宝石を失った | ||||||||||||||||
2008年レポート(5) 道東-2 | ||||||||||||||||
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なぜ今回のスキーで羅臼を選んだかというと、ここは海を眼前に滑ることができるからだ。以前、小樽の天狗山で滑ったとき、海を見下ろしながら滑ることが出来て感動したものだが、羅臼はもっと海に近くて、本当に飛び込むように滑ることができると聞いた。しかも天気が良ければ国後島も見えるとのことで、北方領土を見ながらのスキーも一興だ。しかも、今年で営業を終了すると言われたら、躊躇しているヒマはない。せっかくの道東遠征だから、行くのは必然であった。ところでこのスキー場、「町営」ではなくて「町民」スキー場なのがなんともいえない。 |
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羅臼町民スキー場 (スキー場にあった看板を撮影して加工) 羅臼町民スキー場公式サイト |
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第2リフトを降りて少し滑ったところに大きな一枚バーンがある。この上からの風景にはまたもズシンとくる感動があった。海の眺めを邪魔していた望郷台はチョコンと見下ろす位置にあり、目の前には海ガガンと広がっている。遠くには国後島がドッシリ横たわっていた。国後の山の上の雪の部分がキラキラ白く光っていた。どれも個性が強い。それにしても今まで海を見れば水平線、というのが相場だったが、島があった方が奥行きが出るし、その島影もボワッとひろがっているよりも、高い山があった方が存在感があり、自己主張しているようでいい。しばらく見とれてしまった。日本国内を200ヶ所以上滑っているのに、まだ管理人をこんなに驚かせるスキー場があったとは。山奥ばかりで滑っていて、景色といえば特定の高い山の山容とか、良くても湖にたよっていたこのサイトにおいても衝撃であった。しかもそれが、よりによって、もうすぐ歴史を閉じるなんて、まったくもって信じられん!!。不条理を感じながらこの景色のいいコースだけを滑ったが、ちょっとだけガス気味なのが残念だ。 施設をみるためにベースに戻る。とても素朴で、昔の木造校舎の小学校のようで、真ん中にストーブが鎮座し、そのエントツが部屋の中を突っ切っていた。壁には学校の下駄箱みたいな棚が並んでいて、みんな鍵も掛けずにブーツやら靴やらを放り込んで置きっぱなしだ。地元客と話をしたら、もうどうしようもないので、標津町金山という小さなスキー場か、あるいはビラオまで足を伸ばさないといけないらしい。リフト券を売るおばさんも寂しそうだった。 しばらくすると山の上の風がやんだようだ。ひょっとして、さっきよりもっときれいに見えているんじゃあ・・・。予定ではこれから魚介のランチをタラフク食べて、斜里へ向かい、今回の道東ツアーのメインイベント、流氷スキーを楽しむつもりだったが、魚介類は東京でも食べることはできる。ランチをやめてもう1本滑ることにした。もう、このスキー場には二度と来ることはないのだ。リフト券を2枚買い、トップへ再び登った。 未練がましく見えるこの行動は正解だった。たった30分ほどの差だが、ゲレンデトップのガスが晴れていて、ずっとクッキリ見えている。これを狙って東京から天気予報とにらめっこしながら勝負に出たのだ。ゆっくりいこう。ランチはコンビニのサンドイッチでいいか。ゲレンデで至福の贅沢な時間を過ごした。その後街中でお土産を買い、羅臼を出発したのは11時30分だった。 |
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ウナベツスキー場 (Webガイドを加工) ウナベツスキー場公式サイト |
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スキー場が近づいた海岸線の道路では海が白くなっているのが見える。電話係の人に覚えられてしまうくらい、さんざん流氷の状況について確認しただけのことはあった。ウキウキしながらスキー場の駐車場へ。 スキー場は山頂から大きな斜面に3本の先を「川」の字に書いたかたちで、1本のリフトですべてのコースを滑ることができる。ここは2時間券があるので、これでいこう。券といっても、手書きの券で、素朴さ満点だ。 リフトの上ではガマンできずに後ろを振り返りっぱなしだった。うれしくって、リフトに一緒に乗ったパトロールの人に「あの海の白いの、流氷ですよね」とか、去年の網走レイクビューの時みたいなボケをかまさずにはいられなかった。他府県からのスキー客も少ないだろうから、パトロールも驚いたはずだが、そこは動じることなく、「南風が吹くと、ス〜ッと沖に行っちゃうんですよ」とか話してくれた。管理人の勤務地の六本木ヒルズにも観光客やら修学旅行生やらがわんさか来てははしゃいでいたりしているが、その逆の立場だろうか。とはいえ、流氷で埋め尽くされた真っ白な海は見たことが無いから、異様でもあり、それがまたどえらい感動であった。 ゲレンデトップからの景色も抜群だ。ベースまで一気に続くストレートコースの先には、網走まで続く優美な海岸線が伸びている。青い海もいいが、やはり冬は白い海に限る!。ここでまた写真を撮りまくって時間を過ごした。滑るなら、センターコースはお勧めだが、人が多い。むしろサーモンコースが穴場的存在だ。ここはモロに海に向かって滑るので、本当にオホーツク海に飛び込むようだ。それにしてもサーモンコースとは、なんて北海道的な響きなんだろうか。ただし途中に強い斜度の斜面があることと、全体的に荒れっぱなしで圧雪されていなかったので、すいていたのはこのせいかもしれない。カラマツコースはやや迂回気味で斜度もおだやかだったので、スクールが多かったようだ。 このスキー場で気が付いたのは、少年向けのスキーが盛んで、地域密着でやっているということ。レストハウスはまるでそのスキー団の溜まり場で、中には貸し出しヘルメットがずらりと並んでいて、いつ、どのグループが練習するか、先生はだれか、氏名と電話番号までモロ出しで、このスキー場が地域の絆を守っているような気がした。2時間券をほぼいっぱいに使って、スキー場を後にした。 次に向かったのは車ですぐ近くの「知床博物館」。ここは5時で閉館だ。ぐるぐるっと見て周り、読みたい解説はデジカメで撮影して、あとでゆっくり読もう。ここは裏にオジロワシが飼育されているので見落とさないように。 そして最後の目的は流氷に近づくことだった。5時近く、わずかな夕日を残してもう周囲は暗く、海岸に出る道が分からない。港のあたりの桟橋に出て、やっと流氷を間近に見ることができた。桟橋にぴったり接岸した流氷は果てしなく向こうまで続くじゅうたんのようだ。晩飯も網走で食べる予定だったのをやめて、斜里から直接女満別空港に向かい、レンタカーを返した。416kmの走行だった。それにしても本当に夢のような、夢がかなった2日間だったが、日本のスキー場が羅臼を失ったことだけが残念でならない。 |
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このとぼけた表情がいい | 望遠レンズで。国後島の白い山を見る。 2羽のカモメが写りこんでいるの分かる? |
カモメよけの網かな? | しおかぜ公園で。オホーツク老人のモデルは 映画「地の果てに生きるもの」を演じた森繁久弥だ |
望郷台から羅臼港を見下ろす | 望郷台から羅臼スキー場を見る。 この時はガスっていなかったが |
レストハウスの中は小学校みたいだ | この棚に荷物を置きっぱなし |
ふるさと納税みたいだ | 電車の輪切りみたいなリフト小屋だ |
これが下のコース。圧雪はされている | おお、いいぞ。でもガスってきたなあ |
RAUSUっていう地名、英語みたいで かっこいいと思わないか? |
1回目、肉眼でははっきり遠望できたが 写真ではだいぶかすんでいる |
下の方は晴れいているんだよな・・・ | リフトは利用料じゃなくて使用料らしい。まあ、いいか。 中学生までを小人とするのがおおらかでいい。 |
2回目、国後島がだいぶはっきりしてきたぞ | 海を見ながら、のんびりいこう |
話し好きのおじさんにつかまっちゃいました! | 左は斜里岳かな? |
ウナベツスキー場に着いたぞ | 平成11年8万人達成・・・キリ番の人は 記念写真だ |
天気はいいぞ | 3時45分までね |
センターコースは滑り台のように一直線だ | うおお!。流氷だ! |
海岸線めいっぱいの流氷だ。 望遠レンズで |
遠くの色濃いのは、 流氷のクレバスか? |
最高の景色だ | ベース付近でも流氷はくっきり見える |
海を横目に | なんか、なごんでしまう |
UNABETSU君、あれは何かね | 降雪時、リフトの雪を吹き飛ばす扇風機だ。 つまり、標高30mくらいでもパウダーなのだ |
サーモンコースの急斜面入り口 | サーモンは海岸線がまっすぐに見える |
貸し出しヘルメットだ | 参加費はリフト代だけ?。 スクールの商売、あがったりだ |
集まる少年の名前、学校名、先生の住所や電話番号・・・ なんでも大公開だ |
知床博物館だ |
民俗資料と称してガラクタを並べるのは 基本中の基本だ |
熊の剥製、でかかった。 いろんな動物の剥製があった |
アイヌの小屋の復元らしい | オジロワシだ |
海別岳(たぶん)が見下ろす | 夕暮れの港に接岸した流氷。右手前までが桟橋。 超高感度で撮影。実際にはずっと暗かった |
【ギャラリー】 | |
羅臼スキー場は日本でただ一箇所、北方領土を間近に見ながら滑ることができるスキー場だ(だった)。 |
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これだけ海に正面から向かって滑るスキー場も珍しい | |
【ウナベツ】 流氷を見ながら滑ることができるスキー場も日本には数えるほどしかない |
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カラマツコースから。美しい海岸線の向こうは網走だ | |
サーモンコースは流氷を間近に見ることができる | |
港に接岸した流氷。日が落ちる直前、間に合った1枚だ | |
とにかく、見るものがいっぱいあるときは、食事時間をけずるしかない。最後はとにかくレンタカーを返して、空港のレストランで。北海フライ盛り合わせ定食(厚岸のカキ、網走のマダラ、佐呂間のホタテ、オホーツクのサケ、紋別のズワイガニ)はライス、味噌汁、御新香付きで1,200円だった。 夕食の時間を削ったおかげで知床博物館と港で流氷を間近に見ることができた。 |
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羅臼町民スキー場 知床羅臼町観光協会 ウナベツスキー場 知床斜里町観光協会 流氷サイト |
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