安比に負けるな | |||||||||||||||||||||||||||||||||
2005年レポート(3) 盛岡遠征-3 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
この八幡平エリアは盛岡ICよりちょっと北にある松尾八幡平ICからアクセスするのだが、ここには「八幡平」「下倉」「八幡平リゾート」の3つの中規模スキー場が集まっている。もともとこのエリアは岩手県としては雪が多く歴史もあり、3兄弟が仲良く暮らすスキーエリアであった。そこへ1980年代、リクルートがゴンドラ2基とリゾートホテルを備えた「安比」というでかいスキー場を開発して乗り込んできた。そして盛岡どころか東京、そして日本全国から集客できるビッグネームへ成長し、3兄弟を震撼させた。坂上田村麻呂の征伐を受けてたつ東北の夷(えびす)の心境であっただろうが、結局安比スキー場は札幌の加森観光に売却され、リクルートは撤退することとなった。 八幡平の3つのスキー場は安比のような派手さは無いものの、ちんまりと営業を続けているというし、八幡平は自然派のスキー場だと聞いているので、一度は行かなきゃ、と思っていたところだ。 朝、早起きして盛岡ICへ。7時56分に盛岡を出発し、松尾八幡平ICへ。すぐに安比との分岐をもうひとつの八幡平方面へとる。東京から来て安比へ行かずに八幡平へ行く人間も珍しいだろう。ほどなく到着、といいたいところだがそこから凍結した長い山道をくねくね登り、スキー場に到着したのは9時30分になってしまった。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
八幡平のゲレンデマップ (スキー場で配布されているゲレンデマップを加工) |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
(A)パノラマコース (B)ラビットコース (C)エビスコース (E)チャンピオンコース (F)イナズマコース (G)初心者迂回コース あの大きなガケはGコースの外側になる。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
赤い鳥居をくぐり、いよいよゲレンデへ。一番下のコースは降りたての雪が積もっている割にはブッシュが出ていて、ちょっと残念だ。積雪わずかなところにいきなり大雪が降って、圧雪も何もできなかったのだろう。一番下のリフトは古いリフトだが、リフトは安全に動きさえすればいい。ここは2基のリフトが並行していたようだが、1基はスクラップ状態だ。遠くには使われている形跡の無いジャンプ台も見える。きっと冬季の競技はみなここが引き受けていたのだろう。 しばらくすると左側に大きなガケが見えてきた。いくつかシュプールの跡があり、滑ることができそうだが、あの斜度でどうして雪が付いていられるのだろう。斜度は40度はありそうだ。あとで行ってみるかい。 リフトを降り、2番目のリフトに乗るのに少し漕いで登らねばならない。するとスクールの校舎の脇に奇妙な氷のオブジェを発見した。大きなかまくらのような氷の塊で、よく見るとてっぺんにチューブが立てられていて、その先からは真上に向かって水が噴射されていた。その水が凍りつき、さらに大きくなっているようだ。なんであんなもの作るんだろう。近くにいたスクールの女性イントラに尋ねたら、「うううん・・。あれを見て、今年は大きくなったねえ、とか言っているんですよ」というわけの分からない答えが返ってきた。 とりあえず天気がいいうちに最高地点にいきたいので第2、第3リフトを乗り継ぐ。それにしてもここのスキー場は乗り継ぐたびに次のリフトまで数メートルではあるが、登りがあるのだ。ボーダーには特に迷惑だろう。普通はリフトを降りたら、少し下る場所に次のリフトがあるものだが。 最上部の第3リフトに乗ると、さすがに景色が一変してきた。広々としてゲレンデが広がっている。また、ここはリフト下が整備されていて、コースになっており、ボーダーやスキーヤーが滑っている。ちゃんとした幅でリフト下をコース整備しているのはアメリカに多かったが、日本では珍しい。確か、本当は禁止じゃなかったっけ。そうしたらリフトを降りる場所に「リフト下は滑走禁止だ」と書いてある。変な話だ。 最上部は網張と同じで、どの木にも雪がソフトクリームのようについていて、実によろしい。どれもおいしそうだ。ここからパノラマコースというコースに出ると、八幡平の看板があり、そこにはどこを真似したか知らんが、鐘がぶら下がっていた。こういうところに修学旅行のスキー集団とかが来ると、みんな一度は鳴らさないと気が済まなくてキンコンうるさいものだが、地元のボーダーやらは気にもかけず、行儀がよろしい。ここでは青空が広がっていたが、下界はほとんどかすんでいた。晴れていたら、相当遠くまで見えていただろう。 さて、このパノラマコースは圧雪されていないのだが、パウダー堪能というほどではない。大勢が滑るから、耕された畑のようになっているのだ。あまりスピードを出すと足をとられそうなので、注意だ。 次はエビスコースへ。ここからは岩手山がきれいに見える。なかなか絵になる山だ。そしていよいよあのすごいガケへ行く。ここは非常にワイルドで、コース整備はされていなさそうで、夕暮れに一人で来るのは怖いところだ。ガケの上に来てみてびっくり、すごい急斜面だ。ただ、雪はフカフカのようだ。ブッシュがちらほら見えているが、これが雪を支えているようだ。もし岩壁だったら、とっくに雪崩れて滑れないだろう。とりあえず降りられそうだが、なにかのハズミで雪崩になるんじゃないだろうか。ちょっと不安だが、周囲にはボーダーの集団もいて、ひとりずつ滑っていたので、降りることにした。ほとんど横すべりだ。うっかり前重心で滑り降りて、途中で板が外れたら、春まで出てこないだろう。ウィスラーでは仲間の板探しで時間を食ったこともあるので、ここは安全策で降りた。しかし、ボーダーたちの後に付いていったら、コースを外したようだ。初心者迂回コースのもっと外に出てしまい、結局、道路からあの赤い鳥居のところまで戻ることになった。ただ、八幡平の魅力はパウダーにある。そういう意味では、あの断崖コースは面白かった。普通ならコブだらけになる斜面を自分で小さな雪崩を起こしながら滑り降りることはめったにないことだ。しばらくウダウダしてから、下倉へ行くことにした。 ところで、この断崖はスキー場の管轄外でコース名は無い、ただのガケだそうだ。もったいない!。で、こういう名前はそれを紹介した人が付けていいことになっている(立山山岳の山崎カールはその氷河地形を世界に紹介した山崎教授の名が付けられた)。ということで、私はこのガケにコース名を付けることにした。こんな面白いコースは日本にはまずないから、マズナイコースはどうだろう。イナズマコースの隣で、名前がちょうど逆で、覚えやすいではないか!。ということで、このコースは200 SNOW REPORTS的にはマズナイコースと命名されたのであった。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
下倉スキー場のゲレンデマップ ゲレンデマップはSURF&SNOW 公式サイト 左がリゾートスキー場、右が下倉。実際には両者は車で10分の距離にある |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
そして車を10分ほど転がしたところに「八幡平リゾート」というスキー場がある。下倉と経営母体は同じだが、こちらはクワッド付きだ。コースレイアウトも直線的で、ちょっと上級向けかと思いきや、斜度は強くはなく、ファミリーでもOKだ。 ゲレンデに出てすぐに感じた印象は、おんたけに似ているということだ。おんたけも岩手山のように頂上部が横長になっており(いわゆる台形)、その山麓から見上げると山全体が威圧的に見下ろしているようなのだが、ちょうど同じ感じだった。実際に滑ってみると、八幡平と下倉の後だっただけに、クワッドの機動力を感じることができる。コースはなだらかだが、直線的なレイアウトなのでパラレルにちょうどいいだろう。ただし、コース事態はホコホコしているのが残念だ。安比は「ゲレンデ品質宣言」と称して圧雪を丁寧にやることを標榜しているではないか。また、近くの八幡平や下倉と差別化するためにも、ここは丁寧に圧雪をして(場合によってはサホロのように一部コースを昼に閉鎖して圧雪作業をし、1日2回の圧雪をウリモノにするとか)、安比に対抗する3兄弟体制を作ってもらいたいものだ。バラバラに対抗しても、このままではどれか1つのスキー場がコケるかもしれない。 このスキー場のベースはキッズ対応がしっかりしていて、まるでサンリオかどこかが経営しているかと思うほどだ。かなりの家族連れが来ていた。また、センターハウス内では南部せんべいの実演販売がやっていて、いかにも岩手県らしくていい。 人口を考えると、盛岡はスキー場が多い気がする。安比や雫石ばかりでなく、それ以外の個性的なスキー場をめぐるツアーなんかを企画して対抗してみるのもいいだろう。 さて、今日は日本海側は荒れたらしいが、明日はどうかな?。明日の午前中は営業復活した岩手高原と、午後に田沢湖高原アッスルだ!。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
八幡平入り口脇の売店。 いいね、こういうの。 |
赤い鳥居の中で。お参りしていこう | ||||||||||||||||||||||||||||||||
間引きされた廃墟リフト | こっちは稼動。しかし、 乗車するのに登らんといかん |
||||||||||||||||||||||||||||||||
朽ち果てておる。 左上にジャンプ台が見える |
リフト脇のコースはブッシュの上の パウダーだ |
||||||||||||||||||||||||||||||||
とりあえず、こんなもんだ | あのガケをすべるんだ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
第1リフト降り口 | パウダーツアーでも有名だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
2番目のリフト | なかなかワイルドだ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
おや、リフトの下が 整備されているぞ |
気持ちよさそうに滑って いるではないか |
||||||||||||||||||||||||||||||||
「リフト下滑走禁止」 どうしてぇ? |
山頂部は青空だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
いいねえ | さて、行こうかい | ||||||||||||||||||||||||||||||||
パノラマコースはガスっていた | こういうの、いいねえ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
忽然と山頂が現れた感じだ | 岩手山に向かって! | ||||||||||||||||||||||||||||||||
あそこを降りてきたんだ | こんなところをかきわけて | ||||||||||||||||||||||||||||||||
私が滑った跡が見える | これが謎のオブジェ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
リゾートのレイアウトが見える | 【ここから下倉】 さてさて・・・ |
||||||||||||||||||||||||||||||||
なだらかなコースだ。こういうとき、 のろいリフトだといやになる |
これが問題の一本木だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
岩手山が見えてきたぞ | コース幅は狭い | ||||||||||||||||||||||||||||||||
景色はいまいちだ | 木を下から見上げる | ||||||||||||||||||||||||||||||||
圧雪を丁寧にすればいいコースだ | 【ここから八幡平リゾート】 ちょっと暗くなったかな |
||||||||||||||||||||||||||||||||
ゲート近くには焼き芋やが | なだらかなコースだ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
こういうの、本当によく 見かけるようになった |
南部せんべいは小麦粉とピーナツで作る | ||||||||||||||||||||||||||||||||
おじさんもはちまきしめて気合だ! | アツアツだ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
この周辺では、安比高原温泉が有名だが、私は安比に行ったときに入ったことがあるので、松川温泉にした。八幡平リゾートからさらに山奥に入ったところにある。乳白色の露天風呂で有名なので、行ってみるといい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
八幡平リゾートスキー場(公式サイト) 松川温泉 松川荘 南部せんべい |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
HOME > 国内スキーレポート > 2005-3 (盛岡-3:八幡平、下倉、八幡平リゾート) |