おしるこ茶屋! | |||||||||||||||||||||
2004年レポート(6) 上越国際 | |||||||||||||||||||||
私は本来、同じ場所には繰り返し行かない性分だ。どうしてかというとスキーを始めてバリバリ行っていたころは広告代理店でマーケティングのプランナーをしていたので、いろいろな施設やサービスの状況を見て写真とかいっぱい撮るのが好きだった。だから同じ所に繰り返し行く余裕はなかった。 しかし国内だけで200以上のスキー場に行った今となっては、スキー場ガイドブックの全国版に載っていて東京の人間が行きそうなところはおおむね行きつくしてしまったのだ。で、どうすんだということだが、私が考えているのは「行ったけれども見るべきものや体験すべきことを経験していなかった」ところにリベンジに行くことだった。たとえば吹雪によって有名な景色が見えなかった、雪不足その他の理由で名物コースを滑っていなかった、などだ。 今回の上越国際はその典型でもある。私が行ったときは1月の晴天だったにもかかわらず、強風のためにリフトが止まり、大別当と大沢までしか滑っていなかった。つまり当間(あてま)ゲレンデやおしるこ茶屋はまったく知らないのだ。 ここはなかなか人気のスキー場で、社内でも行ったことがある人が多い。「上越国際、行きましたよ〜。しみずさんもトーゼン行ったことありますよね?。おしるこ茶屋でおしるこ食べました?」「え?。うう・・・ん、行ったかなあ。忘れた・・・。」いやしくも、この200 SNOW REPORTSの管理人たるものが上越国際には行ったがおしるこ茶屋に行ったことがありませんとは、浜松に行ってウナギを食べなかったどころではない、ゆゆしきことではないか。かくして上越国際へのリベンジは決まったのであった。 行ったのは日曜日だ。無料駐車場(インターネットで事前に割引券をプリントアウトしておけば、リフト券を買う前であってもこれを見せるだけで無料になる)は早く行かないと満車になると思ったが、リフトが動く30分前に行ったら大沢駐車場はガラガラで10台もなかった。あまりの寂しさに逃げ出して、とりあえず正面口に相当するベースへ向かう。こちらの駐車車はちょっと込んでいたが、それでも歩いてすぐにチケット売り場だ。本当に客が少なくなったものだと実感した。 さて、困ったことにベースでは小雨が降っていた。うわ、やんでくれるかなあ。半日券にするか迷ったが、この広いエリアを時間を気にせずに滑りたいので1日券にした。 リーゼン第ロマンスリフトでゲレンデへ。初めてこのスキー場に来たという人は、ぜひこのリフトを使ってゲレンデに入ってほしい。というのは、途中からこのスキー場のカオともいうべきホテルグリーンプラザが出迎えてくれるからだ。北欧風の大きなホテルがゆっくりと近づいてくる時の感覚はワクワクするものがある。大沢駐車場はリピーター御用達にしよう。 |
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上越国際ゲレンデマップ |
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美奈ゲレンデを1本だけ滑り、大別当へ向かう。美奈は本来はファミリー向けとされていて、広々としている代わりに建て増しを繰り返したリフトの支柱やらナイター設備の鉄塔やらで雑然としており、むしろ飛ばすならば大沢がいいらしい。大別当トリプルリフトで大沢ゲレンデの最上部へ来た。ここでは雪が本降りになっていた。おお、あわよくばパウダースキーが楽しめるか?。そう思って足元の5センチくらいの雪をすくってみた。見るからに水分をたっぷり含んでいる。両手でぎゅっと1回固めたら、水がしたたるようで、雪ダンゴはシャーベットの塊だ。グローブの指の跡がくっきり分かるほどで、これで雪合戦をしたら死人が出ると思われるほど硬くなった。2週前に行ったソルトレイクシティは最近10日間も降雪が無いのにサラサラで、ここでは目の前で現役で降っている雪がこんな感じだ。砂漠で水分を抜かれ、標高が2500〜3000mもある北米一の雪と比較してはいけないが、やはり同じ雪でもいろいろだと感じずにはいられなかった。 さて、この大沢のコースだが、残念なことにナスターレースをやっていたみたいで、旗門のレースコースがコースの半分ほどを占めていた。仕方ない、かっ飛ばすのはやめておしるこ茶屋へ行くか。再び美奈ゲレンデからパノラマクワッドリフトに乗った。ここは私が最初に来た時はTバーリフトになっていて、強風で止まってしまったのだ。Tバーは風に弱いはずはないのだが、おしるこ茶屋に行った人の戻りのリフトが止まる可能性があるので、止めてしまったようだった。リフトの係員に聞いたら、5〜6年前くらいまではあったらしい。Tバーリフト、国内では本当に見なくなったものだ。 さて、パノラマゲレンデを滑っていよいよ念願のおしるこ茶屋に到着だ。だが、ちょっとがっかり。地図では奥まったところにあるし、「おしるこ茶屋」という名称から連想するに、ひなびた、ひと気の無い、浦佐の「おふくろ」のようなかやぶきか何かのような建物を想像していたのだが、実際には立派な建物だった。さっそく中に入っておしるこを注文する(500円)。出てきたのは、まあ普通のおしるこだろうか。感動したりする内容ではなかったが、とにかく長年の夢であったおしるこ茶屋に来たことに感動してしまった。ヤレヤレ。 さて、ここからもうひとつの楽しみにしていた、ロマンスリフトへ行く。何が楽しみかというと、ここはリフトがほぼ平行に動く移動用リフトのため、向こうから来る人とすれ違うというリフトなのだ。どれどれ。見ると沢を渡るようにして架けられており、純粋に移動用のリフトということか。むこうからすれ違う人と視線が合ったりするのも一興というものだ。 ここからレストラン「ホルン」へ滑り降りる。こちらは美奈ゲレンデよりも北斜面になっており、「知っている」人はこの当間側で滑るようだ。展望レストランで休憩していると空も少しガスが晴れて、遠くの渓谷が見渡せるようになった。こちらはグリーンピア津南などがある渓谷で、西にずっと進むと野沢温泉がある。しかし湯沢高原や石打丸山から連なる山のおかげでこちら側は東京からえらい遠いエリアになってしまっているのだ。もしも石打丸山の北にトンネルをぶち抜いてこの渓谷につなげれば野沢温泉は日帰りエリアになる可能性もあるわけだが、それは無駄遣いというものだろう。 当間は急斜面がなく、初心者の練習によさそうだが、重い雪の場合はもうちょっと斜度があってもいいだろう。また戻るには3本のリフトをちんたら乗らないといけないのがつらい。ここは1回だけにして戻ることにした。大沢経由で美奈ゲレンデへ。ここでサンモリッツというレストランに入る。ここには名物の「大別当ラーメン・激辛」がある。値段は1200円もするが、昼食付きの1日券を買っておけば追加料金無しだ。もう、これしかない。さっそく食べてみたが、辛けりゃいいってもんじゃないでしょ。まるでタバスコのスープのようだ。まともに食ったら死ぬ。とりあえず具と麺だけを食べてあとは逃げた。単に辛いものが好きならば、トウガラシを大量にすりつぶして、煮詰めて飲めばいいのだ。このラーメンを注文したとき、係員が「この人は分かってんだろうか」という顔をしていたのが分かったわい。 このあと、大別当のとなりでスノーボードのワンメイク大会がやっていた。そんなに大技が出るわけではないが、肉眼で見ると面白いものだ。しばらく見たあと、あがることにした。最後のリフトに乗ったのは2時ごろだから、やはり1日券で余裕をもって正解だ。いくら1級でもラリーではないのだから、1日で回るのはえらいことだ。 帰りには山の湯に寄った。ガーラ湯沢の駐車場の近くにある。川端康成の「雪国」でも登場する温泉だ。 なにはともあれ、やはり1回目に行った時には多くのものを見ないでいたようだし、また当時とは変わってしまったものも多かった(ネットでかなり情報を集められたこと、Tバー消滅、ボードの普及でハーフパイプ出現、etc.)。ともあれおしるこ茶屋に行ったことに妙に満足した1日であった。 |
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リフト券売り場も北欧風 | 最初のリフトでは、 ホテルが迫ってくるように見える |
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あんまり人がいない。 今のうちだ |
廃止になったリフトの小屋。 どこかわびしい |
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こちらは使われている小屋 | 振り返るとホテルと 魚沼盆地が一望できる |
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小屋はすべて 北欧風に統一 |
いい感じだ | ||||||||||||||||||||
大沢のコースでは 半分がレースコースだ |
おしるこ茶屋は位置関係を 把握するのにもいい |
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あっちだ! | おしるこ500円は まあまあか |
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天井が高く、いい感じだ | おしるこを頼む人が 多いわけではない |
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茶屋とは思えない内装だ | みおしるこ茶屋の前はリフト乗り場だ | ||||||||||||||||||||
出た!ライバルは「おにぎり茶屋」だ!! | 魚沼コシヒカリ100%(あやしい) おにぎりトン汁セットで500円だ |
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このかまくらで食べられるのは、 おにぎり茶屋の客だけ!(差別化戦略だ) |
中はこんな感じだ | ||||||||||||||||||||
あの平行リフトで当間へ | 元気いっぱいの 雪だるまが歓迎だ |
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かったるい移動リフトだ | おっと、前が見えない | ||||||||||||||||||||
こっちはしょぼくれた 雪ダルマが歓迎だ |
すれ違うリフトだ | ||||||||||||||||||||
おや、かまくらがあるぞ。 中には何が・・・ |
かまくらの中にあった ご神体だ。思わず拝んでしまった |
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なんかガスっている | 展望レストランはいい感じだ | ||||||||||||||||||||
当間側はすいていた | なかなかいいぞ | ||||||||||||||||||||
当間も北欧だ | パトロール小屋もだ | ||||||||||||||||||||
遠く展望レストランを望む | 斜度もいい | ||||||||||||||||||||
レストランだ | クワッド小屋だ | ||||||||||||||||||||
魚沼側も見えてきた | かっこいいスノーモービルだ | ||||||||||||||||||||
大別当。 リフトは半分動いていないのが悲しい |
パウダーとは言いがたいが | ||||||||||||||||||||
大別当の急斜面の上から | ハーフパイプがあったぞ | ||||||||||||||||||||
大沢ゲレンデでのレース | 魚沼がすっかり見えてきた | ||||||||||||||||||||
八海山も見えたぞ | ここがラーメンを食べたレストランだ | ||||||||||||||||||||
大別当を下から | こちらではボードの ワンメイク大会 |
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リフトケーブルに 乗っているようだ |
結構高い | ||||||||||||||||||||
それ! | グリーンプラザと八海山、 なかなか絵になる |
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スノースクートだ。私もやりたくなった | この鐘の音に引き寄せられて 妖精が舞い降りてくるらしい |
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朝とは大違いだ | よく晴れてきた | ||||||||||||||||||||
グリーンプラザだ | 大きなキッズパークだ (入場料1日券500円) |
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ヤナバやNASPAでも 見たカルーセルだ |
今ではこのベルトは どこにでもある |
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威圧的に見おろして いるようだ |
チューブで滑るぞ | ||||||||||||||||||||
このおねえさんに引っ掛けてもらう | それ行け! | ||||||||||||||||||||
こんな感じで登るのだ | 帰りは、コースの雪が悪そうだったら 乗って帰るのもいい |
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腐った雪だ | これが山の湯。 入ってみよう |
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ところで、「上越の雪」というだけで「湿った重い雪」を意味し、北海道や志賀白馬の雪質をほめる時になにかと比較対照に引っ張り出されるあわれな雪だが、その上越とはどこを意味しているかご存知だろうか。 もともと昔の地名は京都を中心として、京都に近い方から順に「越前・越中・越後」と呼ばれてきた(備前備中備後、肥前肥後なども)。越前(福井)越中(富山)越後(新潟)の中でも、越後はさらに京都に近い方から上越後、中越後、下越後と、地図上の位置関係を無視して上中下を付けてしまった。おそらく京都を基点として地図を作っていたせいかと推測されるが、これが基本的な火ダネだ。地理学的には上越とは新潟県を3分割したときの富山寄りを意味し、実際、「上越市」は妙高のちょっと北にある。ところが鉄道で高崎と新潟を結ぶ路線(関越自動車道沿いの鉄道)は群馬県の旧名「上州」と「越後」を結ぶことからこともあろうに「上越線」と名づけてしまい、これが問題を複雑で深刻なものにしてしまった。それでもってこの上越国際スキー場も「魚沼国際スキー場」とかにしときゃよかったものを、語感で選んだか知らないが、上越線があることを根拠としてか、この上越国際という名をつけてしまったのだ。しかし地理的にはここは中越地方であることに注意だ。 東京の人間にはそんな複雑な事情など知るよしもない。電話の天気予報なんかで、「明日の上越地方は晴天、中越地方は横殴りの大雨でしょう」なんて聞いて、「よし、明日の上越国際スキー場はオッケーだぜ」とか言って仲間や家族を連れて行こうものなら、関越トンネルを出たところで半殺しにされるだろう。このサイトの読者にはそんなことがないようにしていただきたい。 新潟県の地方分けのマップ |
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上越国際公式サイト(冬期) おしるこ(wiki) スノースクート 越後湯沢 山の湯 |
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