2年間の沈黙を破って | |||||||||
2002年レポート(1) | |||||||||
久しぶりにスキーに行ってしまった。前回スキーに行ったのは2000年3月のフランスのシャモニであったから、ほぼ2年ぶりになる。 なぜ今までスキーに行かなかったのかというと、それまで土日の二日連続の休みであったのが、仕事の都合で平日(たいてい木曜日)と日曜日の連続しない休みになり、遠くに行きづらくなったからだった。 また、バッヂ1級取得の目的を果たしてしまったことや、東京から日帰りで行けそうなスキー場はほぼ行き尽くしてしまったことも理由だ。同じ場所には繰り返し行かない性分なので、勤務形態が変わってからどうも気合が入らなくなったような気がする。
そんなある日、同僚の古川君がYahooの掲示板を見ていて、「近場の群馬県に赤城第三なんてのがありますよ」と教えてくれた。 おや、あんな所に雪があったっけ。関越自動車道からは裾野を大きく広げた雄姿を見せている赤城山だが、雪は無かった気がする。念のために観光協会に電話を入れたら、ちゃんと営業しているというではないか。 そういえば、近くに住んでいる私の親戚が太平洋戦争中、「赤城」という航空母艦に乗っていた。初めて出撃したミッドウェイ海戦で沈められ、大怪我をしながらも生きて帰ることができたとか。「赤城」という言葉には子供のころから、格別の響きがある。 よし、赤城山には行ったことがないし、とりあえず行ってみよう!。こうして私のスキー復活は決まったのである。 |
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赤城山第一スキー場 027-287-8311 |
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赤城山第一、第二、第三スキー場 |
次に、本当に営業しているのか怪しくなったので、平日、赤城第三に電話してみた。 ・わたし「つかぬ事をお伺いしますが、今日は営業していますか」 ・赤城第三 「ええと、今日はロープトウを動かしていないですね」 ・わたし「ええ?じゃあ、行っても営業していないんですか?」 ・赤城第三 「そういう時は、みなさん雪を踏んで登っていますが」 あのね、そういうのはスキー場とは言わないの。私は平日休みの利を生かして木曜日に行こうと思ったが、あやうくえらい目に遭うところだった。やむをえず、あえて高速道路が混雑する日曜日に行くことにした。 しかし、久しぶりのスキーだ。なにしろ、関越自動車道の入り口ではETC専用ゲートなんてあるのに面食らったし、前橋インターでハイウェイカードを出したら、今は偽造防止のホノグラムのあるハイカでないと使えないと言われた。2年のブランクの大きさを感じてしまった。 前橋ICから赤城山へ。途中、赤い大鳥居をくぐり、9時には赤城第二に到着した。ここは大沼(おの)のわかさぎ釣り宿の裏にある。見るとスキー場の名残はあるが、荒涼としていて、下の方にどこかのファミリーが付けたらしいそりの跡が数本ついているくらいだ。距離も短いリフト1本くらいの距離しかない。釣り宿の駐車場から繰り出す人たちはみな、ゴム長を履いている。スキー客などいやしない。スキー板を担いでいるのは私くらいなものだ。とりあえず、板を担いで登ってみることにした。 赤城第二は湖のほとりにあるので、全面氷結した湖には釣り客が点々としているのがよく見える。氷の上で釣りとは、まったく好きなやつらだ。でも私だって彼らからは丸見えだ。閉鎖されたゲレンデで板を担いで登るとは、なんて物好きなアホウだと呆れられていることだろう。 バーンは全く圧雪していないので、ブーツがズボズボ入る。ある程度登ったところで板を履く。さあ、2年ぶりのスキーだ!。ところが感覚が全然戻らない。まるで初心者に戻ったように、何もしないまま下まで滑り降りた。ターンはろくにできない。こんなはずでは・・・。せめて、家でブーツを5分くらい履いていたら違っていた気がする。 赤城第二はこの1本だけにして、赤城第三へ。ここは大勢団体がいたので何事かと思ったら、全員高齢者の登山客ばかりだ。スキー客はファミリーばかりで、まだ10人くらいしかいない。駐車場は地元の群馬ナンバーばかりで、きっとみんな自宅で朝食をとってから来るんだろうなあ。そうそう、気合を入れてくる所じゃあないよね。 ロープが動き出した。ここは赤城第一と共通で、1回100円、1日券1500円だ。とりあえず、2枚買ってみる。それにしてもバーンが小さい。見た目のスキー場は長さ100mはありそうだが、ロープトウが架かっているのはその半分の50mもないだろう。2級の総合滑降にも足りない。この距離と高度差だったら、1回100円というのはボッタクリの世界だが、客が少ないから仕方ない。 ところでこれ、本当に「ロープ」なのだ。運動会の綱引きのようなロープが回っていて、それをつかんで登るのだが、一人で持つと重い。さらに終点近くの傾斜では、全体重を引っ張る握力が必要であり、なかなか重労働だ。子供にはつらかろうが、体重増加が気になる私には、これまた過酷だ。 ここをボーゲンとパラレルで滑る。たった2本滑っただけだが、急に感触が戻ってきた。結構、覚えているものだ。 ここは大沼の観光の中心地に近い。付近のお土産屋に寄ってから湖に出てみた。ワカサギ釣りをしている人たちを見ていると、実に面白い。異様にも見える光景には、なにか宗教的な色彩が感じられるのが何ともいえない。赤城神社にお参りし、国定忠治の肌脱ぎ地蔵を拝んでからいよいよ赤城第一に向かった。 ここはなかなかいい。何がいいかというと、子供用のそり遊びのコーナーが実に広いのだ。普通、どのスキー場でもチビッコ広場なんてのは狭くて、10mもあればいい方だ。ところがここは50m以上の広いバーンになっている。聞いてみたら、これが無料で使えるという。家族連れが多いが、実に納得がいく。もう一つのバーンにロープトウがあり、これにはバーが設置されている。腰の後ろにあてがって上るものだ。ロープというよりもワイヤになっている。握るところがあるので、これなら子供でも乗りやすい。 ちなみにリフトの鉄柱が右奥に見えるが、それは動かさなくなったらしい。もともと少し上に建設した地蔵岳頂上行きロープウェイの山麓駅に行くためのリフトだったらしいが、3年前に業績不振で倒産したので、今ここにはロープトウしかないという。 さて、このロープトウのやさしいバーンも、ほとんど全員が子供のいる家族連れだ。女性にファンスキーを教えているカップルもいたが、その2人が目立つほど、画一的な客層になっている。そしてもっと目立っていて、やたら浮きまくっている私が、さらに思いっきり場違いなウェーデルンで一直線に滑ると、ロープトウの客の視線が集まる。よしよし。羨望のまなざしが半分で、あとは、「おめー、こんな小さなスキー場に何しに来てんの?」という感じだ。こんなところでウェーデルンをやりに来るのは地元群馬県民でもそうはおるまいて。 それにしても、ウェーデルンもかなり思い出すことができて、うれしくなった。もちろんスクールに入ればあれこれ指摘される内容だと思うが、回しこみの感覚などは昨日のことのように思い出せたし、ヌケの感覚も楽しむことができた。自転車同様、一度できるようになると一生ものと言われるが、その通りだ。 ここは3本滑って今日のスキーはあがることにした。今日のリフト代金は合計500円だ。スキー復活と言えるかどうか怪しいが、とにかく感覚を失っていなくてホッとした。 赤城の大沼(おおの)は冬には氷結する。その湖が冬に氷結するか否かは、寒さと水深が関係するらしい(日本最北の不凍湖は北海道の支笏湖で、深さは日本で二番目だ)。ワカサギ釣りの宿や国民宿舎、お土産屋が並ぶあたりは夏はモーターボートの発着地だが、冬はワカサギ釣りの道具レンタル屋になる。スケートリンクもあるが、釣り客以外は子供連れが圧倒的に多い。 昼過ぎに山を降りる。本当は南斜面に降りて、赤城温泉か忠治温泉に行きたかったが、なんと道路は冬期閉鎖になっていたので、仕方なく来た道を戻る。途中、「富士見温泉見晴しの湯」に入る。500円だが、露天風呂やサウナもあり、なかなかいい。湯船につかった時に「う~」とか言ってうなるのはよそう。思わず言ってしまい、我ながら情けなくなった。 遅めの昼食はこの近くでそばを食べ、渋滞前の高速道路へ向かった。 1級取得までは体育会スキーだったが、こういう楽チンスキーもいいものだ。 |
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何のおまじないだろう? | いきなりあるとびっくりするなあ! |
土産物屋だ | 近くのペンション「青雲荘」のイガヤさんの飼い犬。 何種か分からないとか |
第三スキー場だ | 登山客は山スキーを履いていた |
凍結した湖には島があり、神社があるぞ | ダンゴ虫みたいだ |
バーナーで缶コーヒーを温める | スケスケテントだ |
はちまき締めて気合いだ! | 布団の中に入ったままみたいでいいねえ! |
付近には国定忠治の碑もあるぞ | 島には赤城神社だ |
第一スキー場だ | 第一スキー場上から |
こちらのロープトウは腰当があっていい | ゆるい斜面に父兄もツボ足だ |
スキーは楽しいかい!? | バランス感覚もよくなるぞ |
帰りには、上州名物のそばを食べよう。県道沿い(馬事公苑近く)にそば屋が2軒あるが、「桑風庵」がいい。「赤城おろし」がお勧めだ。冷たいそばだが、いきなり白いものが差し込んであるので、レンゲの長いやつかと思ったら、これがなんと長ネギなのだ。「薬味なので、かじって下さい」というので、ほのかに苦いのを全部食べてしまった。ふつうは長ネギは刻んで出すものだが。私の人相を見て切らずに出したのかと思いきや、隣の女の子にも同じように出していた。これはきっと、相応の言伝えがあるに違いない。尋ねてみたら、「ただの遊びです」だと。 本店も近くにある。(027-288-4120) |
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