきなりチェックインし、追加料金を払い、リフト券を受け取って、スキー場の駐車場に移動した。 起点となるレストランハイジがある建物はセンターハウスとしてもなかなか立派だ。中を見るのは後にして、とりあえずは最高地点へ急ぎ、写真を撮れる時に撮るのが私の常道だが、山の上がガスっていて、景色がいい訳がない。様子を見るため、ペアリフトで対岸の高原ホテル側へ上る。ここは半年前、グラススキーで滑った場所だ。オタオタしながら滑った緩斜面はぺったんこだし、急斜面に見えた中級斜面もカワイイものだ。ただ、斑尾の雄姿がはっきり見えないのが残念だが。 こちらには長野県と新潟県の県境が斜面のど真ん中にあるのが面白い。スキー場の大部分は新潟県にあるが、所在地が長野県に登録されているので、斑尾は長野のスキー場だ。ちなみにアメリカのヘブンリーではカリフォルニア州とネバダ州の州境が、ツェルマットではスイスとイタリアの国境があったりしたが、県をまたぐスキー場なんて、日本にいくつあるのだろうか。アサマ2000みたいに、ゲレンデは全部群馬県にあるのに、長野県で登録しているスゴイところもあるが・・・。 ガスが晴れるのを待っていても仕方ないので、クワッドで斑尾山に上る。スーパークワッドに乗って、そこから右側に少し降りたところの3Aペアに乗る。そこから13リフトに乗るのだが、このあたりのコースは斜度も強く、変にフカフカで圧雪されていないと、初級者は難儀するだろう。ただし「アドベンチャーアイル(小道)」と称して木の間を滑るツリーランのコースがあちこちにあって、非圧雪が好きな上級者には魅力的だ。 最高地点に行っても、やっぱりガスっていて仕方ない。足を取られやすい斜面を慎重に滑りながら、タングラムに向かった。 こちらはいくらか空に青みがあるのだが、野尻湖はぼやけ、妙高は見えない。本当はマップの右端のコースからは野尻湖がきれいに見えるはずなのだが、今日は上半分が閉鎖されてしまい、ちょっとがっかりだ。タングラム側を滑ったが、野尻湖や妙高が見えないとちょっと残念だ。ここタングラムは東急系で、昔、会社の共済会のスキーで来たことがある。同じ東急系のグランデコと似た雰囲気で、食事はとてもいいのだが、パックでないと来れないくらい値段も高い。 タングラム側の方が天気がよかったので、こちらで1時間ほど過ごしてから、昼食のために斑尾に戻った。 斑尾のレストランは特色あるメニューを出そうと努力しているというとのことで、イチオシがスンドゥプ・チゲだというので、注文してみた。しばらくして出てきたのは器ごとボコボコ音をたてて沸騰している本格チゲだった。味は・・・まあまあだが、ライス付で1,100円でこの量では、どうかなあ。若い人は何か持ち込んじゃうよ。オフィス街のランチだとキムチのもう1品くらい付いて600円くらいかな。 ちょっと残念なランチを終え、あたりを見回していたら、おや、ゲレ食の一角でトランポリンをやっているぞ。安全ベルトをつけて、有料で遊ばせるものらしい。そういえば、ソルトレイクシティのパークシティというスキー場で見たことあるな。1回900円。スカイトランポリンといって、斑尾スポーツアカデミーがやっているらしい。ゲレ食としては天井がとても高いからできることなのだろう。見るといかにもアスリートというお姉さんが軽快に跳んでデモンストレーションをやっている。すると母娘がやってきて、女の子がハーネスを装着した。大丈夫かな、泣かないかなとか思っていたら、えらい勢いで跳びまくり、三階建ての建物くらいまで平気で跳んでいる。私だったら、怖くて泣いてしまいそうだ。宙返りまでやって満足そうに終えたのであった。 係りのお姉さんに話を聞いたら、通年でやっているアトラクションで、夏は野外でやっているらしい。斑尾スポーツアカデミーは夏でも木登りとかグラススキー、マウンテンボードと多彩なスポーツをやっていて、お姉さんも冬はスノボのイントラがメインだという。そうだったか、海外で見た、こういう面白いものはどんどん日本に紹介していってもらいたいものだ。 さて、午後はいよいよツリーランのエリアへ。スーパークワッドを降りてすぐ左の広いエリアに入る。ここは欧米のように、エリア内に入る時に再度注意書きがあり、「知らなかった」とは言わせないことになっている。まあ、いいことだ。入ってみると、さすがに客は少ない。直線的に木が生えていない、狭いラインがあるが、その両脇にはまばらに伐採されたツリーランのエリアが広がる。圧雪されていないのと、雪が豊富なので、特に降雪直後はむしろ板を外して無くさないようにする注意が必要なくらいだ。 ターンしづらいので、上下運動を使いながらホコホコした雪面を滑る。ここまでくると、ファットスキーやボードの方が楽しそうだ。通常の板だと、慣れていないと疲れそうだ。それでも今まで滑っていた圧雪斜面と比べると非日常的なコースで、結構長く、圧雪エリアに戻ったときは、なんだか映画館から出てきたような気分だった。 ところで、私が初めての海外スキーでウィスラーに行ったときに驚いたり感動したりしたことは多かったが、その一つはツリーランが盛んなことだ。せっかく広大なエリアを滑るのに、コース整備されたところ以外は滑っちゃダメ、というのはあまりに過保護だし、もったいない。かといって林間に入ると、小さな幼木とか枝がたくさんあって、滑りづらい。そこで、大きな樹木以外は伐採して、林間でも滑りやすくしたものだ。遠くから見るとそのコースの森林が薄くなっているのが分かる。 基本的に、カナダのパトロールは林間を滑られると喜ぶらしい。木の生えていない所は雪崩が発生して、その場合はスキー場の責任となる。しかし林間は雪崩が起きないのと、衝突事故で死んでもそれはスキーヤーのせいになるからだ(私がウィスラー滞在中、ボーダーが林間コースで死亡したが、コースが閉鎖されることはなかった)。日本ではARAIやニセコが非圧雪の開放で有名だったが、雪崩事故がどこかで発生するたびに非圧雪開放の流れは止められていたように思う。だから、斑尾のようにツリーランのエリアを増やすことは外人客対応というだけではなく、日本人にも非圧雪の楽しさとか、自己責任というものを広めるメリットがあるのではないかと思ったりもするのだが。 気に入ったので、ここのエリアを繰り返し滑る。でもやっぱり、専用の板で滑ってみたいものだ。昔のノーマル板に比べれば、カービングの方が幅が広いが、それでもやはりターンの時は疲れるものだ。 空が晴れたらいつでも山頂にいってやろうと狙っていたが、午後、雪が強く降り出したので宿に戻ることにした。 それにしても、昔は斑尾といえば苗場と並んでミーハー(この言葉自体が死語か)が集まるスキー場として知られ、苗場のプリンスに対してこちらはペンションが無数に並び、「みだらお」なんて呼ばれていた時代もあったぐらいで、最盛期は年間70万人の利用客がいたのだが、その後バブルと一緒にはじけてしまい、20万人程度まで落ち込み、経営母体は会社更生法の適用申請で身売りやら何やら続き、昨年関西のマックアース社が買い取り、なんとか営業継続と相成った。それだけにいろいろな可能性を試行しているようだ。 ツリーランのエリアは今シーズンの評判が良ければもっと広げるのもいいだろう。妙高などの絶景が広がるので、志賀の横手山みたいに山頂に展望台を作るとか、またパウダーデイ(強い降雪の翌日)は宿泊施設も協力して朝食を早めて、リフトも6時くらいから動かしてしまうとかやると、気合いが伝わってくるというものだ。また、イタリアのセラロンダのように、斑尾山をぐるりと回るコースなんかを作ったりしてみても面白いかもしれない。すでに半分は斑尾とタングラムが広がっているし、南斜面でも上部を使えばなんとかなりそうだし、西斜面の野尻湖に飛び込むように滑るコースはきっとステキだ。 宿はヒューマンクラブというホテルで、直前飛び込み1人利用の1泊2食タングラム共通リフト1日券付で9,000円という格安プランだったので、食事や部屋には満足できたが、風呂がぬるかったのにはまいった。文句を言ったら、追い焚きできないので、熱い湯を足してくれという。しかし十人は入れる風呂なので、熱くなるまで待っていられない。そういえば風呂は私一人だった。他の客は温泉にでも行ったのかなあ・・・。まあ、安いから仕方あるまい。9時には布団に潜り込んでゆっくり寝ることにした。 |
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実は上の写真と同じ時にフラッシュをたいたら、 雪が写りこんでいた。 |
10分以上待たされたら、りんごをプレゼント というのもいいねえ |
あの上のほうにあるの、なんだ? | なんと、頭を乾かすドライヤーだ |
昔は4基が並んでいた | 左の写真のリフト降り口から斑尾山を見る |
雪上車だ | 「リフト券をお見せください」を 声を出さずに言うのがいい |
リフト乗車場の、乗ってすぐの場所。 ボードに書いている |
スノーモービルに乗れるぞ |
うまい!! 安い!! 評判店だってさ | 本当に安いのかね |
昔は、ロープトウだったところだ | ハイジの中。ブーツを脱いでくつろげる 空間があるのはいいが、長居しそう |
デモのお姉さんだ | 女の子だが、えらい跳んでいたぞ |
スノボのイントラもやっているらしい。 とても明るく、親切なお姉さんでした |
これがハイジの建物だ |
ツリーランの入口の注意書きだ | ツリーランの斜面 |
ちょっと晴れてきたようなので斑尾山の対岸に 移ったが、山のガスは晴れていなかった |
晴れ間のある方向もあるのだが、 妙高方面はさっぱりだった |
料金を考えると、納得のいく内容だった | |
【ギャラリー】 | |
最も晴れていた時の斑尾山。 しかし妙高は全く見えなかった |
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斑尾とタングラムの境の尾根。この左右もツリーランコースだ | |
タングラムとの境の斜面。右側はツリーランだが、この斜面も注目度が高い | |
ツリーランのコース。中央になんとなく広いコースがあり、 モロ林の中を滑りたくない人はここを滑るといい。 |
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このエリアはスキー場が密集しているエリアでもある。野沢温泉と天秤にかけて、悪天候の場合は、斑尾がいいかもしれない。パフパフのパウダーが楽しめるだろう。ただし温泉街は無いので、そのあたりは使い分けよう。 | |||
斑尾高原スキー場 タングラム 斑尾スポーツアカデミー |
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