2002特別レポート(2)
 

     日光、にっこにこ
雪だるま 日光湯元、日光菖蒲ヶ浜    

  
 
赤い大鳥居は赤城にもあったなあ
 
 
 
朝の中禅寺湖畔
 
 
 
事故には気を付けよう
 
ガスの中、白根山雪山登山
に行くひとたち
上部はガスっていた
 
リフトの上
 
私よりうまくなるだろう
 
これが湯滝だ
 
正面の男体山は下半分
しか見えない
これが竜頭の滝。
正面大岩が頭、
左右の滝が髪の毛らしい
これは裏見の滝。
左側から登れる
滝を裏から見る
  
総ヒノキの風呂だ
  
饅頭の湯沢屋
 東京の人間が日帰りで行くような場所は行き尽くしたと言ったが、厚めのスキー場ガイドブックにありながら行ったことがない場所が実は数ヶ所ある。この日光湯元もその一つだ。リフト数を見ても少ないが、日帰りには十分な広さだろう。
 2週前に赤城で滑った時はほんの数本にもかかわらず、翌日は筋肉痛でバリバリであった。今回は少しほぐれたことだし、もう1回行ってみようか。
 日光なんて、小学校の林間学校以来だ。そういえば、あの時初めて温泉の硫黄の臭い(腐ったゆで卵みたいな)をかいで、ぶったまげたものだ。ううむ、もう行くしかない。すっかり反発力を失ったロシニョールのRXD(通算100日以上滑っているだろう)を取り出す。
 平日に行く。朝早く東北自動車道に乗り、日光宇都宮道路へ分岐する。車は一台も無い。この時間、下道の国道もガラガラだろうから、ここでの高速代の出費はアホであった。
 ほどなく日光市へ。ここからイロハ坂を上り、中禅寺湖に着く。そこはもう、河口湖のような観光都市だが、対岸の雪景色と低く垂れ込めた雲を見ていると来てよかったと思う。湯元はここから山を登った所にある。

 リフトが動く時間にスキー場に到着する。見ると、中学生が大勢いるではないか。ゲゲッ、せっかく平日に来たというのに。午後は温泉があるし、翌日は会社だから、半日券を買う。もう根性無しの極楽スキーだ。
 リフト2本で最高点へ。ここから日光白根山の登山道もある。天気は小雪が舞うくらいだ。天気がよければ男体山(なんたいさん)がかっこよく見えるはずだが、雲のせいで下半分しか見えない。まあ、よしとしよう。
 スクールは修学旅行のおかげで盛況のようだ。あちこちでかたまってボーゲンを一人ずつチンタラやっている。そういう中を足をそろえたパラレルでスイ〜っと滑る。ちょっと横目で見ると、中学生たちが私の滑りを見てるのが分かる。うへへ。こんなことで喜んでいてはオジサンだが、そうはいっても、まともな滑りを見せてやるのはお手本というよりも、ハゲミになるものだ。私もそうだった。
 次は最上部のバーンをウェーデルンで滑る。下にたまってる中学生たちが私の方を見上げて見ているではないか。うひゃひゃ。まあがんばってくれたまえ。

 しかし、ドキッとしたのは、生まれて初めて板を履くような初心者のみんなが、カービングの貸しスキーを履いているということだ。そういえば同僚のF君が、2002年の今、スキーショップではカービングの板ばかりで、このRXDみたいな非カービングの板は無くなったという。私のRXDの売れ残りは時代遅れということで、新品でも数千円で買い手が無いらしい。

 昔はスキーの上達には時間がかかり、「ウェーデルンまで500日」と言われた時代があったという。板のコントロールも難しいのか、その時代の1級のテストには「直滑降して急停止」という今なら3級にもならない種目があったらしい。私が昔の1級を持っている上司にそのことを笑ったら、「昔の板でやってみろ。何もできゃあしないぞ。今は板もブーツも性能が良くなって、本当にやさしくなった。いい時代だ」とボヤいていたものだ。そして今、この中学生たちは、私よりも少ない練習量でパラレル、ウェーデルンを身に付けるだろう。私の1級の技術は将来の2級レベルになってしまい、1級にはモーグルとかポールレースみたいなのが入って、高度化するのは間違いない。そして将来の1級君が私の所にきて、「いやあ、20世紀の1級の種目はやさしいですねェ」と憎まれ口をたたくだろう。そこで私は言う。「昔の板でやってみろ。何もできゃあしないぞ。今は板もブーツも性能が良くなって、本当にやさしくなった。いい時代だ」と。歴史は繰り返されるのである。中学生のおそろいの貸しスキーを見て、そこまで読み切ってしまい、リフトの上で深刻に考え込んでしまった。

 とはいえ、スキーは楽しむのが一番だ。最上部のバーンをあっという間に10本以上滑る。半日券のモトなど10時前にはとってしまう。だいぶ飽きてきたので、そろそろ上がることにした。
 帰りがけ湯滝を見る。ここは見るためには駐車料金が必要だが、平日は無料だという。休日は拝観料を取るくらいならすごいだろうと期待したが、実にくだらん。私の写真を見れば十分である。
 菖蒲ヶ浜(しょうぶがはま)に降りる。
 伝説によれば ─── 昔、日光白根山の神様と赤城山の神様が男体山の領有をめぐり、それぞれヘビとムカデに化けて戦ったという。その場所が戦場ヶ原らしい。そして赤城のムカデが優勢になった時、ヘビが女に化けて、人間の弓の名手にお願いし、その名手が大将のムカデを矢で射抜いて勝負をつけたという。その勝負をしたので菖蒲ヶ浜という名だという。だいたい神様がなぜ爬虫類や多足動物に化けて戦うのか、人間に頼むのに女に化けて色仕掛けをするのか。強引な話の構成であるが、よしとしよう。
 私がこの菖蒲ヶ浜にこだわったのは、プリンスホテル系のスキー場があるからだ。プリンスホテルでは、他のプリンスホテルに隣接するスキー場の積雪量をいつもロビーに掲示している。また、西武池袋駅の旅行センターでも同様の掲示を通行人に見えるようにしている。その中のひとつ、「日光菖蒲ヶ浜」はガイドブックに載ってないなと不思議に思っていたのだ。実態は短いクワッド1基という変なスキー場なのだ。事前にインターネットで調べたら、小さいけど男体山を正面に見ることができる。よし、帰りがけだし1本いくか。こうしてスキー場のはしごとなったのである。

 到着したのはほぼ12時ジャストだ。見たら、なんと、客がいない!
 平日とはいえ、トップシーズンだというのに、駐車場がまるでテニスコートのようだ。車がない。スキーセンターに入ったら、係員があわててマイクに向かって、「ご来場の皆様、ただいまより午後券の販売を開始します」とか放送を始めたが、ご来場の皆様は私だけだ。単調な1枚バーンで、恐くて1回券を1枚だけ買う。意表をついた買い方に係員が驚いた。
 クワッドに乗る。すると駅舎にいた係員がクワッドのスピードを上げ、座席を用意すると、あわただしくクワッド設備の屋根に登り始めた。もう一人は先にクワッドに乗った。これは降車口にも係員がいないといけないからで、私一人のために上で待機しなければならないのだ。「おいおい、いいよ、1回だけなんだから、休んでなさい。」ノド元まで出かかったが、止めようがない。平日でも圧雪の行き届いたバーンを横目に、申し訳なくて仕方が無いくらいだ。
 短いクワッドを降りると、遠く男体山が見える。ただし、雲のせいで下半分だけだ。この男体山が見えないなら、意味が無い。この1本でやめよう。昼にいきなり気温が上がったせいか、コースはぐちゃぐちゃだ。スピードが全く出ない。下まで滑ると板を外す。係員たちは1本で帰る私を茫然として見送ってくれた。
 
 中禅寺湖に降りる途中にある竜頭(りゅうず)の滝を見る。ここは無料だ。大岩を挟んで両方向から滝が落ちるのを竜の頭に見立てて観光資源にしてしまうのだから、無理があるというか、広告代理店みたいなヤツが昔にもいたのだろう。まあ無料だからよしとしよう。
 ほどなく中禅寺湖に下りてそばを食べる。時間的にあまりにも早い。場合によってはこのまま日光市から霧降高原スキー場へ行くという選択肢もあるが、そばやのオヤジは行くなという。このスキー場は有料道路の途中にあり、日光市からすぐなのに、有料道路のゲートを通らねばならないので、とんでもない金額の通行料を払わされるという。しかも往復ビンタで取られるというのだ。バカバカしい。そういう客をバカにしたスキー場は滅びるがよい。
 時間があるので自然博物館に寄ったが、ふるさと創生基金で作ったような、税金の無駄遣いみたいなところだった。とても料金に見合うところではなかった。
 表に出てみてびっくり。中途半端に気温が上がり、ものすごい霧だ。これでは華厳の滝も見えないだろう。イロハ坂を下る。途中、裏見の滝に寄る。これは滝の裏側から見ることができる滝だ。滝を裏から見るのはナイアガラ以来だが、結構歩くので、私の写真で省略するのも可である。
 公営の温泉は木曜日は休みだという。仕方なく、日光市にあるホテルに日帰り入浴をする(1000円)。総ヒノキの風呂だ。ただし、失敗した。鼻を突くような硫黄の臭いがするのは山の上の湯元温泉の方で、ここ日光市まで降りると普通の温泉なのだ。ううむ、失敗した。あなたはこんなミスをしてはならない。だが、誰もいない大きな風呂で一人でゆっくり時間をつぶすのも実に贅沢ではないか。
 湯沢屋という饅頭屋で温泉饅頭を買って帰る。半日スキー、半日温泉付観光という以前は忌み嫌っていたパターンだが、これもまたいいものだと思うようになった。
   
 帰りは有料道路をやめて杉並木を南下したが、なかなかよかった。鹿沼まで延々と続くが実に良かった。鹿沼市で少し迷ったが、時間があるときはこのコースはおすすめだ。