古豪の復活なるか | ||||||||||||||||||||||||||||||
2007年レポート(5) 山形−1 | ||||||||||||||||||||||||||||||
イタリアから帰国し、ちょっとスキーはお休みしていた。もともと2006/07シーズンは、年末から2月ごろまで各地で記録を更新しまくる暖冬であったのはご存知だろう。スキーに行く気がしなくなるような状況であったのだが、場所によってはどういうわけか3月ごろになって寒くなり、いい感じになっていたりするのだ。 その中で、山形蔵王が積雪もバッチリで、樹氷がきれいにできているという報道があった。しかも天気も安定していて、樹氷が青空に映えているという。山形蔵王は日本を代表するスキー場の一つだが、私が行ったのは何年も前の大雪シーズンのGWで、GW期に上から下まで滑り降りることができると聞いて、月山に行く途中、立ち寄ったものだ。しかしさすがに樹氷は見ていない。樹氷を見ずして蔵王に行ったことがあります、なんて言えるだろうか。そういうわけで急遽、蔵王行きを決めた(もともと蔵王の樹氷は2月ごろが見ごろという。ちょっとでも気温が上がれば、樹氷のエビのしっぽが円くなってしまうからか。しかし1〜2月は樹氷を作るために長く曇天が続き、好天は望み薄だ。樹氷を見るだけなら別として、スキーとの組み合わせでいくなら、3月上旬の方が蔵王の樹氷スキーはいいだろう。なお、その年によって見ごろは異なるから、事前に調べておこう)。 私はもともと、いつでもいきなり有給を使って3連休が取れたらどうするか、といった出撃プランを準備していたので、いきなり行くことになっても計画は万端だった。3日間で最も天気が良さそうな日にまる1日使って山形蔵王。次にライザスノーワールド。ライザに行く日は時間に余裕があるから午後は山寺に寄ってみよう。もう1日は黒伏高原と面白山。面白山は電車でないとアクセスできないので、普通の電車に乗っていくという面白いスキー場だ。ううむ、完璧ではないか。そして天気予報では、最も天気が良くなりそうなのが遠征初日だ。よし、気合を入れて山形蔵王だ!!。 3月2日、3:40に家を出る。コンビニで買い物をしてから4:00に自宅近くの首都高高松ランプに入り、4:15には東北自動車道へ。5:40に那須塩原SAで休憩して7:15に村田ジャンクションを折れて7:30に古関で休憩、7:50に蔵王ICを降りて、西蔵王高原ライン経由で8:14に蔵王山麓駅に到着。池袋の家から397kmの走行だった。 |
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山形蔵王温泉スキー場コースガイド(Webパンフを加工) 山形蔵王温泉スキー場公式サイト |
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さて、天気がバリバリに良くなりそうなのは今日なわけだが、ここまで狙いすまして来た以上は、気温が上がって遠くの景色がぼんやりする前に山頂にいかなくちゃ。蔵王山麓駅からはテイネハイランドで見たような、小さな銀色のロープウェイで樹氷高原駅へ。2本目の蔵王ロープウェイ山頂線は、つい、このあいだ谷川岳ロープウェイで乗ったばかりのフニテルという2本ケーブル式だ。日本ではまだ珍しいタイプだが、奇しくも連続して乗ることになった。こちらはゆったりしていて景色を楽しむにもいい。おお!左右は見事な樹氷が元気にモコモコやっているではないか。思えば10年くらい前のGWに春スキーで来たときは当然のことながら、樹氷のかけらもなかったからなあ。 地蔵山頂駅に降りると・・・すんばらしい!。八甲田山以来の樹氷群だが、三宝荒神山よりも地蔵山の樹氷の方がモコモコ感があってすばらしい(地蔵山の方が太陽の向きのせいか、樹氷のより白くて融けていない面をこちらに向けているようだ)。だから写真は地蔵山の方ばかりパチパチ撮った。そしてせっかくだからとすぐ目の前にある地蔵山に登ってみることにした。 結構目の前に見えるが、実際に登るには数十分はかかるだろう。それでも高い位置からはより遠くの景色が楽しめるので天気がいいときは板を置いて、ストックだけ持ってハイクアップすることをお勧めする。遠くには月山が浮かぶように見える。実に神々しい山で、信仰の山にふさわしい外観だ。また、やや南に目を移すと、朝日連峰が白い稜線を見せる。この世界的にも珍しい樹氷ができるための複雑な条件の一つとして、あの朝日連峰も不可欠だ(樹氷の生育条件は、アオモリトドマツであること、強すぎない西風がずっと続くこと、いったん高山で水分が抜かれること、など)。ここから降りる途中も樹氷の1つ1つの表情に見入りながら降りていった。それにしてもこの樹氷を見るためにスキーをしない観光客が日本中から集まる訳だが、それだけの価値が十分にあるところだ。あなたが行くときはそのシーズンの樹氷の見ごろにぜひ行ってもらいたい。 さて、地蔵山頂駅に戻って、お約束の胸まで雪に埋もれたお地蔵さんにお参りした。ふと見ると目に付くのが韓国のスキーヤーだ。外見が同じなのになぜ韓国人とわかるかというと、(1)国旗、あるいは国旗をデザインしたものを身に着けている(2)ヘルメットをかぶっている(3)男女で記念写真を撮るときは、おたがいベッタリ、あるいは抱き合ったりしている、といった特徴が見られるからだ。韓国ではスキーの人気が高まりつつあるというが、天然雪は少ないので、気軽に日本に来るらしい(このサイトの海外レポ、ドラゴンバレー見てね)。特に最近ソウルと仙台に直行便ができたため、蔵王は非常に注目されているというのだ。そういえば案内の標識などハングルや中国語も目立ち始めているが、いいではないか。ウィスラーやツェルマットと同じく、蔵王は世界のスキー場だ。なんでもいいから、とにかく廃業します、なんてことだけはやめてもらいたい。 山頂付近には2時間近くいたことになるし、写真は100枚以上撮影したが、それだけの価値はあった。やっと板を履いてザンゲ坂を滑り始める。 ここはやや急斜面もあるが、注意して滑れば初心者でも大丈夫だ。とりあえずは滑ったことがなかった大森ゲレンデ、黒姫ゲレンデを滑る。そして蔵王の名物コース、横倉のカベを滑って蔵王山麓駅に戻り、ランチにした。 さて、後半は地図の左側を制覇するか。再びロープウェイで高原駅から菖蒲沼へ。ここではチューブライダーという、浮き輪のでかいのに乗って斜面を豪快に滑り降りる遊びができる。チューブが足りなくて待ってられなかったのでできなかったが、やりたかったなあ。 中央ゲレンデ、ダイヤモンドバレーを滑って竜山ゲレンデへ。ここが左の端になるのだが、ここからは蔵王全体が見渡せる。なだからな稜線と地蔵山の白い樹氷群。このレイアウトだけでも美しいくらいだ。 上の台ゲレンデから蔵王中央ロープウェイでパラダイスゲレンデに戻り、ここで営業終了の放送がかかった。暮れなずむ百万人ゲレンデから横倉のかべ経由で山麓駅に戻った。 さて、話はこれで終わりではない。せっかく来たのだから、ナイターで樹氷見物をしてみよう。ライトアップが始まるまでの間に温泉に入り、ジンギスカンの店で夕食をとり、再びロープウェイで朝イチで登った地蔵山頂駅へ(リフト券は別料金2500円)。真っ暗な中、フニテルに乗っていると山の上だけが光り輝いている。ワクワクしながら駅に降りたが、おお、すばらしいじゃないの。でももっといっぱい照らしてほしかったなあ。 今シーズンは3月5日までのライトアップだったので山形遠征が来週になっていたら、見ることができなかった。これはラッキーなのだが、状況がいいときは延長してもいいのではないだろうか。しばらく幻想的な風景を堪能してから戻り、山形市のホテルに入った。 それにしてもスキー場に非常に適した斜面と、世界に誇れる樹氷群を持つ蔵王は温泉もあるし、もっとその真価を見直してもいいのではないだろうか。もしも欧米人から日本のどのスキー場がお勧めか、と聞かれたら、蔵王をお勧めするだろう(変な架け方の、のろいリフトが多いのには目をつぶって)。白馬みたいな景色はヨーロッパアルプスの方が本場だし、北海道のような雄大さは北米ではごくあたりまえだ。しかし樹氷群や温泉があるスキー場は海外では聞いたことが無い。昔、ツェルマットの宿の女主人にマッターホルンの景色を誉めたら、「息子が今、日本のツァオー(Zao:蔵王)でスキー教師をしている。このあいだ絵葉書でモンスター(樹氷)の写真を送ってきたけど、ありゃあすごいね」と言っていたのを思い出した。 |
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山麓線は弁当箱のようなロープウェイだ | 山頂線は最新のフニテルだ | |||||||||||||||||||||||||||||
樹氷がモコモコだ | ザンゲ坂のコースが見える | |||||||||||||||||||||||||||||
ロープウェイ下も滑っちゃだめ? | モッコモコだ | |||||||||||||||||||||||||||||
「開運の鐘」というのがストレートでいいね! | 左側がハイクアップコースだ | |||||||||||||||||||||||||||||
パトロールはハイクアップ用の シューズを使っていたぞ |
エビの尻尾は風上に向かって成長する | |||||||||||||||||||||||||||||
朝日連峰だ | 月山はボウッと浮くように見えていたのがいい | |||||||||||||||||||||||||||||
地蔵山の山頂。 朝日連峰と月山も写っている |
地蔵山山頂から熊野岳を見る | |||||||||||||||||||||||||||||
地蔵山斜面とロープウェイ。ただしこの方向だと 樹氷の融けた面が写るので良くないのでは |
毛だらけの生き物のようだ | |||||||||||||||||||||||||||||
ムックみたいだ (ムック知らない人はポンキッキ調べて) |
いったい、元はどんな形していたんだろう | |||||||||||||||||||||||||||||
いちゃついていたら、くっついちゃいました! | 巨大なのもあるぞ | |||||||||||||||||||||||||||||
ゴンドラ駅の屋上も展望台だが、 こんなのも見えるぞ |
お約束の地蔵とそり付き賽銭箱だ |
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ザンゲ坂のスタート地点だ | ザンゲ坂は景色はいいが、やや狭い急斜面には注意だ | |||||||||||||||||||||||||||||
この竹ボウキは?。いつでもすぐきれいにするということか | 樹氷高原駅付近。三角屋根はいいランドマークだ | |||||||||||||||||||||||||||||
百万人ゲレンデ、このネーミングに歴史を感じるなあ。 | 横倉のカベを下から見上げた | |||||||||||||||||||||||||||||
菖蒲沼のチューブライダーだ | かなりの斜度と距離だ。 やりたかったなあ!! |
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そば処「もってのほか」のもり天そばは1100円だ | 三宝荒神山を見上げる。あの山頂から右に伸びる、 ゆるやかな稜線がザンゲ坂だ |
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ダイヤモンドバレー付近で。 山の上にホテルがあり、宿泊客を運ぶのに活躍していた |
スカイケーブルは名前の割には低空で移動するなあ | |||||||||||||||||||||||||||||
竜山ゲレンデを望む | いました、いました!。リフトに乗っていると いきなり目に飛び込んでくるスキーヤーの像だ |
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竜山ゲレンデにはジャンプ台もあるぞ | スキー場内にある「かもしか大橋」から丸見えの露天風呂だ。 見えているのは男湯で、女湯はこの裏だって!? |
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標識は英語、ハングル、中国語(簡体・繁体)だ。 | 三宝荒神山を見上げる。あの山頂から右に伸びる、 ゆるやかな稜線がザンゲ坂だ |
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暮れなずむ百万人ゲレンデ | 蔵王の露天風呂のひとつ、源七の湯だ | |||||||||||||||||||||||||||||
なかなか幻想的だ | 見飽きることがない | |||||||||||||||||||||||||||||
【ギャラリー】 | ||||||||||||||||||||||||||||||
樹氷高原駅から山頂駅を望遠で。樹氷にカラフルなゴンドラが映える | ||||||||||||||||||||||||||||||
上の写真と同じ位置から方向を変えて。地蔵山方面の方がびっしりだ | ||||||||||||||||||||||||||||||
ゴンドラから樹氷コースを見下ろす。早く滑りたい! | ||||||||||||||||||||||||||||||
地蔵山山頂から月山を望む。実に神々しい山だ | ||||||||||||||||||||||||||||||
生き物のような樹氷だ | ||||||||||||||||||||||||||||||
樹氷の「エビの尻尾」の拡大。ただし、風は写真の左側から吹いてくるのだ | ||||||||||||||||||||||||||||||
山頂駅から地蔵山方面を見上げる | ||||||||||||||||||||||||||||||
地蔵山の樹氷群。モコモコっぷりがいい | ||||||||||||||||||||||||||||||
こういう写真が無いと、樹氷群はとても小さなものに見えてしまうだろう | ||||||||||||||||||||||||||||||
こんな感じでモコモコだ | ||||||||||||||||||||||||||||||
ダイヤモンドバレー方面から三宝荒神山の斜面と、その背後の樹氷だらけの地蔵山を見る。 こうしてみると、樹氷とは蔵王一帯ではなく、地蔵山のごく一部、条件のそろった場所だけにあることが分かる |
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ナイターも人気だ。ちょっと荘厳で不気味でもある | ||||||||||||||||||||||||||||||
意志を持っているかのような樹氷群。 樹氷の写真ばかりでごめんなさい!! |
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蔵王に行ったらジンギスカンは食べてみよう!。 (玉こんにゃくでは元気は出ないぞ!) 写真の「松しまや」のジンギスカン定食は1500円だ。 |
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山形蔵王温泉スキー場 (公式HP) 蔵王温泉観光協会 (公式HP) 樹氷のできる条件 (蔵王温泉観光協会) 山形蔵王の樹氷 蔵王ロープウェイ (公式HP) ライトアップのスケジュールなど そば処「もってのほか」 ジンギスカン 松しまや 源七の湯 |
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