伊吹の息吹 | |||||||||||||||||
2006年レポート(4) 富山滋賀-4 | |||||||||||||||||
いよいよ滋賀県のスキー場だ。今までの最西端の記録は福井のスキージャム勝山だったから、今シーズンは雪の当り年であることを生かして西へ進出したことになる。ただ4日目の今日はちょっと悩んでしまった。今日は天気があまり良くはないらしい。雪の可能性もあるという。ただし明日は天気がちょっと良くなるらしい。当初の計画では今日はびわ湖バレイに行って景色を楽しみ、明日は奥伊吹と伊吹にして、そのまま東京に帰るというものだ。しかしびわ湖バレイは琵琶湖の景色が命であるから、今日の天気では行っても仕方あるまい。そういうわけで予定を入れ替え、今日は奥伊吹と伊吹へいくことにした。 | |||||||||||||||||
奥伊吹スキー場のゲレンデガイド(公式サイトマップを加工) 奥伊吹スキー場公式サイト |
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最新設備の歓迎を受けたわけだが、スキー場は総じて古い。大きなセンターハウスがあるわけではなく、またリフト券売り場の隣にあるレンタルコーナーに長い行列ができているのにはあきれた。せっかく遠くからやって来て時間単位でリフト券とレンタル料を払うわけだから、もっとサクサクやってあげないと。特に関西の人はウィンタースポーツに費やす日数が東日本の人よりも少ないだろうから、レンタルの需要が高いのかもしれない。このあたりはまだまだ改善の余地があるだろう。リフト券そのものも高いので私は回数券(改札式)を買ってからゲレンデに入った。 それにしてもここはなかなか人が多い。昨日のスノーバレー利賀の人の少なさには日本スキー産業の終焉を感じたものなのに、大違いだ。「雪が多い年は関西地区の人がわざわざ白馬まで来ないで、兵庫や滋賀あたりで滑るので、白馬がすいている」というのを聞いたことがあるが、たぶん雪が少なかったらこの中のある程度の人たちは白馬まで行っていたんだろうなあ。 奥伊吹は古いスキー場らしくリフトのかかり方が奇怪だ。石打丸山みたいに無駄も多い。さらに谷あいの地形らしく、コース幅は狭くて変にジグザグしたところが多い。初心者の少ない上の方は特にこんな感じだから、あまり飛ばせるスキー場ではないだろう。ちょっと後日談になるが、私がこの奥伊吹に行った日の19日後となる1月21日、メーンゲレンデで死亡事故が発生した。スノーボーダーが親子に衝突し、小学1年生の男の子が病院に運ばれ、5時間後に死亡した。衝突事故など、無理なスピードを出さずに周囲に注意していれば起きるわけがないことだ。詳しいことは分からないが、楽しいはずのスキーが死亡事故になるのは悲しいことだ。特に子供が多いベース近くではスピードを出すのはやめよう。 天狗岩リフトではリフト脇にその天狗岩という岩があったが、奇岩に名前がついているあたり、山そのものに歴史があるということだ。たぶん「この岩は天狗が運んできた」とかなんとか、昔から広告代理店みたいないいかげんなことを言うのがいて、そんな伝説がまことしやかに伝わっているのだろう。このような名前は記憶に残りやすいから好きだ。 ひととおり滑ってみたが、とにかくリフトとコースが混雑しているうえガス気味の天候がイヤになってしまった。「きっと伊吹山の方は晴れているに違いない」という根拠の無い観測を根拠に、奥伊吹から退散してしまった。奥伊吹から道路を1本で伊吹山スキー場だ。 |
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伊吹山スキー場の地図(公式サイトマップ) 伊吹山スキー場公式サイト |
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ゴンドラ駅はほとんど人がいなくて、がらんとしていた。奥伊吹とは大変な違いだ。ここはゴンドラで山の上の雪質のいいところに登って滑る、というガーラ湯沢やヘブンス園原のようなスキー場なのだが、あまり天気が良くない今日は期待しない方がいいのだろうか。とりあえず上に登ってみた。案の定、上部は濃霧で、あたり一面乳白色で何も見えない。やばい、こりゃあ何も分からんぞ。多少は木が生えているのでリピーターはイメージで滑れるのだろうが、初めて来た者には非常に不安になる。いや、見通しがいい時に一回でも滑っていればだいぶ違うのだが、全体像が見えていなくてリフトの支柱のカタカタいう音をたよりに滑るのだから無気味でもある。ここは本来は琵琶湖が美しいことが持ち味なのだが、今日はガスっていて、同じ伊吹でも奥伊吹よりも客ははるかに少ない。天気が悪いときは行くもんじゃない、と地元の人は知っているのだろう。 それでもしばらくするといくらかガスが晴れたので、最上部へ行ってみることにした。このスキー場は伊吹山の五合目までの斜面にへばりつくように、横に広がるような感じで展開している。そして五合目付近からは琵琶湖が一望できるというのだが、視界は隣の山も見えないくらいなので今回はガマンだ。ところが最上部行きのリフトに乗っていてハッとした。突然風で雲が飛ばされ、伊吹山の山頂が姿を見せたのだ。五合目から見る伊吹山は、おんたけスキー場の最上部から見るおんたけによく似ている。木の無い、真っ白な山頂部はどこか神々しく、眼前に迫ってくるような威圧感がある。なかなかすばらしい。夢中でシャッターを切りまくった。するとスルスルと雲が出始めたかと思うやたちまち真っ白になり、山頂はその後二度と姿を見せなかった。「写真撮らせてあげるよ」とちょっとだけサービスしてくれたという感じだ。 ところで、伊吹山は森林限界の標高の思いっきり下なのに、なぜ樹木がないのか。それはほとんどを水分を吸収しない石灰岩で覆われているためで、代わりに高山植物、特に薬草が多いらしい。さらには、山というものは冬に雪で真っ白になるとやたら神々しく見える視覚効果があるようだ。富士山、月山、立山、白山、浅間山、御岳などすべて真っ白になる山で信仰の対象になっているのだが、この山も標高は低いが真っ白に化けるおかげで神様のいる場所と勘違いしてくれたようで、古事記にもヤマトタケルがこの山に登る途中、伊吹大神が化けた白イノシシに撃退される話がある。伊吹とは神の息吹からきているそうで、強い風が吹き降ろす山としても知られていた。何をやっても神様が付いて回る山なのだ。 さて、とりあえず一通り滑ったが、最後まで琵琶湖は見えなかった。この時期、仕方が無いだろう。伊吹山は「南斜面のためシーズンは短く雪質も良好ではないが、広い湖を眼前に滑る楽しみがある」という意味では猪苗代スキー場とよく似ている。姉妹提携ではなく、義兄弟になっていもいいくらい似たスキー場だ。レストハウスに入ると、再び濃いガスが出始めた。もういいか。比較的ファミリー層が多いが、なぜか外国人も多い。それは観光客ではなく、主にブラジルなど中南米からの外国人労働者で、年々増え続けているらしい。滋賀県や岐阜県には外国人労働者の集住地区もあるそうだ。英語ではないので話はできなかったが、これもまたその地域のスキー場の特色となっていくだろう。古い日本と将来の日本が融合したスキー場、それが伊吹山スキー場だ。 ゴンドラで降りると途中から視界が広がった。やはりガスっているのは山の上だけだ。雲にすっぽり覆われた伊吹山を見上げると明日のびわ湖バレイは大丈夫だろうかと、ちょっと不安になるが、まあ晴れることに期待しよう。 |
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奥伊吹への看板。 山の上に見えているのは伊吹山スキー場 |
おや、駐車場の横になにかあるぞ | ||||||||||||||||
アルカンデだ!。 あるかんでええのか!? |
内部を上りきって、見下ろしたところ | ||||||||||||||||
リフトに乗るのが いやになっちゃう |
ボードのベンチ、最近よく見るようになった | ||||||||||||||||
雪だるまの歓迎だ | 全般的に混雑している | ||||||||||||||||
クワッドはローディング カーペットがあったぞ |
クワッド脇のコースはまだ広い | ||||||||||||||||
ここ、実はコブ斜面だから すいているのだ |
向こう側のリフトは長期で運休していた | ||||||||||||||||
天狗岩コースだ | 天狗岩の横をすり抜ける | ||||||||||||||||
リフトの接続場所が悪くて、 ボーダーはこのとおりだ |
天狗岩コースを真下から | ||||||||||||||||
天狗岩、迫力があるぞ | チャレンジコース下部。 狭くて急な斜面は注意だ |
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手前、中ほど、そして一番高いところに Z字状にリフトが架かっている。 (一番上が天狗岩リフト) |
もう、イヤ | ||||||||||||||||
コブのチャンピオンコースを上から | もう、どこにでも見るよううになった | ||||||||||||||||
伊吹山スキー場は元コクド系だが、 ゴンドラは東急系だ |
ううむ・・・ | ||||||||||||||||
いきなりパッと雲が切れたりした | おおい、元気か | ||||||||||||||||
リフトの上でいきなり伊吹山が見え出した | 青空が広がり、呆然とした | ||||||||||||||||
視界は何人目まで見える? | シングルリフトもあるぞ | ||||||||||||||||
百名山に入っています! |
中山再次郎の像。学校の先生だが民間人として初めて 上越に来ていたレルヒにスキーを学び、この地で 広め、伊吹山スキー場開業に功労があったらしい。 |
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レストランではなんとシェフによる鉄板焼きもあるぞ。でも広島風お好み焼きは関西風に、飛騨牛鉄板焼は近江牛にしてほしかったなあ。 |