みちのくスキー | |||||||||||||||||||||
2006年レポート(9) 宮城蔵王-2 | |||||||||||||||||||||
駐車場に到着してみて、それは想像妊娠の域でしかないことが分かった。雨なのだ。どうしよう。今から予定変更となってもドライブ関係は雨天でだめ。白石市に白石城があって博物館もあり冬期も営業しているから、そこに行こうか。でも時間が中途半端だし、だいいち駐車場まで来ているのに引き返すなんてのは、他人の家の呼び鈴を押して逃げるイタズラみたいで、大人がやることではない。ううむ。30分以上ラジオを聴きながら寝っころがって予定をあれこれ考えていた。すると車外で人が何人も歩いている音がする。おや、やんでいるではないか。いや、信じていたぞ!。板を担いでセンターハウスへ飛んでいった。 このセンターハウス、駐車場から長い階段を登るところも合わせると岩手高原やシャルマン火打を彷彿とさせる立派なものだが、ゲレンデは悲惨であった。3月の東北だというのに土がところどころ露出していて、さらに雨がしみこんで病的だがやむをえん。 |
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蔵王白石のコースガイド(配布パンフレットを加工) 蔵王白石スキー場公式サイト |
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まあそれでも施設などを一通り見れればいいか(以前、広告代理店でマーケティングプランナーを6年間やっていて、そのときスキー場もやったせいもあり、スキー場にいくたびに施設やサービス面を見る習慣がついてしまった。こんなにスキー場をハシゴして写真を撮りまくる原因はこのへんにある)。 当然、リフト券は1回券でいいだろう。全体を把握するには4枚で十分だし、思いっきり滑走することを楽しめるコンディションではない。350円の1回券を4枚買ってオヤと思うのは、大きく「NPO法人不忘アザレア」とあることだ。 係員に質問したら、奥から役職者らしき人が出てきて、熱のこもった説明をてくれた。 実はもともとの経営母体である企業は1997年に倒産した。国有林を原状回復して返還する資金も無く、また白石市のスキー場が無くなることを危惧した白石市民があれこれ考えて、結局第3セクターではなく、NPO法人として営業を継続した(このへんは公式サイトに詳しい)。努力の末営業面も経営面も改善され、数年前に市に寄付できるまでになったらしいがそこに至るまでのマーケティング活動が評価できる(たとえば、お客様アンケートの全件従業員フィードバックなど)。ちなみに不忘(ふぼう)とはこのスキー場がある山の名前、不忘山からで、アザレアとはこのあたりに多く咲いているツツジの名前らしい。 それはそうと、売店をちらりと見たら、なぜかレジ近くにタオルが山積みになっていて、1枚30円で売っている。おや、安いなと思ったら、「伊豆韮山温泉ホテル伽羅えん」とある。なんでこんなのがここで売られているのかお姉さんに聞いたら、「誰かが、たくさん入手できたので家から持ってきた」という。まるでバザーの世界だが、こんなことでも収入を得ようという根性には涙ぐましいものがある。つい3枚くらい買ってしまった。帰りに温泉に寄る人はこれを買って行こう!。 さて、やっと滑りだす。下はベタベタなので急いで第2リフトへ。景色は以前、福島の東北自動車道沿線のスキー場の景色に似ていることに気づいた。スキー場は雪があるが、眼下の景色は山ばかりなのに標高が低くて雪が無い。それがぱ〜っと広がっているのだ。コースレイアウトそのものは悪くないが、この第2コース側は南向きで飛ばすと湿雪で足を取られるのでキケンだ。しかし平らな尾根の上なので景色はパノラマに近く、シーズンの晴天時にはスキーの開放感が持つ楽しさを味わえるだろう。次に第6リフトへ。こちらは上級ということで人が少ない。雰囲気としてはダケカンバのようなカバの木が多く、ソルトレイクのディアバレーのようなベージュの世界にも見えた。昨日のすみかわのようなワイルドさに比べて、家族が気軽に楽しむのにいいのではないだろうか。「家族み〜んながあったかい」というコピーのもと、家族パック料金が種類も多く充実していて、白石市近郊の市民のスキー場として定着を図っているようだ。今後の中規模スキー場のあり方についていろいろな提起をしているのは間違いないだろう。 ここから七ヶ宿(しちかしゅく)までしばらくの山道だ。 |
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蔵王七ヶ宿のコースガイド(配布パンフレットを加工) 蔵王七ヶ宿スキー場公式サイト |
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リフト券は総合案内所の建物内だ。ここではチビッコのレースの表彰式をやっていた。うむ、子供対応は最近の流れだ。例によってここも一通り見れればいいやとリフト1回券を4枚購入した。最上部へゆっくり登る。だんだんガスが濃くなる。中央コースではレース用のポールが並んでおり、係員が残っているのを見るとまだレースはあるようだが、少ない人数で運営する人の努力もたいへんだ。 コースの脇に立派な石碑があるから、何かと見たら「この霧氷ヶ峰コースは陸上自衛隊第2施設団が3年かけて日頃鍛えた技と根性を傾注し、造成したものである」と書いてある。ボランティアや私財投入でもない、公務員の行ったことに記念碑まで建てるのはどうかという気がしたが、そういう土地柄なのだろう。しかし造成されたコースはなかなかスキー向きになっている。 このスキー場全体に言いえることだが、技術の高いキッズに向いていると思う。どこを滑っていても必ずベースに戻ることになるのだが、そのベースが幅が狭く、しかも広く一望できる。これは親が安心して子供に好きに滑らせてやりやすいことを意味する。八方尾根や志賀高原、野沢温泉なんかで自由に滑らせたらどこのベースに滑り降りるか分かったものではないし、さきほどの白石は横幅がまだ広いうえ、真ん中にクワッドがあるので見渡しづらい。この点は七ヶ宿に分がある。斜面は北西を向いていて、雪質はさっきの白石よりはちょっといい感じだ。 遅い昼食をゲレンデ中ほどにあるレストランでとる。でもなんか人が少なくなったなあ。みんな昼過ぎにはやめるのだろうか。ベースまで降りてみて理由が分かった。今日はビンゴ大会があり、賞品には来年のシーズン券まであるという。親は子供そっちのけでビンゴに集中だ。ううむ、なかなかいいではないか。でもその間、スキー場の客が全員ベースに降りてきた気がするなあ。とりあえず1回券を使い切る。 帰りがけ脇本陣安藤家の前のそば屋でそばを食べて、材木岩を見学し、白石市へ。白石城は閉館ぎりぎりだったのを駆け込み、その後歴史博物館に立ち寄って帰った。本質がマーケッターなので、見れるものは何でも見ようとする性格は直しようがないが、これも私のスキーの一部だと思っている。 帰りは例によって渋滞も無く、無事に帰京した。 |
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長い階段がブーツにつらい | けっこう、ゲレ食で待機していた | ||||||||||||||||||||
カウンターの上のタオルは? | なんでここで売っているのかというと・・・ | ||||||||||||||||||||
トップシーズンに来よう | ダケカンバがあると明るく感じる | ||||||||||||||||||||
遠くも見えてきたし、 行きますか |
上級コース。 ダケカンバのベージュのコースだ |
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黄色いセンターハウスは よく目立つ |
ここから七ヶ宿。 総合案内書は田舎の分校みたいだ |
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レースの表彰式やっていたぞ | 木目調の自動販売機が並ぶの、 いいと思いませんか |
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人は少なかった | のんびり行きますか | ||||||||||||||||||||
前じゃなくて横でしょ。 リフトを降りたところで。 |
立派な記念碑だが | ||||||||||||||||||||
お、コーヒーは100円かね ⇒ | なんだ、自販機じゃないの。 でも作り置きよりいいかも |
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きのこクリームにしようかなあ ⇒ | 見本と全然違うじゃん | ||||||||||||||||||||
みんな、どこに行った | とにかくベースは初心者天国だ | ||||||||||||||||||||
普通は巨木でないと切られちゃうのだが、 よくぞ残った |
唯一の名を冠した名物だが、こういうのは 上越国際で懲りたのでやめとく |
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明るくていい | 蔵王といえば玉こんだ! | ||||||||||||||||||||
迫力の材木岩。材木のようだ。 超広角撮影なので車がゆがんでいる |
これがそば屋の吉野屋だ | ||||||||||||||||||||
ガツンとくるものは無かったが・・・ | そば屋の座敷で気になった穴。 やはりネコの通路だった |
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白石城だ。 閉館までもうすぐだ、急げ! |
天守閣から白石市 | ||||||||||||||||||||
博物館で | 博物館の中はなかなかのものだ | ||||||||||||||||||||
七ヶ宿はシチカシュクと読む。電話で状況を聞くときに、「なながやどスキー場ですかぁ?」とやると電話を受けた人は泣き崩れるであろう。このサイトの読者は間違えないようにしていただきたい。 | |||||||||||||||||||||
みやぎ蔵王白石スキー場(公式サイト) 蔵王七ヶ宿スキー場(公式サイト) 材木岩・白石城・周辺観光(白石市) そばの吉野屋(Yahoo!グルメ) |
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