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私は今まで掲示板やメール、あるいは旅先などでいろいろな質問に答えてきた。その中でも、よくある質問は読者全員で共有できると思うので、ここで公開する!。 | ||
(1)国内スキーについて | ||
【Q1】 スキー場はどこが一番良かったですか。 【Q2】 で、どこが一番良かったですか。 【Q3】 宿はいつごろ予約するのがいいですか。 【Q4】 リフト券は1日券を買うのがいいですか。 【Q5】 休憩はどのくらいとればいいですか。 【Q6】 ケガをしたことはありますか。 【Q7】 私もいろんなスキー場を回りたいのですが、なにか注意点はありますか。 |
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(2)海外スキーについて | ||
【Q1】 初めて海外スキーに行くのですが、お勧めはどこですか。(2006.1.8) 【Q2】 海外スキーは自分の板を持っていった方がいいですか。(2006.1.8) 【Q3】 海外でのスキー中に注意すべき点とかありますか。(2006.3.1) |
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(3)マテリアルについて | ||
【Q1】 板はどんなのがいいですかねえ。(2006.3.1) 【Q2】 デザインで道具を選ぶのってよくないんですか。(2006.3.1) 【Q3】道具の購入で失敗したことはありますか。(2006.3.1) |
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(4)技術について | ||
(5)管理人について | ||
(6)その他 | ||
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(1)国内スキーについて | ||
【Q1】 スキー場はどこが一番良かったですか。 【Q2】 で、どこが一番良かったですか。 【Q3】 宿はいつごろ予約するのがいいですか。 【Q4】 リフト券は1日券を買うのがいいですか。 【Q5】 休憩はどのくらいとればいいですか。 【Q6】 ケガをしたことはありますか。 【Q7】 私もいろんなスキー場を回りたいのですが、なにか注意点はありますか。 |
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【Q1】 スキー場はどこが一番良かったですか。 | ||
おお、いきなり一番聞かれる質問からきたか。 答えは単純明快で、「それは目的による」ということになる。 (1)バッヂテストを受検していたころは「練習」を優先するので、 ・検定向きの幅広で、斜めに傾いていないバーンがある ・効率的に練習しやすいクワッドなどの高速リフトがあり、繰り返し何本も滑ることができる などがポイントになる。したがってスキー場自体は広くなくてもいいから、良質なバーンが1本でもあることが肝心である。さらにボーダーはいなくて(私の検定時代はボーダーは初心者ばかりで、ゲレンデ中央座り込みが問題になっていた)、雪質は良いことが大切。 (2)初心者を含む数人のグループでいく時はとにかく「楽しい」ことを優先するので ・変化に富んだコース ・すばらしい景色(絵になるような山があるといい) ・施設の充実(ゆったりして座席数の多いゲレ食など) が重視される。 (3)ファミリーで行くという人は「子供の安全、親の安心」を優先して ・緩斜面が充実していて ・できれば緩斜面にボーダーや飛ばす上級者が入り込まないようになっていて ・初心者でも使いやすいリフト などがよい。滑ることに飽きてもいいように、キッズパークがあるとよく、これは最近増えてきた。 (4)そのほか、気晴らしのようなレジャー目的ならば ・アクセスが便利で(運転に疲れない) ・温泉が近くにある(こちらの方がメインになってもよい!) と評価が高くなるだろう。 この他、従業員の態度やサービス内容など、人的要素も大きい。 以上から、「よいスキー場はどこか」を決める前に、「よいスキー場とは何か」を先に決めなければならない。 そういうわけで、いきなり管理人に「今度蓼科方面にスキーに行くんですが、どこがいいですかね」なんて聞き方をされても困るだけで即答はできないのだ。 |
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【Q2】 で、どこが一番良かったですか。 | ||
うむ、管理人の尺度は昔は(1)で、最近は(2)と(4)だ。 (1)の検定向きというのであれば、スキー場というよりもバーンで選ぶのがよい。私は木島平と高井富士の連絡コースがお気に入りだ。ウェーデルン向きの斜面で、連絡コースだからすいていたし、その割りにゼイタクにもクワッドが並行して架かっていたので繰り返し練習するのによい。さらには、クワッド脇に木が並んでいるので、クワッドに乗車している人たちから見られなくてすむ。管理人は小心なので、ヘタなところを見られると思うと集中できなかったので、これは魅力でもあった。また、高畑のレッドコースもよい。基本的にロングコース主体のすばらしいスキー場だがすいている(代償としてめちゃくちゃICからのアクセスが悪いが)。その中にあってリフトも短いレッドコースが面白い。なんでこんな所にコースを作ったのか、というコースだが検定向きの長さと斜度・幅で本当にすいていて今でもボーダー禁止なので、検定を目指す人にはおおいにお勧めだが東京から日帰りはきついかもしれない。東京から日帰り圏で雪質もいいとなれば、アサマ2000がいいだろう。ここもロングコースを楽しむには半端だが、バッヂの練習ならば標高が高くて雪質もよく、シーズンも長いからおすすめだ。ただし降雪の少ないエリアなので、シーズン始めは注意だ。なお、アクセスも便利でクワッドも機能的な川場は評価が高かったが、ボードを解禁したので評価は下がった。 (2)ならば大きなスキー場がいいが、お勧めは志賀高原、白馬岩岳などがいい。妙高池の平・赤倉は景色はすばらしいが夜は見るものがなく、そういう意味では温泉街のある野沢温泉や草津はいい。もし私が外国人のお客さんを招待するなら、このへんだろう。栃木や群馬、越後湯沢あたりは山の中という感じで、風景のよさでは長野のスキー場に譲ることになる。 なお、スキー場で番付を作ろうとすると結局は大きなスキー場が有利になるだけで、面白くもなんともない。どこにでも見かけるようなランキング表を作るのは、国内だけで200ヶ所以上行った200 SNOW REPORTS 管理人としては不本意であるし、読者が期待するものではないだろう。私はむしろ個性的なコースの有無で評価したい。 このサイトのトップページに戻って、「日本の百名コース」を見ていただきたい。特に「スキーなんてどこでやっても同じじゃないか」という人がいたら、見せてあげて欲しい。 |
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【Q3】 宿はいつごろ予約するのがいいですか。 | ||
大変良い質問だが、これもまた「状況による」と言っておこう。 予約を入れるメリットは確実に泊まれる、ということだ。しかしデメリットとしては、悪天候、大渋滞などが発生しても必ず行かねばならなくなるというリスクを負うことになる。 私は基本的に、直前まで予約は入れないし、特に一人の遠征時では当日飛び込みばかりだ。 (1)雨の中を滑らずに済んだはなし 昔、3月下旬に尾瀬岩鞍にいくつもりだったが天気が怪しかったので、行きがけのサービスエリアで6時ごろ電話を入れたら「雪混じりの小雨です」とのことだった(早朝で誰も電話に出ないときのために、付近のホテルの電話もメモしていこう。ホテルは早朝でも必ず誰かが電話に出てくれる。そして客のふりをして現地の天気をきくといいだろう。むこうも客だと思って丁寧に答えてくれる)。早朝の小雨は気温が上がれば雨だからパス。このときのために標高の高い表万座を予備プランに入れていたので問い合わせたら、「雪です」ということなので迷わず表万座へ向かった(助手席で寝ていた相方は起きたら岩鞍でなかったのでびっくりしていた)。確かに雪が降っており、自慢の浅間山の眺望はダメだったが仕方あるまい。昼ごろ岩鞍に電話を入れたら(どういう性格だ)「う〜ん、雨ですねえ」だって。表万座を選んだのは最高とは言わなくても、最悪の事態を回避できた正しい判断といえた。なにしろ岩鞍のホテルや旅館のパックを買ってしまった人は槍が降ってこようが突撃しなければならないのだ。 (2)その他 ・湯沢方面に行くはずが、早朝、突然の大雪でチェーン規制となり、赤城SAから渋滞が始まってしまった。こういうときのために北志賀方面のプランも入れていたので、いきなり藤岡ジャンクションを曲がって長野方面に向かったこともあった。 ・1日目に妙高方面、2日目によませ(中規模なので午前だけ滑る)のはずだったが、往路の高速道路で死亡事故が発生して現場検証のため高速道路が閉鎖となった。妙高を昼からでは滑りきれない。そのため急遽、1日目は昼からよませにして、2日目に妙高に行った。 ・2005年レポ最初の盛岡遠征では、3日目に田沢湖に入る予定だったが、その日は秋田県側が吹雪になりそうだったので2日目に行くよう、2日目の日程と入れ替えた。このため宿泊予定地を変更したのだが、ビジネスホテル連泊は年末年始で容易であった。もしも宿泊パックのツアーだったらキャンセルできなかったかもしれない。 とにかく選択肢のカードは多く持っていた方が不測の事態に対処しやすい。 スキーを始めたころは職場や仲間のスキーに飛び込んだり、仲間を誘えば集まったものだが、それは遠くても白馬までの話だ。おおかたの有名スキー場に行き尽くしてしまうと、東京の普通の人が行かないような北陸とか、すぐ近くに人気の大型スキー場があるのに小さいほうへ行くとか、4泊5日で7ヶ所回るぞとか、こういうことをやっていると、だんだん一人でしか行けなくなってしまうものだ。しかし逆に柔軟な対応がしやすくなったことは事実だ。 「予約はどうすんだ」という意見もあるだろうが、最近は不景気のせいか、困窮することはなくなった。あらかじめネットでその付近の空き室状況を調べておき、満室が無いようであれば、そのエリアでは当日飛び込み(昼には電話を入れること)で大丈夫だ。年末年始の観光地とか、GWの立山とか、国民宿舎のように安い場合は要注意だが。そしていざとなったら車を転がしてビジネスホテルのあるところまで行けば間違いない(特に一人で行くときは気兼ねなくできる)。片品尾瀬だったら沼田市にいくつもあるが(笹屋ホテルがお勧め)、越後湯沢のビジネスホテルはすぐ満室になるから浦佐や六日町の先まで、念のために考えておこう。土日で満室だらけだったのは、障害者のスペシャルオリンピックにぶつかったときの長野市だけだった。 それでも予約していないと怖い、という人は予約してもいい。しかし1週間くらい前からは天気図などをみて、万が一のときに備えるように。 さらにパックツアーにグループで申し込んで融通が利かない場合のために、滑れない場合のオプションやイベントを調べるなどして準備しておくとあわてなくて済む。せっかくの休日や交通費が無駄にならないようにしよう。 |
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【Q4】 リフト券は1日券を買うのがいいですか | ||
いかん。思考を停止して、無条件で1日券を買うのは考えものだ。1日券にはランチパックが付いていて割安になっている場合が多いが、「経済的リスク」と「実行性のリスク」の2つのリスクを負うことになる。 (1)経済的リスクとは、「他の手段の方が安くついた」という場合だ。 昼ごろ到着したのなら先にランチやおみやげの購入をして時間をつぶし、午後券で滑り出すのがいいだろう。最近は時間券という便利なものが普及しつつあるので、これも考慮しよう。また、いくら1000円分のランチパックとはいえ、1000円の価値があるのか疑わしいメニューが多く、いっそのことコンビニ弁当やサンドイッチの方がましなこともある。ゲレ食に名物メニューがあって、それを食べることに意味がある時以外は検討してもいいだろう。特に私のように遠征で午前と午後では異なる別のスキー場にハシゴするときは車の中でサンドイッチの方が時間の節約になっていいのだ(せっかく遠征してきたのだから、中規模以下のスキー場を1日1箇所ではもったいない、という場合が多い)。 (2)実行性のリスクとは、1日券が額面通り使えない、ということだ。 天候が悪くて雨が降りそうとか、強風でゴンドラ停止、リフトはノロノロとか、最悪は「ロープウェイは営業停止、ただし券は払い戻さないからね(小樽天狗山、旭岳ロープウェイ)」といったものだ。また最近は少ないが大混雑のためにとてもモトが取れない、ということもよくあった。私はスキーを始めたころ、エコーバレーでものすごい混雑とリフト待ちを経験したのがトラウマになり、1日券を買う前にいつも考えるようになった。 以上から、1日券がある程度のギャンブルになるのは避けられないが、自分のスケジュールやその時の混雑具合、リフトの稼動状況などを総合勘案して判断するのがいいだろう。私は小さなスキー場ならば「リフトを何回乗れば、一通りのコースが滑られるか」を基準に1回券を数枚買うことが多い。無理に1日券を買ってモトを取ろうとあせって滑り、ケガしては仕方ないので、余裕をもっていこう。 |
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【Q5】 休憩はどのくらい取ればいいですか | ||
休憩は適度に取ろう。どんなに気力が充実していても疲労がないはずはない。気持ちだけ先にいって体がついていかず、高速で滑っているときに曲がり切れなかったり、止まりきれずに衝突事故を起こしてしまったりする。また、ケガもしやすいものだ。 グループで行っている時は、一番弱いものに合わせよう。一人でもつらい者がいたら、それは全員がつらいのと同じだと思わなければならない。 休憩の間隔は、初めての人がいれば90分、そうでなければ普通は120分(スクールの1コマくらい)がいいだろう。朝イチから滑りだせば午前中だけでこれが2回できることになる。午後はバーンが荒れているだろうし、シーズン始めは久々にブーツを履いたという理由だけで疲れるものだ。またスキー初日の場合は早起き疲れもあるから、無理しないで1日券が終わる前には切り上げる余裕が欲しいものだ。ただし私が一人でバッヂの練習で行くときは朝イチから正午まで休まず、午後は1回だけトイレ休憩を入れただけで、夕方に何か食べたらナイターに突入、なんてこともあったが、あまり真似しないほうがいい。 休憩の秘訣だが、休憩のときは、私はいつもゲレ食の冷水用のガラスコップを借りて、自動販売機の缶コーヒーを入れて飲んだりしていた。なぜかいつもと違う缶コーヒーの気分。特にレジ近くの食器置き場にクリームや砂糖なんかが置いてあるときはいただいて、缶のブラックコーヒーなんかにまぜると本当に120円とは思えなくなってくる。仲間がレギュラーコーヒーでございます、なんて言いながらゲレ食の黒豆のダシ汁みたいなコーヒーを500円も出して買ってくるのを見ると哀れで涙が止まらないものだ。また、小さなクッキーなどがあると糖分の補給にもなるし、お茶の時間が充実するのでおすすめだ。ただしネスレのキットカットはやめておこう。ポケットの中で粉々になりやすく、粉薬を飲むようにして口を上に向けて食べてコーヒーで流し込むのは見ていてもわびしいものだ。そしてあなどれないのがバウムクーヘンだ。ポロポロしたのを勢いよく吸い込んだためにせき込んでしまい、テーブルの上にクーヘンの粉を飛散させたタコもいた。 楽しいスキーを楽しくするための休憩、これもスキーの一部であり、それをどう楽しく過ごすかも工夫しよう。 |
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【Q6】 ケガしたことはありますか | ||
ケガというほどではないが、無いではない。 (1)講習中、ゲレンデを飛んだはなし 鹿沢ハイランドでスクールに入ったときの講習中の出来事。下で先生が合図をしたので、いちおう上を見てからスタート。ゆっくりボーゲンのようなパラレルを何回転かしていたら、いきなりすごい勢いで後ろから体当たりをくらい、いったん体が飛んで、数メートルずり落ちた。ゴーグルが外れるほどの衝撃で、みんなが駆け寄ってきた。 ぶつけてきたスキーヤーの完全な前方不注意だが(目撃したスクール生によると、足元だけ見て飛ばしていたらしい)、ケガはなかった。スクールの先生が注意の一言も何も言わずに「大丈夫ね?ああ、いいよ」とかいってぶつけてきたスキーヤーを(私になにもいわずに)立ち去らせたのが気に食わなかった。 注意点だが、鹿沢ハイランドはレースで有名なスキー場だ。リフト待ちが20分以上で、スクールの講習料金がばかばかしくなるほどの混雑なのだが、レーサーがやたら多くて、中には直線的に飛ばす者が実に多い。事実、事故が多いらしい。北米だったら即刻リフト券没収なのだが。 (2)志賀高原の高天原(たかまがはら)でストックを曲げられたはなし 地元のサニープロスキースクールの講習が終わり、延泊して翌日も滑っていたときのこと。いきなり後ろから東京都の某クラブのスキーヤーが止まりきれずにぶつかってきた。そして「すみません」とひとこと言ったかと思うと仲間のところに言ってしまった。で、よく見たら私のストックが曲がっているではないか。曲がったアルミのストックはストーブで熱しながら少しずつ曲げて戻せば使えるくらいには戻るが、寒い場所でいきなり戻そうとすると折れてしまうので、その日はそのままだ。頭にきて怒鳴りに行ったが、ケロッとしていた。 実はこの高天原はパラリンピックの会場になったこともあり、コースの右側を仕切ってポール常設コースにしていたりするポールレースの盛んなところで、(1)の鹿沢ハイランドと同じくレーサーが多い。ちなみにスクールの校長もぶつけられてシーズンを棒に振ったことがあるらしい。 【教訓】常設ポールコースを持つスキー場にはレーサーが多く、中にはスピードぼけして普通のコースでもレース感覚で(止まれもしないくせに)飛ばしていたりするのがいるから、特に注意だ。子供を連れて行こうという人は行くべきではない。 (3)白馬47で首をやっちゃったはなし 会社の白馬栂池合宿に先立ち、有給をとって前日に一人で白馬47に来ていた。五竜とおみにも足を伸ばし、そろそろあがろうかいと思って47のコブ斜面をゆっくり滑っていたら、うしろからドッカンをくらった。私は転げ、コブを背にしてさかさまになった。このとき、首が少しムチウチになったようだ。相手のストックは折れていたが、私に大丈夫ですかと気遣ってきた(当然だが)。見たところケガはないようだし、まあいいかと分かれた。宿舎で仲間と合流。夜、寝るときに異変があった。枕から頭が上がらないのだ。首をいためていたようだ。この状態が数日続いた。帰りは電車だからいいが、もし一人で車で来ていたら、まいっていただろう。 【教訓】後ろからやってくるのは避けようがない。せめて追突時のケガを軽くするために、午前と午後の出だしの一番には柔軟体操をするようにして、特にスキーという意味で手首と首は入念にすることだ(私は今でもそうしている)。 (4)すいたゲレンデでぶつかった人の話から スクールで同宿だった人の話。比較的すいたゲレンデであったが、ターンの回転弧が合ってしまい、衝突して入院までしたらしい。(特に同じスピードで横を滑っていると視覚的に相手に気づきにくいらしい)誰もほめてくれないような話だが、これは両者の注意不足によるものだろう。確かに私も似た状況になってハッとしたことが何度もある。 【教訓】ターンをするときは一瞬、チラッと後ろに目をやるようにしよう。それは顔を向けるほどでなくてもいい。視線を飛ばし、誰かが来ていないことを確かめるためだ。もうひとつ、両腕は広く広げた方がいい。たとえば右へターンするときはストックを突くために左手を持ち上げるが、このとき右手はダランと下げないことだ。開き気味にしたほうがバランスが取れるだけでなく後ろの人に対して「ターンするぞ、近づかないでくれ」という合図になる。「両手はダランと下げず、大きな木をかかえるように前に出しなさい」これは初心者のときスクールの先生から言われた言葉だが、安全面でも金科玉条である。こういったことは普段から実践して習慣になるようにするとよい。 |
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【Q7】 私もいろんなスキー場を回りたいのですが、なにか注意点はありますか。 | ||
あまり偉そうなことは言えないが、これから始めるというのであれば、アドバイス程度だがいくつか挙げておこう。 (1)テーマを決めよう 実際、200ヶ所も回るには時間が必要であるから、ある程度のテーマを決めておいた方がいいだろう。 私は広告代理店でマーケティングのプランナーをやっていた時代があり、そのためあちこちに行ってはサービス内容や施設まで見て、デジカメ登場以前の時代から写真をたくさん撮っていた。(だからこんなに写真がある)したがって、私は単に「同じところには繰り返し行かずにたくさん見る、できれば何かおもしろそうな強みがあるところはぜひ行ってみる」ということをやっていた。しかし、普通の人は大変だろうから、「温泉があるところだけいく」とか、「パウダーで有名なところは制覇する」といった自分の好きなテーマをみつけていくのが楽しさ倍増でいいだろう。やみくもに小さなところまでシラミつぶしに行こうとすると、一日に何ヶ所もまわるような、わけのわからないスキー人生になってしまうかもしれない(数そのものが目的、というならそれでもよろしい)。 (2)日記をつけよう 始めた頃からやっていて結構よかったなと思うのがこれ。特にドライブ日誌はあとで役に立つときがくる。高速道路はどのくらいかかったか(時間とキロ数、料金)、途中休憩はどうか、渋滞はどうか。そのときの簡単なメモ(「○○で事故渋滞があり、今回は通常より遅かった」「夜のドライブではサービスエリア1回だけの休憩は目が疲れる」「3月になると◎時ごろの○○SAで夜が明けた」など)があると、次のシーズンの時に「そういや、そうだったよな」と思い出してより快適なドライブができるようになる。 また、ガソリン代、高速道路の料金は仲間と行くときのワリカンの計算に必須だが、一人で行くときも記録しよう。 その他宿代や食事代なども記録して、自分がスキー人生にどれだけお金をかけたかを知るのもいいだろう。また海外に行く人は必ずレートを記録しておこう。 |
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(2)海外スキーについて | ||
【Q1】 初めて海外スキーに行くのですが、お勧めはどこですか。 【Q2】 海外スキーは自分の板を持っていった方がいいですか。 【Q3】 海外でのスキー中に注意すべき点とかありますか。 |
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【Q1】 初めて海外スキーに行くのですが、お勧めはどこですか。 |
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うむ、これまた大変多い質問だが、私はウィスラーをお勧めしている。 とりあえず海外スキーの選択のポイントを考えてみると・・・ (1)誰もが楽しめる 海外にはフランスのシャモニーのように、全体的にレベルが高い所もある。もちろん初心者でもOKだが、滑るコースが限られてしまい、特にバレブランシュ氷河はコブ斜面がどうしても一ヶ所あるので、中級以上ということになっている。しかしウィスラーは絶景ポイントからは必ず初心者コースが作られているので、誰もが景色などを楽しむことができる。「あそこの山頂はすばらしいが、おまえはダメ」なんてことはないのだ。 (2)言葉 まず、英語が基本であるということ。英語圏ならばたとえしゃべれなくても、ゲレンデマップと標識を見比べて、自分がどこにいるのかが分かりやすい。また、少しでも英会話ができるなら、それなりに楽しむことができるだろう。さらに日本人客が多い場合は、日本語の案内が多かったり、日本人スタッフがいたりするので心強い。ウィスラーは日本人が最もよく行く海外スキー場であるだけに日本語メニューのレストランが多く、日本食の店も多い。 (3)料金 北米は多くの航空会社が乗り入れているので、競争があって、距離の割には安い。ニュージーランドは競争が少なく、ヨーロッパはもともと高い。また現地の物価もニュージーランドが日本並であるのに対し、ヨーロッパ(特にツェルマットとシャモニー)はバカンス客が多いこともあり、えらい高い。北米はスーパーの物価も安いので、長期滞在なら北米だ。 (4)景色 ロッキーの山々は日本離れした景観で、「海外に来たなあ」という気にさせてくれる。これをいうとヨーロッパの方が氷河地形で日本離れというか地球離れといった景色がある。ニュージーランドも山の麓に雪が無く、山頂付近に積雪があるという特徴的な景色があるのだが、ゴツゴツした迫力のある景色ならヨーロッパか北米だろう。 (5)情報 現地の様子が分からないと不安だろう。しかしウィスラーは最も多くの日本人が行ったことがあるスキー場であり、多くの情報がある。ネットには日本語版もあり、情報収集しやすい。 以上から、初めて行くなら、ウィスラーがいいかと思う。 ★ウィスラーの注意点 (1)宿は必ずウィスラービレッジにとること。ウィスラーの良さはナイトライフにもあるし、ビレッジ内は数日かけても回りきれないほどの店がある。これらを楽しむためには、必ずビレッジ内のホテルに宿泊することをお勧めする。 (2)もともと変化の激しいウィスラーではあるが、トリノの次のオリンピック会場ということで、さらに追加投資がされている。このサイトの情報は古くなっていると思われるので、必ず最新情報を収集してから行くこと。 |
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【Q2】 海外スキーは自分の板を持っていった方がいいですか | ||
そうするのがいいだろうし、私はずっとそうしてきた。 なぜかというと・・・ (1)やはり慣れている板で滑りたい。レンタルでは思うような板にならない場合がある。 (2)レンタルの手続きが面倒 (3)航空会社は板は特別にどれだけ重くても数kg、という換算をしてくれるので、スキーの袋に保護用としてウェアだのなんだのをグルグル巻きにして詰め込んでいたので、重量的にも助かった。 などだ。 自分の板を持っていくことによる短所は、 (1)空港まで持っていくのが大変 ということか。ただし、私はいつも板だけ宅配便の成田空港気付にしておいて、空港まではスーツケースだけで行っていた。 人によってはブーツだけ持参し、板だけレンタル、という人もいる。ブーツはとても重いが、やはり板よりも優先して持って行きたいのがブーツだ。インナーなどをチューニングしている人はなおさらだろう。板よりもブーツの違和感の方が許せないものだ。ブーツがどうも合いませんでした、ではせっかくの海外スキーも楽しくならないのだ。 ★最近の航空会社は板に対する特別料金を見直しはじめているので、必ず事前に自分の使う航空会社について調べておくこと。 |
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【Q3】 海外でのスキー中に注意すべき点とかありますか。 | ||
一般的に日本と同じだが、海外ということで特に注意しておくべきものがある。 (1)リフトの並び方 エッセイの「リフトに思う」を読んでいただければ分かると思うが、極力公平に、かつ最大人数で乗車させようという合理性が強い。だから一人ならばシングルレーンから入り、複数ならば交互に合流する方式で並ばなければならない。 (2)滑走中の合図 狭い山道を下山するときなど、前を滑っている人の脇をすり抜ける時には、声をかけること。右側をすり抜ける時は、英語圏では「On your right! 」と後ろから声をかける。英語圏以外や、とっさの英語では間違えて言いそうな人は、ストックをたたいて後ろからスキーヤーが近づいているのを気付かせよう。私はヨーロッパでは、右から追い抜くときは相手の右後方5mくらいでこれをやると相手が左側にちょっとよけてくれたりする。 (3)自己責任 海外に行く人は、必ずエッセイの「自己責任」について読んでおくこと。 日本人はスキーとは遊園地の乗り物のように、「危なく見えるけれども自分は守られているもの」と思っている人が多いだろう。確かに日本のスキー場は過保護なまでにコースにフェンスを作ったり、立ち木のあるところは滑走禁止にしたりと安全には世界でもトップクラスの注意を払っている。しかし度が過ぎて失っているものも多いかと思う。海外では登山と同様、自分の判断でやれ、という代わりに自由度は大きい。これをどれだけ享受するかはあなたの判断次第だ。 (4)行動はちょっと控えめくらいで 何かあったら、対応が面倒なことになるし、多くの人に迷惑をかけることになる。したがって、内容と時間を9掛けくらいでいくのがいい。 ・時間の9掛け 帰りのバスが3時というのなら、2時30分には板を脱いでスキーセンター内を見学したり、トイレに行ったりと余裕を持った行動をしよう。「あと2本は滑れる」なんてやっているとリフトが止まったりとか、子供と衝突して面倒になったりという、可能性は低いが遭遇したらえらいことになるリスクを背負うことになる。また、一通り見てしまえば最後の1本などたかが知れているというものだ。無理はよそう。 ・内容の9掛け もし事故になったときに国内と海外では(経済的負担は別としても)面倒の度合いが違う。むちゃな急斜面、断崖を滑り降りたり、人のいないコース外を単独で行くようなことはやめよう。私の経験では、海外のボードパークでかっこいいところを見せようとワンメイクジャンプをしたボーダーが着地に失敗して内臓をやっちまったらしく、血尿が出て、帰国となった。保険があったとはいえ、こういう目にはあいたくないものだ。また、ニュージーランドのツアーではスキーで小さなジャンプ台を超える時に無理にコザックをやろうとして顔面から着地し、サングラスが割れて目のあたりにキズができて血を流し、翌日のヘリスキーに参加できなくなった人もいた。高いお金と貴重な休暇を使ってマウントハットという1つのスキー場だけに来たのなら、ヘリの1日はやっておきたいものだ。 最大の楽しみを得ようと最大のリスクを負うくらいなら、楽しみを9掛けにすればリスクは一気に10分の1以下になると思う。これがトラブルを起こさない私の秘訣だ。 |
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(3)マテリアルについて | ||
【Q1】 板はどんなのがいいですかねえ。 【Q2】 デザインで道具を選ぶのってよくないんですか。 【Q3】 道具の購入で失敗したことはありますか。 |
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【Q1】 板はどんなのがいいですかねえ。 | ||
うーん、実はこれが困った質問なのだ。スキー場はどこがいいかというのと似ていて、たった1つのものさしだけで決められるものではないのだ。私の場合はおおむね以下の優先順位で決めている。 (1)目的は何か バッヂテスト向けか、レーサーか、モーグルか。このあたりは間違えるとやっかいなことになる。上級モデル以外は万能型が多い。私は現在はカービングの小回り向けの板を使っている。昔の板より重いが、アイスバーンでもズレにくいので、まあいいかという感じだ。とりあえず自分が滑る時のシチュエーションを描いておこう。 (2)自分の技術 上級用になると固めの板が増えるくらいか。昔に比べればカービングの登場によって、技術レベルによるマテリアルの差は少なくなったと思う。昔は「メーター」といって2mの板が上級の証であったが、カービング時代の今は2mの板なんぞ持ち歩いていると小人の国に迷い込んだガリバーのように見られてしまうだろう。 (3)予算 あなたが最先端の滑りを追求するので無い限り、最新モデルをシーズン前(定価)で買う必要はないだろう。1月ごろになるとシーズン落ちでだいぶ安くなるので、その時に買えばいいし、中級者くらいなら先シーズンのものでもかまわない。 (4)評判 前年あたりまでのそのメーカーの評判を調べる。雑誌やネット、その他の情報を収集すればよい。前年の評判ならば集めやすいだろう。大きな変更が無い限り、性能などはあまり変わらないはずだ。私は最初に買ったのがフィッシャーの中級モデル、次にロシニョールのケブラー(2級合格)、ロシニョールのRXD(1級合格)、ロシニョールのカービング、9DO(現在使用中)ということで4本目だ。とりあえず馴染みがあるので、ロシニョールを使い続けている。 (5)デザイン デザインにはあまりこだわらないほうがいいだろうが、愛着がもてるか否かも大切なので、考慮してよろしい。しかし、あくまでも上記の条件をクリアしてのことにしよう。この優先順位を1位にするとろくなことがないので注意だ。 |
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【Q2】 デザインで道具を選ぶのって、よくないんですか。 | ||
よくない。やめておけ。ただし、その度合いはモノによると言っておこう。 絶対にデザインで選んではいけないもの、それはブーツだ。私は最初に借り物のサロモンのバコバコのリヤエントリーを履いていたが、とても小回りなどできるシロモノではなく(今の私でもそれを履いたら小回りはできないだろう)、すぐにやめた。2代目はコフラックのブーツで、幅広甲高(はばひろこうだか)の日本人タイプになっているために買った。しかし足首が弱いのか前傾姿勢がうまく取れず、フロントのすねが当たる部分のベロを切ってもらって(あまりほめられたことではない)、すねが前に出すぎる分はパワーベルトを別途購入してしのいで2級に合格した。しかしウィスラーで同宿した人が「ラングはかかとの締まりがすごくよくて、いろんなことができるようになった」という言葉を聞いて、「1級が取れないのはブーツのせいだ」とばかりにラングに変更した。ところがこのラングのデモ(渡部三郎が引退時に使用)、幅は狭くて甲が低く、内部が当たりまくりで、とにかく泣かされた。どこかをシェル出しすると、別のところがころがあたり始め、そこを出すとまた別のところが・・・。ブーツが変形するほどシェル出しをしたような気がする。そしてなんとか慣れたころに1級に合格したが、本当にブーツとの格闘であった。私がこのラングを買った翌年からラングも日本人用にデモモデルで幅広甲高のモデルを出すようになり、また他社もラング並にかかとが締まったモデルを出すようになり、私のラング崇拝(というか、妄執)は虚しさと涙だけの記憶となった。 逆にあまりこだわらないのはストック。アルミか、カーボンかの差だが、私は最初はアルミを使っていて、今ではカーボンを使っている。アルミは安価だが、衝突したりすると曲がりやすい。曲がったら、その場で腕ずくで戻さないこと。宿に戻ってストーブなどで熱しながら徐々に戻すと、完全ではないが満足がいくくらいには戻る。一方、カーボンは曲がらない。あまりひどい衝撃にはポッキリ折れるが、そんなぶつけ方をしたらアルミならひん曲がっているだろう。ストックはデザインを重視してもよろしい。というか、判断基準における優先度を高くしてもよい。 大切なことだから繰り返しておく。ブーツだけは自分の足とももよく相談するように。「尊敬する○○デモはXXのブーツを使っているから私もそれを使おう」というのは、「私の血液型はA型だけど、○○デモはB型だから、B型の血液を輸血してください」というくらい、バカらしくて危険であり、死を招きかねないことなのだ。 |
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【Q3】 道具の購入で失敗したことはありますか。 | ||
しょっちゅうだ。 もっとも、道具に関して失敗したことがない、という人はよほどマテリアルに無関心でいられる、滑りに対する意識の低い人か(ある意味幸せな人だが)、よほどすばらしいアドバイザーが付いている人かだろう。 私は板では失敗したとは思わなかったが、ブーツで通りつらい思いをしたのは前述の通りなので割愛する。 失敗第1位はデサントの縦長キャリーバッグ。取っ手の長さが短くて、転がして歩くと腰を曲げねばならず、ひどい目にあった。あとで見たらロシニョールやサロモンは十分な長さがあったので、完全な失敗作だ。大型バッグを買うときは、実際に転がしてみよう。 失敗第2位はデサントのパーカー。外側はゴアテックスのうすい生地で、内側は毛布のようなインナーになっているのだが、このインナーとアウターはチャックで前の方がつながっているのだが、腕は手首の部分のボタン1箇所だけで留めているのだ。だからしっかり手首をおさえてから脱がないとインナーもいっしょにはずれてしまうのだ。このボタンは時間が経つとバカになり、普通の動作ではずれてしまうようになってしまう。現在使っているコロンビアのパーカーはインナーとアウターをストラップのような形で留めているのだが、これはアウトドアのパーカーの主流になっている。 失敗第3位は現在使っているエレッセのウェア。インナーが羽毛なのだが、内側から羽毛が出てくるのだ。そのため、濃紺の不リースを内側に着ていると白い羽毛が目立ってしまい、ゲレ食で脱ぐと人の目を引いてしまうのだ。そのため、わざわざ白いフリースを買ってしまった。 現在の職場のスポーツカテゴリー担当者に、スポーツ用品店のV社から転職してきた人がいるが、彼によるとメーカーはこのような商品のフィールドテストをほとんどやらないらしい(使い込む時間が無いし、アドバイザーはいいことしか言わない)。 だから、スキー仲間などが持っているマテリアルなどを見て興味があったら、「それ、いいですかねえ」とか聞いて、商品の購入で何を気をつければいいのか、勉強するようにしよう。これもまたスキーの楽しさのひとつだと思えば苦にはならない。 |
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ずっと続く! 乞うご期待!! | ||
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