ワイルドコース | |||||||||||||||||||||||||||||||||
2005年レポート(11) 旭川-2 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
大雪山には2つの有名なスキー場がある。北側にある「黒岳ロープウェイ」と、南側にある「旭岳ロープウェイ」だ。今日はその1つ、「黒岳ロープウェイ」へ向かう。ここにはロープウェイ沿いに非常にワイルドなコースがあるというから楽しみだ。 しかし黒岳だけでは時間が余るので、旭川市から黒岳への途上にあるぴっぷ(比布)というスキー場に寄ることにした。実をいうと当初計画を立てた時はどちらを先にするか迷ったものだ。天気が良ければ風景を優先して黒岳といきたいところだが、この時期ちょうど黒岳ロープウェイ駅の目の前で「氷爆祭り」が開催中だという。これは氷でいろいろな造形物を作ってライトアップし、なかなかのものだという。これは見ないわけにはいくまい。そのため、メインのスキー場を午前に持ってくるという従来のパターンを捨てて、午前にぴっぷ、午後に黒岳という計画となった。 朝早く旭川市を出発。北海道の道路は視界が非常に開けていて、しかもまっすぐなので、飛ばしすぎに注意だ。30分ほどで比布町に入った。ここではスキー場に行く前に比布神社に立ち寄ってみる。この比布神社は昔、ピップエレキバンのテレビCMでロケにも使われた場所だ(樹木希林がピップフジモトの藤本会長からここを「肩こりに効く神社」とウソを教えられていたという内容)。実際には夫婦円満、家内安全などの神社だ。ちなみに「ピップエレキバン」の“ピップ”は、大阪に本社を置くピップフジモトの創設者・藤本真次の出身であるこの比布町(ぴっぷちょう)からきている。 神社から10分くらいでスキー場だ。 |
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ぴっぷスキー場の地図(配布地図を加工) |
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レイアウトはゲレンデマップを見ても分かるように主力となる2列のリフトを使えばゲレンデのすべてを滑ることができる。斜度はけっこうスキー向きだ。あえて言えばド初心者用の超緩斜面はほとんどなく、上級者向けのコブが見当たらない。その代わりに圧雪がいいので急斜面も滑りやすく、レーサーにも向いているだろう。ただし誰もが簡単にどこにでも滑り込める大衆浴場のようなスキー場だから、レーサーが飛ばそうというときはしっかりポールセッティングをして、それらしい雰囲気を出しておかないといけないだろう。 まずはダイナミックコース脇の一番長いリフトに乗り、頂上へ。ここのリフトの支柱にはぴっぷの名産品のトマトだの米だのが支柱1本に1つずつ描かれており、愛嬌があってよろしい。こうして郷土愛というものが育まれていくのだ。 山頂には展望ハウスがある。標高は580mしかないのだが、上川(かみかわ)盆地が眼下に広がり、もっと高いように感じられた。 さて、滑ってみようか。ファミリー、ダイナミックと滑ってみたが、実にいい。昨日の深川と比べると、滑り出してすぐに道路沿いの建造物とかが見えて自然の中を滑っているという感じはしないのだが、雪質が良くて圧雪も丁寧、幅広コースなのでカービングを楽しむことができる。本当に今日は3/20か。柔らかい雪を圧雪したばかりなので板の食いつきがいいというか、斜面の方が板に食いついてくれるようだ。甘いエッヂングでも切れ上がるようだ。実にすばらしい。もしこれが高速リフトだったら、めちゃくちゃにバッヂテストの特訓に向いていると思う。(こんないい雪で練習したら、本州では受からないかもしれないけど)。 とりあえず一通り見るために、ほくれいロッジ方面へトラバース。ここでは初心者の子供教室が開催されていて、ロープトウを使ったコースで練習していた。しかしここはロープトウのコースとは思えないほどの強い斜度だ。でもみんな、きっとすぐにうまくなるだろう。ゲレンデマップでシルバーよりも左側はスクール用というすみわけができているのだろうか。やたら講習会があったと思う。みんなのウェアには必ずフードがあるのは土地柄というものだろう。 あまりにもいい雪なので昼食もとらずに滑りまくり、名残を惜しみつつ、昼過ぎにスキー場を後にした。それにしても来週の3/27に営業終了だなんて、全く信じられない・・・。 時間を節約するために車中でコンビニのサンドイッチで昼食だ。天気がいいうちに、黒岳にいかなきゃ。ぴっぷから層雲峡に向かっての途中までは作りかけの旭川・紋別自動車道という高速道路があって、今はなんと開通した部分を無料開放している。もともと国道があるのだが、「ドライバーの約8割が北見峠越えに心理的負担を感じているので、急勾配と急カーブを解消するため」とかで、道内2位の4km以上のトンネルを含む24もの橋やトンネルが建設されているという。結構なことだが、頼むから税金とかを使わんでくれ。ぴっぷのICが離れていたので国道をずっと走ったのだが、すいている。往復2車線の国道で十分なくらいだ。 ところが国道に入っていきなり、前に小さな軽自動車が走っていた。これがまた制限速度以下で走っているのだが微妙なスピードで、追い越そうにも曲がりくねった山道では対向車もいきなりだからあぶなくて抜くに抜けない。すぐ後ろをずっと走っている私に譲る気配もない。だいたいこういうのはボケはじめのジイさまが甘いサイドブレーキを引いたままバックミラーも見ないで前だけ見て走っていたりするのだから、たまったものではないのだ。ずっとイライラしていると、確かに心理的負担とやらを感じながら、やっぱり高速道路は必要なのだろうか、なんて気になるから人間は身勝手なものだ。でも木曽福島の国道のように、追い越し用の車線を何箇所か作るだけで済むような気がするのだが。 大雪山が見え出すころには道路もがらがらだ。ほどなく層雲峡に到着した。ロープウェイ駅の駐車場に着いたら、いきなり「○分発のロープウェイの改札をします」という放送が聞こえてきた。いけない、乗らなきゃ。板を担ぎ、急いでロープウェイ駅2階へ駆け上がり、飛び乗った。下りは滑り降りるから、チケットは上りの片道だけだ。 |
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大雪山黒岳ロープウェイの地図(公式サイト地図を加工) |
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ロープウェイから山頂方面を見ると、おお、黒岳の上部が見える。まるでバンフのサンシャインビレッジにある、ゴーツアイという山にそっくりではないか。思わず写真を撮った。ロープウェイの車内からではそうきれいに撮影できるものではない。しかし、いつまた見えるとも限らないので、デジカメということもあり、一応撮影した(これは正解だった)。 とりあえず五合目の駅へ。ここはストーブがバリバリに焚かれていてよろしい。お土産や大雪山黒岳の写真パネルや絵画などがあった。ここからリフトまでは1分くらいの歩きだ。途中にわけのわからない写真館とかがあったが、見るほどのものではなかった。 リフトはペアリフトが1基だけ。これは黒岳に向かって伸びるリフトなのだが、ガスが出始めて、もう肝心の黒岳はほとんど見えない。ときたまうっすらと見えるのだが、写真には写らないような微妙な輪郭だけがおぼろげだ。 さて、最高地点に着いたはいいが、スキーヤーには私のようなゲレンデスキーヤーよりも本格的な山スキー装備の人の方がが多い。おそらく地図には無いいろいろなルートがあるのだろうが、ガイドとなる経験者がいない場合は絶対に真似してはいけない。 リフトの下だけはしっかり圧雪しているので、これに並行する林間コースを滑った。フカフカのいいコースだ。手袋の無い手には厳しいが、ドラゴンバレーの方が寒かった気がする。まあなんとかなるものだ。そして2本目。ここでフカフカの中で何かにひっかかって転倒してしまった。転倒はいいのだが、手を突いて、えらいことになる。手がぬれてしまい、急激に熱が奪われ、いきなり指が動かなくなったのだ。こ、これはやばい!。思わず手をウェアの中に入れ、そのまま1分くらい立ちすくんでしまった。指が動くことを確認し、びびってそのままリフト下の圧雪コースへ出て滑り降りた。やはり手袋は大切にしよう。 いったん五合目のロープウェイ駅で休憩する。私が登ってきたロープウェイを最後に、強風のためしばらく停止しているという。ちょっと慌てたけど、無理して乗車したのは間違いではなかった。時間には余裕があったが、手袋がないので、もう下山することにする。 さて、お楽しみの下山コースだが、ここは非常にワイルドなコースだ。誰かのシュプールが無いと、初めての人間はキケンだ。やめた方がいい。迷いやすさでは八甲田よりも上ではないだろうか。ロープウェイで登るコースを下山するものとしては他に天元台が有名だが、いつも閉鎖されていて、いつだったか無理に滑ろうとしたスキーヤーが行方不明になり、捜索されたのをテレビで見たことがある。北志賀竜王や湯沢高原のようにしっかりコースになっていればいいが、こういう所ではとんでもないところを滑ったりもするのだ。 ボーダーを含む5人くらいの集団が降りた3分後くらい、まだ私の後ろに下山スキーヤーがいることを確認して滑り始めた。 しかしすごいコースだ。コースの目印となる矢印が小さすぎる。時々ヤブの中を滑ったりするので、もしもシュプールが無かったら引き返していただろう。途中でコースが崩れて踏み外してしまい、板が変な刺さり方をして、しばらくもがいてしまったりと散々であったが、尾根に出てパッと視界が開けるとホッとして景色に見入ってしまうこともあった。そしてだんだんコース幅がひろくなって樹木も変わってきたなと思ったらそこがロープウェイ駅の裏手だった。写真を撮りながらだったので軽く30分以上はかかっただろうか。このようなコースは北米にはよくあるが、日本ではあのタコチコースに命を脅かすような凶暴性が加わったというか、八甲田によく似た感じだ。ちょっとしたドキドキコースであったが、日本離れしていておもしろかった。東京から行くだけの価値はあるだろう。 公営の無料駐車場に車をとめて、黒岳温泉へ。ここの温泉は露天風呂もあり、景色はもうひと声だが、手袋なしで滑っていた時は温泉で温まることばかり考えていたので、いい感じだ。カレーを食べて、車でさらに上り、銀河の滝・流星の滝を見た。あたりは台湾から観光に来た団体ばかりだ。そして日が暮れて、いよいよ氷爆祭りを見に行く。これは文章で表現するものではない。写真の通りだが、なかなか大規模ですばらしい。一度見てみるといいだろうが、開催期間に注意だ。 帰りは国道と無料と有料の高速道路で旭川市のホテルに戻った。黒岳をもっとはっきり見たかったが、それでも滑れただけでもラッキーといわねばなるまい。 さて、明日はいよいよ大雪山旭岳だ。天気はだいじょうぶそうだけど、風でロープウェイが止まったりしないかなあ。それだけ心配して寝ることにした。 |
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比布神社だ | 実に気持ちいいコースだ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
ストロベリーコースは爽快だ | 本当にゼイタクだと思わないか? | ||||||||||||||||||||||||||||||||
タゴサクだ! | 配膳用のカウンターの上には 神様だ! |
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青空が広がってきたぞ | とにかくすいている | ||||||||||||||||||||||||||||||||
みんなフード付きだ | ここがロープトウのコース | ||||||||||||||||||||||||||||||||
おっと、転んじゃった | 小さいうちからパウダースキーだ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
上半分は斜度も強めだ | 赤と青の支柱のリフトがメインラインだ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
あそこまで一直線! | 【ここから黒岳ロープウェイ】 あわてて乗りました |
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はるか向こうに温泉街が見える | 黒岳の絵が飾ってあった | ||||||||||||||||||||||||||||||||
カムイミンタラはアイヌ語で「神々の遊ぶ庭」を 意味し、大雪山のことを指している |
百葉箱、クビが疲れそうだ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
あやしい写真館 | 黒岳の無人写真館だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
ナキウサギやキタキツネの写真などがある | リフト下は完璧な圧雪だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
山スキーヤーがとにかく多い | こうしてみるとなかなかのものだ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
深いパウダーで、転倒するとなかなか起きられない | 面倒なときは、ここを一直線という手がある | ||||||||||||||||||||||||||||||||
2m以上あるらしい | はるか遠くに見えるのが温泉街で、 あそこまで滑るのだ |
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こんなところを滑るんだって | だいじょうぶかなあ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
トラバースも間違えやすい | こんなのは分かりやすい方だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
尾根のコース。先にボーダーが転倒している のが見える |
本当、シュプールが命綱だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
ロープウェイ駅の裏手へ。 前方にはとてもガンコそうな山がある |
北欧風のロープウェイ駅だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
じゃがバタカレーは北海道らしくてよろしい | 銀河の滝にて。観光客は台湾からの団体 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
流星の滝は銀河から歩いて1分。 氷の下で水が流れていた |
氷爆祭りの会場だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
入り口からしてすごい | とにかくでかい | ||||||||||||||||||||||||||||||||
観光客も多かったぞ | 幻想的だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
つららの部屋は人気だ | つららの部屋でフラッシュをたくと | ||||||||||||||||||||||||||||||||
川が流れておる | 人が写っていないと大きさが分からないだろう | ||||||||||||||||||||||||||||||||
神社におまいり | ご神体に硬貨をペタペタ貼るのが作法だ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
トイレも氷だ!ただし外壁だけで、中は 簡易トイレだ |
たいこもやっていたぞ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
大雪山は「だいせつざん」が正式名で、「たいせつざん」は方言にもない、俗語らしいが、そう発音する人が札幌あたりでも多いらしい。たぶん北海道には大雪山を愛し、たいせつにしている人が多いので、「たいせつざん」と発音する人が多いのであろう。^^ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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